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睡眠の質を上げるには?質が下がる要因や改善方法をまとめてご紹介

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掲載日:2025年8月22日

「寝ても疲れが取れない」「寝つきが悪い」「夜中に目が覚める」といった悩みを抱える人も多いでしょう。睡眠は高血圧や糖尿病、認知症などの健康リスクを高めるだけでなく、ストレスや仕事のパフォーマンス、生産性にも悪影響を及ぼします。

この記事では睡眠のメカニズムから睡眠の質が下がる原因、睡眠の質を上げる方法について解説します。睡眠の質を改善し、健康で充実した毎日を送りましょう。

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1. 睡眠の仕組みとメカニズム

人が眠くなるメカニズムは大きく分けて二つあります。

一つ目は「体内時計」です。体内時計の中枢は、脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)という神経核に存在します。人の体内時計の周期は、実は24時間よりもわずかに長いため、体内時計を毎日リセットしないと、就寝時間や起床時間が徐々に後ろへずれ込み、生活リズムが乱れてしまうことがあります。したがって、毎朝太陽の光を浴び、体内時計の調節が重要です。体内時計がリセットされると、夜には自然に体温が下がり、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌され、脳が眠気を感じるようになります。

二つ目は「睡眠圧」です。睡眠圧とは、起きている時間が長くなるほど「眠りたい」という気持ちになる欲求のことです。脳や身体を動かすと、脳内ではアデノシンという物質が蓄積し、覚醒物質であるオレキシンよりも増えると眠りたい欲求が高まります。ただし、日中溜まったアデノシンが睡眠で分解されないと、「朝すっきりと起きられない」「起床しても頭がぼんやりする」といった不調が現れやすくなります。

これらの働きがうまく機能することで、睡眠の質が高まります。なお、睡眠の質は「眠りのリズムが整っているか」と「どれだけ深く眠れたか」で決まります。私たちの睡眠は、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)が約90分ごとに繰り返されます。最も重要なのは、寝入りの最初の90分です。この時間でどれだけ深く眠れたかによって睡眠の質が決まります。深い眠りのおかげで成長ホルモンが分泌され、アデノシンが分解され、眠りのリズムが整うようになります。

2. 睡眠の質が悪いとどうなる?

睡眠の質が低下したり、睡眠時間が短すぎたり長すぎたりすると、健康や生活のあらゆる面に悪影響を与えることが分かっています。

【睡眠の質が悪いと生じる主な影響】
睡眠の質が悪いと生じる主な影響
主な影響 具体的な内容
免疫機能が低下する 免疫力が落ち、風邪をひきやすくなるほか、心疾患やうつ病、がんのリスクが高まる。
肥満リスクが上がる 食欲が増進しやすくなり、満腹感を与えるホルモン(レプチン)が減少。逆に空腹を感じさせるホルモン(グレリン)が増えるため、過食やカロリー過多につながる。
糖尿病のリスクが上がる 血糖値を調整する力が弱まり、グルコースの吸収能力が低下。さらに、インスリンに対する反応性も下がり、糖尿病の発症リスクが高くなる。
感情が不安定になる イライラしやすくなり、些細なことで怒ったり落ち込んだりしやすくなる。対人関係で攻撃的になるなど、感情のコントロールが難しくなる傾向がある。
記憶力や学習効率が下がる 記憶力が下がり、新しいことを覚えにくくなる。アルツハイマー病の原因であるアミロイドβが溜まる。
仕事に対するモチベーションが下がる 挑戦的な業務を避ける傾向があり、モチベーションが下がる。プレゼンティーイズム(出社をしているものの業務効率が落ちている状態)が生じる。

このように、睡眠の乱れは眠気や疲れだけではなく、健康・感情・認知機能・仕事のパフォーマンスに至るまで、あらゆる面にじわじわと影響を与えていきます。こうしたリスクを未然に防ぐためには、「何時間寝たか」だけでなく「どのように眠れたか」も意識することが大切です。

3. 睡眠の質が下がる主な要因

「なんとなく眠りが浅い」「朝スッキリ起きられない」と感じる原因には、一見些細に思える日常の習慣や環境に隠れていることが少なくありません。ここでは、睡眠の質を下げてしまう主な要因について、生活習慣・生活リズム・睡眠環境の3つの観点から解説します。

3.1 睡眠を妨げる悪い生活習慣

睡眠を妨げる生活習慣には、以下のようなものがあります。

  • 就寝直前までスマホやパソコンを見る
  • 就寝間際に食事を取る
  • 寝酒をする
  • 体を動かさない

就寝直前までスマホやパソコンを見ると、ブルーライトの影響で睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が抑制され、睡眠の質が下がります。就寝間際の食事は、睡眠中の消化活動によって身体が十分に休息できなくなる原因です。

