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iDeCoと企業型DCの併用の条件とは?メリットや注意点、加入方法などを解説!

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掲載日:2022年12月12日
最終更新日:2023年9月25日

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2022年10月1日に条件が緩和され、個人型確定拠出年金(以下「iDeCo」)と企業型確定拠出年金(以下「企業型DC(401k)」)の併用が可能となりました。これまで企業型DC(401k)のみの加入だった人が条件によってはiDeCoにも加入できるようになり、税金面での優遇を受けながらそれぞれのメリットを享受できるようになったのです。そこで今回は、iDeCoと企業型DC(401k)の併用に関する条件や注意点などについて解説していきます。

1. iDeCoと企業型DC(401k)の違いと特徴

個人型確定拠出年金「iDeCo」と、企業型確定拠出年金「企業型DC(401k)」は、いずれもあらかじめ掛金を決めておく「確定拠出年金制度」ですが、特徴が異なります。ここでは、それぞれの特徴や異なる点について解説していきます。

iDeCoと企業型DC(401k)の違い
  iDeCo 企業型DC(401k)
加入できる年齢 20歳〜65歳 原則70歳未満の厚生年金被保険者
手続きの窓口 iDeCoを扱う金融機関 事業主
掛金の負担者 加入者 事業主
月々の掛金の上限額
  • 自営業者:月額6.8万円
  • 企業型DCがある会社員:月額2万円
  • 企業型DCと他の年金制度がある会社員:月額1.2万円
  • 他の年金制度あり:月額2.75万円
  • 他の年金制度なし:月額5.5万円
運用商品の種類 iDeCoを扱う金融機関の商品 事業主が指定した金融機関の商品
手数料の負担者 加入者 事業主

1-1. iDeCo

iDeCoとは、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金制度のことです。銀行など多くの金融機関で取り扱いがあり、加入者が掛金額を決定し、掛金を拠出して運用します。企業に属していない人も、企業に確定拠出年金制度がない人も、年齢が20歳から65歳までであれば加入することができます。掛金や運用益などが非課税となり、金融機関や金融商品を自由に選択できるというメリットがありますが、リスクは加入者本人の負担となります。

1-2. 企業型DC(401k)

企業型DC(401k)とは、事業主が導入を決定し、毎月一定額の掛金を拠出。拠出された掛金を、従業員が運用するという制度です。中小企業の役員なども加入できるので、退職金制度として利用されることもあります。

企業型DC(401k)では金融機関を選択するのは事業主です。従業員は、金融機関が用意した定期預金や投資信託などの複数の金融商品から、運用する商品を選択します。金融機関と金融商品があらかじめ決まっているため、従業員が商品を選択しやすいのもメリットといえるでしょう。また、従業員の運用次第で運用益や利益が違ってくるため、老後に受け取れる額が異なるのも特徴のひとつです。

運用方針や制度の詳細は企業により異なる場合がありますので、自社の状況をご確認ください。

2. 2022年10月〜iDeCoと企業型DC(401k)の併用がしやすくなった!

2022年10月の確定拠出年金制度の改正により、iDeCoと企業型DC(401k)との併用要件が緩和されました。ここでは、その緩和内容について解説していきます。

2-1. iDeCoと企業型DC(401k)の掛金の限度額は?

企業型DC(401k)の事業主掛金も、iDeCoと企業型DC(401k)を併用した場合の掛金も、いずれも拠出限度額は月額5万5,000円です。

例えば、企業型DC(401k)だけに加入している人がiDeCoを併用する場合、iDeCoの掛金の上限は2万円とされていますので、5万5,000円の限度額から2万円を引いた3万5,000円まで、企業型DCを併用することができます。

一方で、企業型DC(401k)に加え、企業年金や確定給付年金(以下「DB」)など、ほかの年金制度を併用している場合は、iDeCo併用分も合わせた上限額が半分になり、iDeCoの掛金の上限も1万2,000円となります。

  企業型DC(401k)だけに加入 企業型DC(401k)と他の年金制度との併用
企業型DC(401k)の事業主掛金額 月額で5万5,000円が上限 月額で2万7,500円が上限
iDeCoを併用した場合の掛金額 月額5万5,000円から企業型DC(401k)の掛金額を引いた額
※上限は2万円
月額2万7,500円から企業型DC(401k)の掛金額を引いた額
※上限は1万2,000円

2-2. マッチング拠出とiDeCoの併用はできない

企業型DC(401k)には、加入している従業員が、事業主掛金に上乗せをして掛金を拠出する制度があります。これを「マッチング拠出」といい、上乗せ可能な金額は事業主の掛金と同額までとなっています。

加入者がマッチング拠出する掛金は全額が所得控除の対象になり、iDeCoに加入した場合と同様の税制優遇が受けられることになります。もしも、マッチング拠出とiDeCoをひとりの人が併用できたら、ダブルで税制優遇が受けられる特別な人ができてしまいます。

このような不均衡を防ぐために、マッチング拠出とiDeCoの併用はできなくなっています。つまり、マッチング拠出制度のある企業に勤める人はマッチング拠出かiDeCoかのいずれかを選択することになるのです。

3. iDeCoとマッチング拠出を比較!どちらと併用すれば良い?

