アジア新興国経済の現状と今後の見通し

岡三アセットマネジメント株式会社

2013年11月15日

世界の経済成長見通しは下方修正

2013年10月に国際通貨基金(IMF)が発表した世界の経済見通し(World Economic Outlook、 October 2013)では、2013年および2014年の世界の成長率予想が4月時点の見通しより下方修正されました。見通しでは、米国や日本など先進国経済に景気回復の兆しが見られるとした一方、中国などの新興国経済については、内需の減速や米国の金融政策の影響に対する懸念が示されました。

IMF世界経済見通し

IMF
世界経済
成長予想
2013年 2014年
予想
4月
予想
10月
変化 予想
4月
予想
10月
変化
世界 3.3% 2.9% ▲0.4% 4.0% 3.6% ▲0.5%
先進国 1.2% 1.2% ▲0.1% 2.2% 2.0% ▲0.2%
新興国 5.3% 4.5% ▲0.8% 5.7% 5.1% ▲0.6%
アジア新興国※1 7.1% 6.3% ▲0.8% 7.3% 6.5% ▲0.9%
アセアン5ヵ国※2 5.9% 5.0% ▲0.9% 5.5% 5.4% ▲0.1%
  • ※ 少数点第2位を四捨五入しているため、数字が合わない場合があります
  • ※ 1)中国、インド、インドネシア、タイ、マレーシアなどを含む29ヵ国
  • ※ 2)インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの5ヵ国
  • (出所)IMF 「World Economic Outlook Database, October 2013」より岡三アセットマネジメント作成

アジア新興国は相対的に高水準の成長率を維持

2010年には年率10%近い成長率を記録してきたアジア新興国も、近年は成長率見通しが徐々に引き下げられてきました。しかしながら、アジア新興国の成長率見通しは、10月のIMF見通しにおいても依然として先進国の見通しを大きく上回る年率6.3%(2013年)となることが見込まれています。また、短期的には中国の構造改革の影響などから成長率が鈍化することが見込まれるものの、中長期的には高い経済成長トレンドに回帰することが期待されています。

アジア新興国の成長率見通しの推移

先進国の景気持ち直しを背景にアジア主要国の輸出は回復基調

短期的な世界の経済成長見通しでは、欧米や日本など先進国経済の緩やかな回復が見込まれており、先進国需要の持ち直しに伴う先進国向けの輸出回復により、アジア諸国の景気を下支えすることが期待されます。米国のアジアからの輸入額と連動性が高いと考えられるISM製造業新規受注指数は、6月以降、米国の製造業企業からの新たな受注が拡大傾向にあることを示す50を上回って推移しています。

米国の景況感指数とアジアからの輸入の推移

韓国、台湾など米国経済への感応度が高い

アジア諸国においては、韓国や台湾などの北アジア諸国が米国などの先進国経済の回復による恩恵を受けやすいと考えられます。1980年以降の各国の実質GDP成長率を元にした分析では、北アジア諸国の米国経済に対する感応度(米国経済の成長率が1%変動した場合、どの程度影響を受けるかを示す指標)が高く、米国経済の回復による波及効果が期待されることを示しています。

北アジア諸国の米国経済に対する感応度

企業収益(EPS)は伸び率鈍化ながら成長を維持

アジア・オセアニア地域の企業収益(EPS、一株当たり利益)予想は足元で伸び悩んでいますが、成長率は、今後12ヵ月予想で年率15%以上の成長を維持することが見込まれています。今年に入り、大半の企業が業績見通しの下方修正を発表済みであることから、今後、アジア・オセアニア地域の企業収益は外需の改善などが下支えとなり、底堅く推移することが想定されます。

MSCI ACアジア・パシフィック指数(除く日本)の予想EPSの推移

アジア通貨危機当時(1997年)と比較してアジア諸国の財政基盤は強化されている

アジア諸国はアジア通貨危機(1997年)以降、対外債務の削減や外貨準備高の積み増しを行い、財政基盤を強化してきました。足元では、多くの国・地域が磐石な経常黒字と外貨準備を抱えており、急激な投資資金の流出など危機再燃に対する抵抗力が強化されています。また、金融規制、監督の強化やコーポレートガバナンスの向上など、より健全な資本市場の育成が図られていることから、今後も高成長が見込まれるアジア地域は引き続き魅力的な投資先であると考えます。

アジア各国の財務基盤の比較

外貨準備高に対する短期対外債務の比率

外貨準備高の輸入カバー率

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