マイナ保険証とは?メリット・デメリットや手続き方法について
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掲載日:2024年12月16日
2024年12月2日、マイナ保険証への移行に伴い、紙やプラスチックカードの健康保険証が使えなくなるため、医療機関等を受診する際はマイナ保険証の提示が原則となります。しかし、マイナ保険証については知っていても、具体的にどのような手続きをすれば良いかわからないという人もいるでしょう。
この記事ではマイナ保険証の概要やメリット・デメリット、手続き方法について解説します。
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1. マイナ保険証とは
マイナ保険証とは、健康保険証の機能を紐づけたマイナンバーカードのことを指します。マイナ保険証にすれば、医療機関を受診する際や薬局で薬を購入する際などに、健康保険証として利用することが可能です。
昨今では、従来の健康保険証からマイナ保険証への移行が進められており、2024年12月2日以降は、従来の健康保険証の新規発行が行われなくなったため、早めにマイナ保険証の利用登録をすることが大切です。
なお、2024年12月2日時点で有効な健康保険証については、最大1年間の経過措置が設けられます。とはいえ、いずれは従来の健康保険証が利用できなくなるため、早めにマイナ保険証に登録しておいたほうがよいでしょう。
2. マイナ保険証のメリット
マイナ保険証になるとどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。
2.1 データに基づくより良い医療が受けられる
マイナ保険証の利用は、過去に服用した薬や特定検診などのデータに基づいてより良い医療が受けられるのがメリットの1つです。
たとえば、従来の健康保険証を利用している場合、医療機関を受診した際に、過去に処方された薬や特定検診などの情報を担当している医師・薬剤師に正確に伝えることは難しいでしょう。自身の病気や飲んでいる薬について、詳しく把握していないケースもあるかもしれません。
一方で、マイナ保険証を活用すれば、過去に処方された薬や特定検診の情報が、担当医師や薬剤師に共有することが可能です。そのため、医師や薬剤師から情報に基づいた総合的な診断や、重複する投薬を回避した適切な処方が受けられます。なお、マイナ保険証のデータを医師や薬剤師に共有するためには、本人が共有に同意する必要があります。
2.2 医療費の負担が少なくなる
2024年12月2日以降にマイナ保険証を活用すると、従来の健康保険証よりも医療費の負担を少なくすることが可能です。従来の健康保険証では、窓口負担の費用として初診の際に30円、再診の際に20円加算されます。
一方でマイナ保険証であれば、初診と再診の際にかかる窓口負担の費用は、ともに10円です。そのため、初診料が20円、再診料が10円安くなります。なお、患者が負担するのは、上記金額の2割~3割です。
2.3 手元に保険証が無くても大丈夫
マイナ保険証があれば、従来の健康保険証が手元に無くても受診できる点もメリットの1つです。たとえば、転職や引っ越し、結婚した場合、新たに健康保険証を発行してもらう必要があるでしょう。
健康保険証の発行手続きの最中に病気やケガをした場合、健康保険証が適用されない可能性があります。マイナ保険証であれば、健康保険証が手元に無くても、健康保険証を適用することが可能です。
2.4 高額な治療を受けた場合も限度額以上の支払額が不要になる
公的医療保険制度に加入している人が高額な治療を受けた場合、高額療養費制度を利用することができます。高額療養費制度とは、同一月に高額な医療費の自己負担が必要になったとき、限度額を超えた分について、あとで払い戻しが受けられる制度です。
従来の健康保険証で高度療養費制度を活用する際には、医療機関や薬局で全額を支払ったあとに、支給申請書を提出する必要があります。事前に「限度額適用認定資格」を申請していれば、窓口で一時的に支払わずに済みますが、申請が間に合わなければ高額な費用を一時的に支払わなければなりません。
一方で、マイナ保険証があれば、医療機関がシステム上で限度額適用認定資格を確認できるため、限度額適用認定証を提出しなくても、窓口で一時的に自己負担をする必要がなくなります。
3. マイナ保険証のデメリット
先述した通りマイナ保険証は、データを基に適切な治療を受けられたり、医療費の負担を抑えられたりするなどのメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。ここからは、マイナ保険証のデメリットについて見ていきましょう。
3.1 利用できない医療機関もある
マイナ保険証は受診する医療機関や薬局が、マイナンバーカードを読み取るための、オンライン資格確認システムを導入していなければ使えません。オンライン資格確認システムの導入は義務化されているものの、2024年8月時点で8.5%の医療機関が未対応となっています。
マイナ保険証が利用可能かどうかは、受診する医療機関の公式ホームページで事前に確認しておきましょう。