企業型DC(401k)加入者がiDeCoを利用するには企業型DC(401k)の規約の定めが必要でしたが、2024(令和4)年10月から規約の定めが不要になり、企業型DC(401k)加入者でマッチング拠出を利用していない人はiDeCoへの加入ができるようになりました。

それでも、iDeCoとマッチング拠出の併用はできないため、どちらを選ぶべきか悩む人も少なくないでしょう。ここでは、それぞれのメリットとデメリットについて解説していきます。加入を検討する際に役立ててください。

3-1. 企業型DC(401k)とiDeCoを併用するメリット・デメリット

企業型DC(401k)とiDeCoを併用するメリットは、勤務先の企業が企業型DC(401k)のみを利用している場合は月額最大2万円まで、企業型DC(401k)とそのほかの年金制度がある場合は最大1万2,000円までを、iDeCoとして拠出できることです。企業型DC(401k)に掛金を上乗せするマッチング拠出では、個人が拠出できる掛金は事業主掛金と同額までとなりますので、事業主の掛金が少額だとマッチング拠出も少額になります。

一方でiDeCoを選択すると、事業主掛金の額にかかわらず月額の最大額まで拠出することができます。さらに、iDeCoは運用できる商品が豊富なので、マッチング拠出と比べて商品の選択肢が広くなることもメリットのひとつといえるでしょう。企業型DC(401k)とiDeCoを併用するデメリットとして、それぞれの口座を管理する手間もあげられます。同じ金融機関を選択した場合でも口座が別々になります。

3-2. 企業型DC(401k)とマッチング拠出を併用するメリット・デメリット

企業型DC(401k)とマッチング拠出を併用する場合のメリットのひとつが、管理がラクなことです。マッチング拠出は事業主掛金に自分で掛金を上乗せするので、企業型DC(401k)と別の口座を開設する必要もなく、口座管理手数料もかかりません。口座の管理や運用の指図、さらに、所得控除の手続きも、年末調整で勤務先を通じて手続きすることができます。企業型DC(401k)とマッチング拠出を併用するデメリットは、本人が拠出できる掛金は事業主掛金と同額となるため、事業主掛金が少ない場合にはマッチング拠出の掛金も少なくなることです。

4. iDeCoと企業型DC(401k)を併用するための加入方法

企業型DC(401k)に加入している人が、iDeCoを併用するには併用の条件があります。併用できる場合と、できない場合は以下の通りです。

4-1. iDeCoと企業型DC(401k)の併用条件とは?

  • 企業型DC(401k)の事業主掛金が月の上限(5万5,000円)の範囲内で各月拠出であること
  • iDeCoの掛金が5万5,000円から各月の企業型DC(401k)の事業主掛金を控除した残余の範囲内で各月拠出であること
  • 企業型DC(401k)のマッチング拠出を利用していないこと

4-2. iDeCoと企業型DC(401k)の併用ができないケース

  • 企業型DC(401k)の事業主掛金が月の上限(5万5,000円)に達している場合
  • 企業型DC(401k)のマッチング拠出を利用している場合

5. iDeCoのご相談なら”東京スター銀行”へ

「iDeCo」と「企業型DC(401k)」の併用が可能となり、企業型DC(401k)制度のある企業に勤務する従業員でも、iDeCoに加入することが可能となりました。iDeCoを併用すれば、金融機関や金融商品を自由に選ぶことができるので、選択肢が広がることも大きなメリットのひとつでしょう。マッチング拠出かiDeCoか、どちらを選択するかで悩んだら、ぜひ東京スター銀行にご相談ください。

東京スター銀行ではSBI証券が有するiDeCo のプランはもちろん、年金のこと、老後資金のことなど、将来の資金の不安についてなんでもご相談していただける、オンライン相談サービスを提供しています。オンライン相談予約は、以下の公式サイトからお申し込みください。

6. まとめ

2022年10月の併用条件の緩和により、企業型DC(401k)にiDeCoを併用するか、マッチング拠出を行うかを選択することが可能になりました。どちらが有利であるかは、各個人の状況によって異なります。加入を検討する際は、自分の現在の状況や希望などを鑑みて、選択をしてください。

【ライター情報】
杉浦詔子

CFP@認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。

CFP@認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。2005年にCFP(R)資格を取得し、家計相談やセミナーなどのFP活動を開始しました。2012年に「みはまライフプランニング」を設立、2013年よりファイナンシャルカウンセラーとして活動しています。

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