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年収1,000万円の人はどれくらいいる?手取りや生活費、貯蓄額を紹介

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掲載日:2025年6月23日

「年収1,000万円」と聞くと高収入のイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。実際に年収1,000万円を超える人は、全給与所得者の約5.5%にとどまります。しかし、企業規模や年齢帯、世帯単位で見ると超える層も決して少なくありません。

本記事では国税庁などの統計をもとに、年収1,000万円の人の割合や手取り額、生活費、貯蓄状況などをわかりやすく解説します。

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1. 年収1,000万円の人はどのくらいいる?

年収1,000万円と聞くと「裕福なイメージ」を持つ人もいるでしょう。実際に、該当する人の割合はそれほど多くないのが現状です。ここでは、国税庁などの統計をもとに、全体や男女別で年収1,000万円超の人がどのくらいいるのかを紹介します。

1.1 年収1,000万円の人の割合はどのくらい?

国税庁の「民間給与実態統計調査(令和5年分)」によると、令和5年の1年を通じて勤務した給与所得者5,076万人を給与階級別に見ると、年収1,000万円を超えている人の割合は5.5%という結果になっています。
以下は、年収ごとの割合の一覧表です。

【年収ごとの割合(2023年度)】
区分 全体(%) 男性(%) 女性(%)
100万円以下 8.1 3.6 14.1
100万円超200万円以下 12.3 6.0 20.5
200万円超300万円以下 14.0 9.7 19.6
300万円超400万円以下 16.3 14.9 18.1
400万円超500万円以下 15.4 17.5 12.7
500万円超600万円以下 10.8 14.0 6.7
600万円超700万円以下 7.1 10.0 3.4
700万円超800万円以下 4.9 7.2 1.9
800万円超900万円以下 3.2 4.9 1.0
900万円超1,000万円以下 2.3 3.6 0.7
1,000万円超1,500万円以下 4.0 6.3 1.0
1,500万円超2,000万円以下 0.9 1.4 0.2
2,000万円超2,500万円以下 0.3 0.4 0.1
2,500万円超 0.3 0.5 0.1

事業所の規模や企業規模(主に資本金、出資額、従業員数などの要素で分類する、企業の大きさや経済的な影響力を示す指標)によっても、年収の傾向は異なります。とくに事業規模が500人、あるいは資本金10億円以上の企業では、年収1,000万円以上の人が多い傾向があります。

さらに年齢も影響しており、年収1,000万円に到達する割合は50代から増える傾向があります。

【1年間の平均賃金が1,000万円以上の給与所得者の割合】
年齢階級 男性(%) 女性(%)
30〜34歳 0.2 0.1
35〜39歳 0.4 0.1
40〜44歳 0.5 0.3
45〜49歳 0.7 0.2
50〜54歳 1.3 0.4
55〜59歳 1.3 0.2
60〜64歳 1.0 0.2
65〜69歳 0.9 0.2
70歳〜 1.5 0.5

1.2 世帯所得1,000万円の世帯の割合はどのくらい?

厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収が1,000万円を超えているのは11.7%という結果になっており、個人の年収1,000万円よりも高い割合です。

高齢者世帯以外の世帯と児童のいる世帯では、1,000万円を超えているケースが多く見られます。一人で到達するのは難しくても、夫婦共働きなら世帯年収1,000万円に達している世帯が多いと推測されます。

【世帯別所得金額階級別世帯数の分布】
所得金額階級 全世帯(%) 高齢者世帯(%) 高齢者世帯以外の世帯(%) 児童のいる世帯(%) 65歳以上の者のいる世帯(%)
50万円未満 1.3 1.3 1.2 - 1.0
50〜100万円 5.6 10.0 3.1 0.4 7.4
100〜150万円 7.0 12.6 3.9 1.9 9.0
150〜200万円 7.6 13.8 4.0 2.0 10.4
200〜250万円 7.6 12.0 5.0 2.7 10.2
250〜300万円 6.9 10.3 5.0 3.3 8.8
300〜350万円 7.1 11.6 4.6 2.3 9.1
350〜400万円 5.7 6.2 5.4 3.1 6.0
400〜450万円 5.8 5.5 6.0 4.1 5.8
450〜500万円 4.9 4.4 5.1 4.4 4.6
500〜600万円 8.5 4.8 10.7 11.3 7.1
600〜700万円 6.4 2.3 8.7 10.0 4.4
700〜800万円 5.8 1.3 8.3 11.8 3.6
800〜900万円 4.6 1.2 6.6 9.1 3.1
900〜1,000万円 3.7 1.1 5.1 7.0 2.3
1,000万円以上 11.7 1.8 17.4 26.6 7.2

2. 年収1,000万円の手取りはいくら?

