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株価が下がるとどうなる?投資は始めた方がいいの?

  • #経済
  • #投資信託

掲載日:2020年6月26日
最終更新日:2023年12月18日

2020年2月下旬、新型コロナウイルスの感染者が急拡大してグローバルに経済活動が停滞したことに伴い、株価が歴史的な急落を記録しました。このように株価が大きく下がると、私たちの生活にはどのような影響が出るのでしょうか?

一方で、今回の暴落を機に株式投資を新たに始めた人も急増した様子です。「安く買える絶好のチャンスだから」というのがその理由のようですが、本当にそうなのでしょうか?

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1. 株価が下がる・上がるってよく聞くけど、どんな意味があるの?

国内最大の株式市場である東京証券取引所には、実に3,800社を超える企業が上場し、それぞれの株式が時価で日々売買されています。言い換えれば、個々の株価は日々刻々と変化しているということです。

個別の株価は、それぞれの企業の業績や財務状況、今後のビジネスの見通し、属している業界や外部環境(内外の政治・経済、為替市場の動向など)の情勢などを反映して上下動を繰り返しています。悲観的な状況なら下落傾向を示しますし、逆に期待を寄せられるムードが強まれば上昇が顕著になります。

しかし、市況とは関係なく、個別の要因によって株価が変動する場合もあります。たとえば、2020年3月下旬に新型コロナウイルス感染拡大が世界的に深刻化した局面において、前述の通り株価指数は急落の様相を見せましたが、そのなかでむしろ株価の上昇が顕著になった企業がありました。その企業の傘下企業が手掛けている薬品が、新型コロナウイルスの治療にも有効との報告が出て、株式市場で期待が高まったからです。このように、状況に応じて特定の企業がポジティブな局面となる場合は、全体の動きにかかわらず個別の事情で株価が上昇する場合があります。

反対に、相場が大きく変動しない局面であっても、業績が著しく悪化した場合や、社会的に大きな問題を起こすなどがあると、株価が下がるといった場合があるのです。

このように、個々の株価はそれぞれの事情に基づいて動いています。他方、個別の株価の集合体として推移しているのが株価指数で、国内では日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)がその代表例です。

日経平均株価は、東証一部市場を代表する225社の株価をもとに算出しています。これに対し、TOPIXは東証一部市場の全銘柄を対象としています。

これらの株価指数が上昇するということは、概して個別の銘柄の株価が好調に推移しているという状態を意味しています。多くの企業の見通しが明るい(暗くない)という情勢を意味し、景気の拡大が続いている(あるいはこれから景気が拡大する)期待を持つことができると考えられます。

2. 日経平均株価が下落するとどこに影響が出るの?

つまり、株価指数の動向は景気のバロメーター(先行指標)ともなってくるわけですが、日経平均株価には「必ずしも市場全体の動きを反映しているとは言えない」という側面もあります。なぜなら、一部の値がさ株(1取引単位当たりの株価水準が高い銘柄)が指数に影響を及ぼす度合いが大きくなっているからです。

そういった銘柄が目立って買われたり売られたりすると、他の指数構成銘柄に同様の動きがさほど広がっていなくても、日経平均が目立った上下動を示すケースが見受けられるのです。したがって、日経平均が大きく下げたからといって、東証一部市場全体が総じて売られていると決めつけてしまうのは早計でしょう。

また、日本の株式市場における売買シェアにおいて、圧倒的に高いウエートを占めているのは海外の投資家であることにも注意が必要です。海外の投資家が株式投資全般に対して弱気になると、主戦場の米国株だけにとどまらず、日本株も売り急ごうとする場合があります。

その結果、米国市場が大きく売られるとその翌日の日経平均も急落することがあります。さらに、その夜に取引が始まる欧州市場でも売りが目立つようになって、株安が世界的に連鎖していくというパターンも珍しくありません。

3. 株価が下がると経済にどんな影響が出るの?

