ダイバーシティ TALK

イクボスでイクメン

キャリアについて

2015年3月に入行し、2016年より法人金融部門の国際金融部グローバルファイナンスの次長を務め、部門内の異動を経て、2020年よりグローバル法人営業部グローバルファイナンスで再び次長を務めています。キャリアは、証券会社からスタートし、メガバンクの海外現地法人(ヨーロッパおよびアジア)や日本の銀行を経て、東京スター銀行に入行しました。

ダイバーシティ、ワークライフバランスという考え方のきっかけ

営業職でしたので、“稼ぐこと”=“嬉しい・楽しい”と思って働いていました。若い頃は休日出勤も厭わず、体力が続く限り仕事をするというスタイルでした。当時の日本は「早く帰る=仕事をしていない」というようなイメージがあったのではないかと思います。

初めてダイバーシティを意識したのは、ヨーロッパの現地法人に勤務していた時です。彼らは子どもの学校行事で会社を休むのは当然で、あまり残業もしません。連続休暇は2週間とることが義務付けられており、私も休暇中に会社から連絡が入ることはありませんでした。文化の違いを客観的に見ることが出来たと思います。

その後、自分にも子どもができ、当時の勤務経験が身にしみているところです。当時は、そんな働き方が出来るなんてすごいなと思っていた一方で、自分事としては捉えていませんでした。今は、少しでも配下の部署で実践するようにしています。

次長職として、担当ラインでは連続休暇の2回取得(うち1回は3連休以上)を奨励しています。メンバーには大変好評で、休暇取得のための協力体制、ワークシェアリングが出来るようになってきています。仕事を抱え込む人が減り、コミュニケーションが活性化することで組織のパフォーマンスがあがるという好循環を生み出していると思います。仕事の充実のためにも、仕事を離れて自分の人生をどうプラスにするかを考える機会は必要ですし、休む期間が長いほど有意義にその時間を使えると考えています。

共働き夫婦の仕事と子育ての両立

ヨーロッパの現地法人勤務時には実感がなかったのですが、子どもが生まれて一気に生活が変わりました。生後4ヵ月で子どもを保育園に入れ、共働きで夫婦のキャリアを再開させました。妻はフルタイム勤務を希望しており、朝6時に家を出て夕方4時半に帰宅という生活。私は、朝、子どもと起床しご飯をつくり、保育園に連れて行くというスタイルをとっています。子どもの体調不良時の対応は毎回話し合いです。「オレ、休めない!」「私も休めない!」と喧嘩になることも良くあります(笑)。最終的にはお客さまに直接ご迷惑をおかけしないほうが休むことになり、業務内容の関係上私が休むことも多いです。仕事はすべて前倒しで終わらせています。なぜなら、いつ子どもが体調を崩し、休まなければならないかわからないからです。

今でも思い出すのは、とある日の朝のことです。家を出る前に子どもの熱を測ったら登園に支障のない程度でしたが普段より若干高く、罪悪感を感じながらも「仕事があるしな・・・」と思い、保育園に預けました。会社到着直前に、保育園から電話があり「お子さん38度熱がありますよ。すぐ戻ってきてください!お父さん何を見てたんですか!?」と言われてしまって・・・。会社の前まで来ていたので出社して当時の上司に説明し、怪訝な顔をされながら帰宅しました。仕事に穴をあけたという意識と、子どもに対する罪悪感で打ちのめされながら保育園に迎えに行ったら、子どもは体調が悪いのに強がって笑顔を見せる・・・今でも忘れられません。

自分が管理職になった時には、共働きで子育てをするということを心から理解できる上司でありたいと思い、今実践しているつもりです。昨年から、外国籍の配偶者をもち、子ども2人をもつ外国籍の女性がスタッフに加わり、その思いは更に強くなりました。海外で共働きをし、子どもを立派に育てる彼女を尊敬しています。勝手に頼りになる「先輩」として、子育てしながら働く女性の気持ちを参考にさせてもらっているんですよ。もちろん、子育て中でなくても、同じ愛情をもってスタッフのワークライフバランスを応援していきたいと思っています。

「イクボス」とは「部下のWLBを応援するとともに、会社に貢献する」こと。佐藤さんのマネジメント手法は?