寝酒は寝つきが良くなるように感じますが、アルコールの利尿作用により夜中に目が覚めやすくなります。また、運動不足も睡眠の質に影響する原因の一つです。運動不足になると、眠りたい欲求であるアデノシンが十分溜まらないため眠りにくくなります。さらに、ストレスが溜まりやすく、リラックスしにくい状況になります。

このように、普段何気なく行っている生活習慣が、知らず知らずのうちに睡眠の質を低下させていることがあります。

3.2 不規則な生活リズム

就寝や起床の時間、食事のタイミングが不規則になると、体内時計が乱れやすくなります。体内時計がずれると睡眠のリズムも不安定になり、眠りの質が低下する要因となります。

また、仕事や日常生活におけるストレスの影響で、自律神経のバランスが崩れ、交感神経が優位な状態が続きやすくなります。このような緊張状態が続くと、体が休まらず、寝つきが悪くなる、眠りが浅くなるといった影響が現れやすくなります。

3.3 不適切な睡眠環境

睡眠の質に影響を与える環境要因には、以下のようなものがあります。

  • 寝室の明るさ
  • 周囲の音
  • 寝室の温度と湿度
  • 体に合わない寝具や通気性の悪い寝具

就寝直前まで光を浴びていたり、窓から光が入ったり、蛍光灯や常夜灯をつけたまま眠ると、睡眠の質が低下することがあります。騒音の影響も大きく、外からの騒音や交通音、室内の生活音、さらにはいびきなどがある環境では、眠りが浅くなる傾向があります。

快適な睡眠には、適切な寝室の温度と湿度も不可欠です。室温や湿度が高いと、体温が下がりにくく寝苦しくなり眠りが浅くなります。逆に寒すぎると体が冷えすぎて眠りが妨げられます。また、寝具が自分の体に合っていないと、腰痛やリラックスできない状況を招きます。さらに、熱がこもりやすい素材の枕やマットレス、パジャマなどを使うと、体温の低下を妨げ、結果として睡眠の質が低下してしまいます。

質の高い睡眠を得るためには、光・音・温度・寝具など、睡眠環境の各要素を見直すことが大切です。

4. 睡眠の質を上げる方法

睡眠の質は、ちょっとした習慣の工夫や環境の整え方によって大きく変わるものです。ここでは、就寝前の過ごし方や日中の習慣、睡眠環境の整え方など、今日から取り入れられる実践的な方法を紹介します。

4.1 就寝前の行動を改善する

睡眠の質を上げるためには、まず就寝前の行動や習慣を見直すことが重要です。夕食は寝る2~3時間前に済ませましょう。また、入浴は寝る約90分前にすると、体温が下がるタイミングで寝やすくなります。

就寝直前には、スマホやタブレットを触る、寝酒をするといった習慣を避けましょう。就寝1時間前からスマホの使用を控えることが理想的です。どうしてもスマホを使う場合は、ブルーライトを抑える設定をする、ストレッチなどリラックスする時間をつくるなど工夫をしましょう。

コーヒーや紅茶が好きな方は、カフェインの量や摂取時間に注意が必要です。カフェインには覚醒作用があるため、個人差はありますが1日の摂取量を4~5杯程度に抑え、午後3時以降は控えるように心掛けると、よりスムーズに眠りにつけるでしょう。

4.2 日光を浴びる

朝起きたらカーテンを開け、光を浴びることを習慣にしましょう。朝日を目から吸収することで体内時計が整います。体内時計のおかげで夜に睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌されたり、体温が下がったりするようになります。

4.3 睡眠環境を整える

眠るときは、光のない環境を整えることが理想です。常夜灯もつけない方がいいでしょう。また、音がない静寂な環境づくりが大切です。どうしても光や音が気になる場合は、アイマスクや耳栓の使用を検討してみてください。室内温度は冬で15℃以上、夏で26~28℃に設定し、湿度は50~60%が理想と言われています。

枕は首の高さに合わせることが重要です。素材も羽毛、低反発ウレタンなどさまざまあるため、通気性や好みの感触、頭の沈み込み具合なども考慮しながら、実際に試してみて最もリラックスできると感じるものを見つけましょう。

5. まとめ

睡眠の質は高血圧や糖尿病、肥満、認知症、うつ病などの健康リスクを高めるだけでなく、仕事の生産性や経済面にも大きな影響を及ぼします。睡眠の質を改善するためには、まず睡眠を妨げる習慣を避けることが大切です。たとえば、夜遅くまでスマホやパソコンを使用する、就寝直前に食事を取るといった習慣は避けましょう。一方で、質の高い睡眠習慣を取り入れることも大切です。朝日を浴びるなど、小さなことでも無理なく続けられることから始めて、睡眠の質向上を目指しましょう。

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