3.2 個人情報漏洩リスクがある
マイナ保険証を利用する際には、従来の健康保険証と同様に、医療機関へマイナ保険証を持参することになるため、盗難や紛失のリスクがあります。マイナ保険証を、カードリーダーに置き忘れてしまうリスクも考えられるでしょう。
仮にマイナンバーカードが悪意のある人の手に渡ってしまうと、個人情報が抜き取られてしまうかも知れません。そのため、マイナ保険証の取り扱いに注意する必要があります。
3.3 紐づける手続きに時間がかかる
マイナ保険証を利用するためには、マイナンバーカードと健康保険証を紐づける手続きが必要です。この紐づけする手続きは、「保険証利用登録」といいます。
保険証利用登録の申し込みは医療機関などですぐにできますが、実際に利用できるようになる(登録完了)まで時間がかかる場合があります。すぐに医療機関でマイナ保険証が利用できるよう、受診までに登録を完了させておきましょう。マイナ保険証の手続き方法については後述します。
3.4 マイナンバーカードが有効期限切れで使えなくなる
マイナンバーカードは10年(未成年は5年)、マイナンバーカードに格納されている電子証明書の情報は5年間の有効期限があります。電子証明書の有効期限が切れていると、健康保険証として使えません。
また、マイナンバーカードが破損していると、情報が読み取れず、利用できないケースもあるため注意が必要です。
4. マイナ保険証の手続き方法
マイナ保険証を使うには、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけが必要です。マイナ保険証の手続き方法と、使い方について見ていきましょう。
4.1 マイナンバーカードを申請する
まだマイナンバーカードを持っていない方は、まずマイナンバーカードの申請が必要です。申請はスマートフォンやパソコン(オンライン)、郵便や証明写真機の4つの方法があります。それぞれの申請方法は以下の通りです。
- スマートフォン
スマートフォンで顔写真を撮影後、交付申請書のQRコードを読み取り、申請用Webサイトでメールアドレスを登録します。申請者専用WebサイトのURLが登録したメールアドレスに届いたら、顔写真を登録します。 - パソコン
カメラで顔写真を撮影したあと、申請用Webサイトでメールアドレスを登録します。メールアドレスに届いたWebサイトのURLから顔写真を登録し、必要事項を入力します。 - 郵便
交付申請書に必要事項を記入し、6ヶ月以内に撮影した顔写真を貼り付けて郵送します。 - 証明写真機
証明写真機のタッチパネルで「個人番号カード申請」を選択します。料金投入後、交付申請書のQRコードをバーコードリーダーにかざし必要事項を入力し、顔写真を撮影します。
4.2 健康保険証として使うための登録をする
マイナンバーカードが発行できたら、次に健康保険証として利用するための登録を行いましょう。登録方法は、顔認証付きカードリーダーからの申請、マイナポータルからの申請、セブン銀行ATMからの申請の3つの方法があります。それぞれの申請方法は以下の通りです。
- カードリーダーからの申請
医療機関や薬局の顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを置き、顔認証などの本人確認をしたあと、「マイナンバーカードを保険証として登録する」を選択すると、登録が完了します。実際に使えるようになるまで、時間がかかる場合があります。 - マイナポータルからの申請
マイナポータルのアプリをインストールし、アプリを起動。マイナ保険証利用の申し込みボタンをタップします。「マイナポータル利用規約」を確認して、同意して次へ進むボタンをタップします。
マイナンバーカードにスマートフォンをぴったりあてた状態で、マイナンバーカードの暗証番号を押し、読み取りが成功すると申し込みが完了します。
- セブン銀行ATMからの申請
セブン銀行に設置されているATMのトップ画面で「各種手続き」から「マイナンバーカードの健康保険証利用の申込み」を選択します。マイナンバーカードを差し込み、利用者証明パスワードを入力して申し込みます。手続き終了後、差し込んだカードを忘れないように注意してください。
4.3 医療機関・薬局で受付する
医療機関や薬局に設置されている顔認証付きカードリーダーにマイナ保険証を置き、顔認証か暗証番号入力をします。「過去の情報を利用いたします」の質問に「同意する」「同意しない」いずれかを選択すれば、手続きが完了です。
同意すれば、医師や薬剤師が過去の健康医療情報を確認できるため、正確なデータに基づいた適切な医療が受けられます。
5. まとめ
マイナ保険証があれば、医療機関で治療を受けるときや、薬局で薬をもらうときに健康保険証を持参する必要がなくなるうえ、医療費の負担が少なくなります。
何よりも、医師や薬剤師が過去の医療情報を確認できるため、データに基づいた適切な医療を受けられる点がメリットといえるでしょう。
ただし、悪用されると個人情報が盗まれるといったデメリットもあるため、紛失や盗難に遭わないよう、持ち歩きには細心の注意が必要です。
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