営業職なので、業績達成にこだわることは貫きたいと思っています。しかし、スタッフに対して数字でプレッシャーを与えるのではなく、「本気」で取り組むことの重要性を自分の姿勢で示したいと考えています。そのために、私自身の能力を高める時間と労力は惜しみません。私が経験のない分野で高いスキルを持つ優秀な外国籍スタッフが増えており、うかうかしているとすぐ追い抜かれてしまいます。常にそういう危機感を持って「本気」で業務に取り組んでいます。

私のマネジメントポリシーは、スタッフに自分で考え行動してもらうことです。当事者意識を持って欲しいので、自分から指示はしません。有難い事に、今はメンバーが業績達成に向けた様々な施策を提案してくれる環境です。本気度の高い提案についてはいつも「やってみよう」と伝えます。自身の頭で考えたものはエネルギーに満ちていますから、たとえ結果が上手くいかなくても、失敗から学ぶことが多いのです。また「みんなで協力してやろう」というのはきれいごとに聞こえるかもしれませんが、例えば、依頼されることは「自分へのチャンス」であり、自分の仕事=事業が上手くいくための「スキルを盗む機会である」という考え方を共有しています。

私の役割は、黒子であり、縁の下の力持ちであることです。メンバーが自主的に行動できる環境を整えるということを一生懸命にやっています。結果としてチームの結束が強くなり、全員が当事者意識をもって仕事をする雰囲気ができていると感じています。

子育てと部下育成に通じるもの

子どもが4歳になる頃から子どもを家事に積極的に参加させ、大きな戦力として共働きの私たち夫婦を助けてくれています。はじめは上手くできないことが多く、家事を教える私の方が挫けそうになりましたが、辛抱強くサポートし、少しずつ上達するのを見逃さずに褒めることを続けました。「以前はできなかったけれど、ここまでできるようになったね」と言葉をかけ、子どもが努力を継続することの大切さを学ぶ機会にしています。

家事の大変さを知ることで、今では子どもから手伝いを申し出てくれることもあります。これはまさに先ほどお話しした、当事者意識を持つ、ということです。子育てと、職場での部下育成には通じるものがあると考えています。

これから目指したいイクボス像は?

メンバーが誇りを持って働けるようにする、それがイクボスの役割です。メンバー全員がプライベートも含めてこうなりたいと思っていることが実現でき、この仕事をしていて良かったと感じてほしい。

私自身は、海外経験と育児経験により、ワークライフバランスの重要性が自然と身につきました。仕事と私生活は切り離せず、どちらかに偏ると双方の充実感は弱まってしまうと思います。私生活が充実していれば、仕事も充実します。逆に、仕事で疲れて家に帰って寝るだけだと、良い仕事はできません。

私は野球をやっていたこともあり、プロ野球巨人軍の原元監督のマネジメントを参考にしています。原元監督は「チーム愛」という言葉を使われるのですが、選手のために考えて行動する姿勢、自主的に動く強いチームをつくるという考え方に大変共感しています。原元監督は、現役時代も4番バッターとして活躍されましたが、マネージャーとしても大きな成果をあげられました。強いチーム作りのために、スパルタは必ずしも必要ではないことを教えてくれました。

イクボスを目指す、目指してほしいボスや後輩へのメッセージなど

部下を持つことになって、自分以外の人のことを真剣に考える機会ができました。それは、思い返すと自分が成長する機会でもありました。他人のことを考えることは、つまり、自分の成長につながるのだと思います。

次長になるまではひたすら稼ぐことだけを考えていましたが、プレーヤーからマネージャーになるには発想の転換が必要だと思います。プレーヤーとして秀でたいがために、私は本を読むなどスキルを磨くことや能力を高めることに注力していました。しかし、マネージャーになって考えるべきポイントは、部下の能力ではなく「当事者意識」ではないかと思っています。

以前、子どもを健診に連れて行った時のことを思い出します。妻はどうしても外せないプレゼンがあり、30組ほど親子がいる健診会場で、父親は私ひとり。授乳したい母親たちの冷たい視線をあびて辛かったのですが、よくいらしたと先生に褒められ、はじめて子育てに自信を持てました。私も子育ての当事者であると意識できたのです。

私は野球が好きなので、チームプレーも好きです。家族というチームも、会社のチームも、共通事項があります。同じ目標に向けてそれぞれが当事者意識をもって挑むことが重要で、個々の能力ではなく、それぞれの違いを強みにし、いかに協力するかで結果が変わってきます。

「イントラパーソナル・ダイバーシティ」という言葉をご存知でしょうか。一人の人間が多様な経験と幅広い知見を持つことを指し、イノベーションの創出に繋がるものと注目されています。国籍、生活環境、年齢、価値観・・・担当ラインスタッフのダイバーシティが進む中で、イントラパーソナル・ダイバーシティがいかに大切であるかを実感しています。チームメンバーがそれぞれの個性を尊重し、個々の強みを吸収し合うことでチームが組織として強くなるのだと思うのです。

仕事と子育ての両立は簡単ではありませんが、「チーム愛」を軸に、個々人が自主的に楽しんで仕事ができる開かれた職場づくりを目指していきたいです。