株式市場全体が急落すると、その銘柄を保有していた投資家は大きな損失を被ることになります。これに対し、保有していなかった人は直接的なダメージを受けないものの、間接的にはその悪影響を受ける恐れが出てきます。

株価が上昇傾向を示している局面で、株式を保有している投資家は利益が出ていることに気をよくして、ついつい財布のヒモが緩みがちです。また、企業も時価総額(株価×発行済み株式数=市場における企業価値の評価)が拡大することから、設備投資や雇用を拡大しやすくなります。

これが「資産効果」と呼ばれる現象で、景気の拡大に結びつくことが期待されるわけです。ところが、株式市場全体が大きく下がると逆に消費や投資・雇用が抑制される「逆資産効果」が懸念されるようになります。

何らかの事情で個別に株価が下がった場合は、程度によりその会社が業績や資金繰りの悪化で倒産したり、株式を買い集められて買収されたりする可能性が生じます。しかしながら、それはあくまでスポット的に発生している現象で、世の中の多くの人たちに影響を及ぼしうるのは株式市場全体の下落傾向が続いた場合です。

「株価指数の動向は景気のバロメーター」と先述したように、「逆資産効果」が顕在化してくれば不景気が鮮明になってくることでしょう。そうなると企業は守りを固めてリストラを進め、雇用や賃金を巡る情勢は悪化を余儀なくされる、といった事態も考えられるでしょう。

特に深刻なのは、長期の間株価が下がり続けるケースです。90年代から00年代前半にかけて日本では「失われた20年」と呼ばれる経済の低迷が続きましたが、その時期も株価は下落傾向が鮮明でした。

ただし、一時的な株価の暴落であったり、株価を下げた要因を踏まえて的確かつ迅速な手が打たれたりした場面では、その後の展開がかなり異なっています。

たとえば、世界的に影響を与えた1987年のブラックマンデーでは株価も急落したものの、金融緩和を継続したことなどもあって速やかに反発しました。
今になって振り返ってみれば、後述するリーマンショック時と比べれば、ブラックマンデーと呼ばれる暴落が実体経済に及ぼしたダメージは限定的であったとも言われています。

件のリーマンショックが発生したのは、2008年9月で、各国政府や中央銀行が大掛かりな金融・財政政策を打ち出しましたが、その効果の顕在化を待たずして、株価は翌年3月に底打ちしています。

2020年3月以降も新型コロナウイルスの世界的なパンデミック(大流行)を受けて世界各国が未曾有の対策を実施していますが、果たして今後の株式市場はどのようなかたちで反応するでしょうか?

4. 今からはじめられる投資って何があるの?

過去がそうであったからといって、未来も必ず同じような動きになるという保証はありません。しかしながら、先々を展望するうえで、過去の推移が参考の一つになることは確かでしょう。

やがて新型コロナの感染拡大が収束し、世界的に経済回復も進んでいくなら、株価が比較的安くなっている今は、投資を始める好機と捉えている人もいるようです。ただ、これまで投資に馴染みのなかった人は、具体的に何をどうすればいいのかがピンとこないかもしません。

それに、日本が「失われた20年」というピンチに苦しんだように、特定の国だけに投資対象を絞ってしまうと長く報われない結果に悩まされる恐れも出てきそうです。日本だけでなく他の先進国や新興国、さらに株式にとどまらず債券やリート(不動産投資信託)など、幅広い対象に分散投資を行うのが資産運用の鉄則とされています。

初心者であってもそういった本格的な分散投資を手軽に実践することは可能で、その選択肢の一つとなってくるのが「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)」です。日経平均株価はもとより、先進国株式や新興国株式の全体的な動きを示すもの、先進国の債券市場の動きを示すものなど、様々なベンチマーク(指数)に運用実績が連動するように設定された、つみたて投資枠対象の投資信託シリーズです。

5. 指数連動型の投資信託で手軽に本格的な分散投資を!

個別にはそれぞれの企業の事情で上下している株価ですが、今回のコロナショックのように全体的な下落に見舞われる局面もあります。そして、市場全体の下落が続くと景気の先行きも怪しくなり、私たちの生活に悪影響を及ぼす恐れも出てきます。

しかしながら、政府や中央銀行、個別の企業が適切な対応を行い、景気回復に一筋の光明が差し始めると、いち早く株価が回復傾向を示してきたというのも過去の経験則です。それでも初心者は不安でしょうから、資金を投じるタイミングを分散できる投資信託の積立投資は、その可能性に託すうえで有力な選択肢となってきそうです。

(基準日:2023年12月18日)

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