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NISAが恒久化!2024年からの改正内容を分かりやすく解説!

  • #投資信託
  • #NISA

掲載日:2023年4月17日

投資信託における税制優遇制度「NISA」が、2024年に大きく変化しようとしています。そのキーワードは、「恒久化」。これまでNISAは利用価値の高い制度と見られてきましたが、時限的な制度だったことがネックになっていました。

このNISAを恒久化しようという方針が、2022年12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」に掲げられ注目を集めています。

この記事では、なぜNISAが恒久化されると話題になるのか、今後NISAはどう変わるのか、どんなメリットがあるのかといった点について解説します。NISAを活用した資産形成を検討している方は、ぜひ当記事の内容を押さえてください。

この記事は6分で読めます!

1. NISAの恒久化とはどういうこと?

従来のNISAは時限的な制度だったため、制度を利用できる期間が決まっていました。具体的な投資可能期間は、一般NISAが2023年末まで、つみたてNISAが2042年末までです。つみたてNISAは期限満了がまだ先のことですが、いよいよ一般NISAは終了する時期を迎えています(当記事は2023年2月に作成)。

以前から、一般NISAが終了する時期に、新しいNISA制度に移行することは議論されていました。岸田政権は資産所得倍増プランを掲げ、貯蓄から投資に資金の流動を促すために示されたのが税制優遇の方針です。

今回の大きな改正ポイントは、NISAの抜本的な拡充と恒久化です。これまで時限的な制度だったNISAが、今後恒久的に利用できる制度となったことは、将来や老後に向けて資産形成をしたい方にとって朗報といえます。

2. 恒久化する新NISAの制度とは?現行NISAと比較

恒久化を含めて、現行NISAと新NISAにはどんな違いがあるのでしょうか。分かりやすくするために、改正点を表にまとめました。

現行NISA 新NISA
口座開設期間 一般NISA:2023年末まで
つみたてNISA:2042年末まで
恒久化
非課税口座保有期間 一般NISA:5年
つみたてNISA:20年
無期限
年間投資枠 一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円
成長投資枠:240万円
つみたて投資枠:120万円
非課税保有限度額 一般NISA:600万円
つみたてNISA:800万円
1,800万円(うち成長投資枠:1,200万円)
制度の併用 一般NISAとつみたてNISAの併用は不可 成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能
  • 成長投資枠とは、「上場株式・投資信託等への投資ができる枠」のことで、これまでの一般NISAの役割を引き継ぐ枠となります。

改正のポイントを要約すると、以下のようになります。

  • 制度・非課税期間が恒久化
  • 非課税枠の拡大
  • 一般NISAとつみたてNISAが一本化
  • ロールオーバーができなくなる

現行NISAから新NISAになると、大幅に制度が拡充されていることが一目瞭然です。当記事では制度の適用期間が恒久化されたことにフォーカスしていますが、それ以外にも非課税期間が無期限になっていることや、非課税枠の上限が1,800万円へと引き上げられていることなどが目を引きます。

それでは、上記の特に知っておくべき4つのポイントについて個別に解説します。

改正ポイント①制度・非課税期間が恒久化

制度の適用期間が恒久化され、非課税期間が無期限となります。現行NISAでは一般NISAが2023年末まで、つみたてNISAは2042年末までであることはすでに解説した通りです。本来であれば株式や投資信託による利益には20.315%の税金が発生するので、今回拡充される新NISAを活用すると恒久的かつ無期限に非課税メリットをいかすことができます。

改正ポイント②非課税枠の拡大

非課税枠が大幅に拡大されたのも、注目すべきポイントです。非課税枠は、それぞれ以下のように拡大されます。

現行NISA 新NISA
年間投資枠 一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円
成長投資枠:240万円
つみたて投資枠:120万円
非課税投資枠 一般NISA:600万円
つみたてNISA:800万円
1,800万円(うち成長投資枠:1,200万円)

改正ポイント③一般NISAとつみたてNISAが一本化

現行NISAでは、一般NISAとつみたてNISAがそれぞれ別の制度として運用されています。利用者はどちらか一方を選択する必要があり、一般NISAとつみたてNISAの併用は不可でした。これに対して新NISAでは両者が一本化され、株式や投資信託を対象とする「成長投資枠」と、一定の投資信託を対象とする「つみたて投資枠」を併用できるようになります。

改正ポイント④ロールオーバーができなくなる

現行の一般NISAにはロールオーバーといって、5年の非課税期間が満了した商品について、翌年の非課税枠を使用する形に移管して引き続き保有できる制度がありました。しかし、現行NISAから新NISAへロールオーバーすることはできません。そのため、例えば2019年に一般NISAで購入した商品は、非課税期間の終える2024年に課税口座へ移されます。なお、NISAのロールオーバーについては、以下の記事で詳しく解説しています。

3. 恒久化したらすでに始めているNISAはどうなる?

NISAの恒久化に関心をお持ちの方の中には、すでに現行NISAで資産運用をしている方も多いでしょう。そんな方にとって、この新NISAはとてもメリットが大きいので、以下の2点を押さえておいてください。

1点目は、現行NISAで運用している商品は期間満了まで適用可能だということです。例えば、2023年中に現行の一般NISA口座を開設した場合、5年間はこれまで通り非課税のまま保有することができます。

2点目は、現行NISAと新NISAはそれぞれ別の制度として運用されることです。別の制度として運用されるということは、当面は現行NISAと新NISAの両方で非課税枠を活用できることになります。

2023年末には現行の一般NISAが終了するので、2023年のうちにNISA口座を開設して運用開始、さらに2024年から始まる新NISAでも運用をすれば、新旧両方のNISAで非課税枠を目一杯まで使うことができます。

同時に利用するメリットは?

現行NISAと新NISAは、それぞれ別の制度として見なされます。つまり、現行NISAと新NISAの両方で非課税枠を利用することができるのです。より大きな金額を運用したいと考えている方にとっては、大きなメリットとなるでしょう。

4. 2024年の改正前にNISA口座を開設するのはよい?

ここまでの解説で、2024年の新NISAが始まる前に現行NISAの口座を開設して運用をすればお得なのではないか、と考えた方もいるでしょう。その通りで、現行NISAでも投資を始められる2023年内は、新旧両方のNISAで「イイとこ取り」するラストチャンスといえます。より多くの資金を投資したいという方は、このように2つのNISAを並行して利用することを前提に、非課税期間の長さを活用できる現行のつみたてNISAでの運用を始めてみてはいかがでしょうか。

5. まとめ

この記事では恒久化される新NISA制度について解説しました。新NISAはこれまで以上に大きな金額で資産運用をしたい人にとって嬉しい制度になるでしょう。それでは、新NISA制度についておさらいです。

  • 2024年から始まる新NISAでは非課税メリットが大幅に拡充される
  • 制度が恒久化され、運用期間が無期限になる
  • 一般NISAとつみたてNISAが一本化される
  • ただし、現行の一般NISAのロールオーバーはできない
  • 現行NISAと新NISAは別の制度として運用される
  • そのため、両方のNISAを利用して非課税枠を増やすことができる

もし現行NISAを運用していないなら、新NISAに先駆けて始めることで、非課税枠を大きくすることができます。ただし、現行の一般NISAのロールオーバーができなくなることなど注意点もあるので、それらを十分に理解した上で運用するようにしましょう。

以上

【ライター情報】
蛯沢 路彦

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

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