年収1,000万円の給与所得者の場合、所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれるため、実際に受け取れる手取り額の目安は700〜800万円ほどになる場合もあります。
以下に、年収1,000万円の給与所得者を想定した手取り額の一例を紹介します。

【前提条件】

  • 職業は会社員(事業の種類は一般に該当)
  • 東京都在住
  • 40歳以上65歳未満
  • 会社の所在地は東京都
  • 令和7年3月(4月納付分)からの健康保険料額で算出
  • 雇用保険は令和7年度の雇用保険料で算出
  • 配偶者は専業主婦
  • 子供は19歳の大学生で扶養親族の要件を満たしている

<健康保険料>57万2,700円(月4万7,725円×12)
<厚生年金保険料>71万3,700円(月5万9,475円×12)
<雇用保険料>1,000万×0.55%=年間5万5,000円
<給与所得控除>195万円

【所得税の計算】
1,000万円−57万2,700円−71万3,700円−5万5,000円−195万円
=670万8,600円

670万8,600円−基礎控除※1)48万円−配偶者控除※2)38万円−扶養控除※3)63万円
=課税所得金額※4)521万8,600円

課税所得金額521万8,600円×20%−控除額42万7,500円
=所得税額61万6,220円

【住民税の計算】
1,000万円−57万2,700円−71万3,700円−5万5,000円−195万円
=670万8,600円

670万円8,600円−基礎控除43万円−配偶者控除33万円−扶養控除45万円
=課税所得金額549万8,600円

課税所得金額549万8,600円×10%+均等割額5,000円
=55万4,860円

【手取り額の計算】
1,000万円−健康保険料57万2,700円−厚生年金保険料71万3,700円−雇用保険料5万5,000円−所得税額61万6,220円−住民税額55万4,860円
=748万7,520円

この例では、年収1,000万円でも社会保険料や各種税金を差し引くと手取り額は約748万円となります。ただし、実際の金額は、居住地や家族構成で変わります。また、共働きで世帯収入が1,000万のケースも、上記の計算結果とは異なるため、あくまでも目安にとどめておきましょう。

  1. ※1)基礎控除:合計所得金額が一定額以下であれば、すべての納税者が適用可
  2. ※2)配偶者控除:控除対象配偶者がいる場合に適用
  3. ※3)扶養控除:控除対象扶養親族がいる場合に適用
  4. ※4)課税所得金額:税額を計算するときのベースとなる金額

3. 年収1,000万円の生活費は?

世帯年収1,000万円の暮らしぶりはどのようなものなのか気になる人もいるでしょう。総務省の家計調査を参考に、二人以上世帯における支出状況を見ていきましょう。いずれの支出項目も、概ね世帯年収が高いほど大きくなる傾向があります。

ただし住居費については、持ち家世帯が含まれていることや、住宅ローンの返済額が支出として計上されていないため、実際の相場よりも低めになっている点には注意が必要です。

【年収1,000万円以上の世帯の1ヵ月の支出(二人以上の世帯)】
支出項目 平均 世帯年収
1,000〜1,250万円 1,250〜1,500万円 1,500万円以上
合計 29万3,997円 40万1,095円 45万9,341円 54万5,687円
食料 8万1,738円 10万0,273円 10万9,116円 12万7,253円
住居 1万8,006円 2万0,464円 2万6,863円 2万5,575円
光熱・水道 2万3,855円 2万6,069円 2万6,460円 2万9,077円
家具・家事用品 1万2,190円 1万5,871円 1万5,548円 1万9,175円
被服及び履物 9,297円 1万6,119円 1万8,816円 2万7,193円
保健医療 1万4,645円 1万8,098円 1万8,770円 2万2,686円
交通・通信 4万2,693円 6万3,190円 8万3,095円 6万5,258円
教育 1万0,446円 2万5,186円 2万9,302円 4万1,878円
教養娯楽 2万8,630円 4万3,058円 4万8,920円 6万8,281円
その他の消費支出 5万2,498円 7万2,767円 8万2,451円 11万9,310円

4. 年収1,000万円の貯蓄額は?

次に年収1,000万円の世帯がどのくらい貯蓄をしているのか、二人以上世帯と単身世帯に分けて中央値を見ていきましょう。中央値とは、データを小さい順に並べたときの真ん中の値を指し、データの合計をデータの個数で割って計算する平均値と比べて、極端な数値の影響を受けない点が特徴です。

金融資産保有額を比較すると、単身世帯の人が多い傾向にあり、その背景には単身のほうが子どもの教育費など大きな出費が少なく、より多くの収入を貯蓄に回せる可能性がある点が挙げられます。

【年収別貯蓄額の中央値(二人以上世帯)】
年収 金融資産保有額※5
収入はない 0万円
300万円未満 50万円
300〜500万円未満 274万円
500〜750万円未満 400万円
750〜1,000万円未満 850万円
1,000〜1,200万円未満 1280万円
1,200万円以上 1500万円
無回答 -
【年収別貯蓄額の中央値(単身世帯)】
年収 金融資産保有額※5
収入はない 0万円
300万円未満 50万円
300〜500万円未満 200万円
500〜750万円未満 600万円
750〜1,000万円未満 2260万円
1,000〜1,200万円未満 5万円
1,200万円以上 4095万円
無回答 488万円
  1. ※5)金融資産とは、銀行預金や株式、債券、投資信託など、実体を持たないが経済的価値を持つ資産を指します。これに対して、土地や建物、貴金属、美術品などの形ある資産を「現物資産」と呼びます。

5. まとめ

年収1,000万円は給与所得者全体の約5.5%と高いハードルですが、企業規模や年齢、世帯の状況によっては思いのほか多くの人が達成しています。また、共働き世帯では約11.7%が年収1,000万円を超えています。

一方で社会保険料や税金を差し引くと、手取りは700〜800万円ほどになる点に注意が必要です。生活費や貯蓄額も家族構成や住居形態によって大きく異なるため、収入ではなく手取りを基準にライフプランを考えることが大切でしょう。

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