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ブルベア型ファンドとは?意味などの基礎知識やメリット、注意点などを徹底解説!

  • #資産運用
  • #投資信託

掲載日:2018年11月29日
最終更新日:2023年9月25日

投資信託には、インデックス型やアクティブ型といった運用手法の商品がありますが、そのなかに特殊運用型と呼ばれる商品があることをご存じでしょうか?今回は、そんな特殊運用型商品の一つである「ブルベア型ファンド」についてご紹介していきます。

「ブルベア」と聞いて、ピンと来た方はなかなかのファンド通。特殊運用型という言葉どおり、ブルベア型ファンドはある種マニア心をくすぐる商品で、近年ジワジワと人気が出ている商品でもあります。市場が一定方向へ向くときに大きなリターンが期待できるファンドでもありますので、その特殊性やメリットデメリットを理解して、まずは少額からはじめてみてはいかがでしょうか。

この記事は12分で読めます!

1. そもそもブルベアとは?

「ブルベア」とは、金融業界で使われる専門用語。「ブル」は雄牛、「ベア」は熊を指しています。角を下から上へ振り上げて攻撃する牛を連想させることから、「ブル(雄牛)」は強気の相場や上昇相場を意味します。

一方で「ベア」は、熊が爪を上から下へ振り下ろす攻撃を連想させることから、下落相場を表します。このあたりの言葉のセンスに、なんとなく“投資の世界”が感じられますね。

2. ブルベア型ファンドとは?他のファンドとの違いは?

ブルベア型ファンドとは、ブル型ファンドとベア型ファンドの2種類の総称です。ブル型は上昇相場で大きく利益が出て、ベア型は下落相場で利益が出るのが特徴。ブル型とベア型のファンドは、常に正反対の値動きをします。「上昇相場で利益が出るのはわかるけれど、下落相場で利益が出るとはどういうこと?」と、思った方もいらっしゃるかもしれませんが、ブルベア型ファンドはほかのファンドとは異なり、株価指数などの先物取引を活用しています。そのため、買ってから売るだけではなく、先に(高く)売ってから(安く)買い戻すことができ、相場が下降するときでも利益を得ることができるのです。

さらに、レバレッジ(てこの原理)をきかせることで、指数の値動きに対して、2倍、3倍と基準価額が変動します。数倍の収益をねらえるブルベア型ファンドなどもあり、より高いリターンが期待できます。

ちなみに、投資信託の商品名には「ブル型」、「ベア型」という言葉が使われています。また、2倍、3倍、など、対象となる指標の何倍の値動きを目指すものなのかも記載されていますので、チェックしてみてください。

3. ブルベア型ファンドのメリットは?

ブルベア型ファンドには、一般のファンドと違ったリターンが期待できるというメリットがあります。原資産の値動きに対して一定の倍率の値動きを目指すため、短期間で高いリターンをねらうことができます。また、上昇局面でも下落局面でもリターンがねらえることも、大きな特徴の一つです。

メリット1:上昇局面で有利にはたらくブル型ファンド

ブル型ファンドは、相場の値動きに対して一定の倍率での値動きを目指すため、短期間で高いリターンをねらえるというメリットがあります。相場が上昇すると思ったら、レバレッジのきいたブル型ファンドを購入することでより高い利益を目指すことができます。そのため、ある程度の相場観をお持ちの方には、興味深い商品ではないでしょうか?ブル型ファンドは、相場の上昇が続く局面において大きなリターンをねらうことができますが、下落局面で購入すると損失の幅が大きくなります。購入を検討する際には、値動きの傾向をしっかり認識しておきましょう。

メリット2:下落相場でもリターンが狙えるベア型ファンド

下落相場でもリターンが狙えることは、ベア型ファンドならではのメリットです。例えば、日経平均株価と同じ方向に連動するファンドを保有している場合。「今が最も高い相場で、今後は相場が下落する」と考えたら、新たに日経平均に連動するファンドを買っても損をしそうなので、保有しているファンドを売却することになりますよね。しかし日経平均株価のベア型ファンドでは、通常損失が発生するような下落相場になると思ったときに購入することで、利益をねらうことができます。

メリット3:組み合わせ効果

ブルベア型ファンドには、一般のファンドと違ったリターンが期待できるため、組み合わせて保有することで、リスクを抑える効果があります。先ほどの日経平均株価で例えると、日経225のインデックスファンドと、日経225のベア型ファンドを組み合わせて保有することで、インデックスファンドが下落したときでも、損失を軽減するリスクヘッジ効果が働きます。

メリット4:追加証拠金の支払いが不要

追加証拠金の支払いが不要なことも、ブルベア型ファンドのメリットの一つといえるでしょう。ブルベア型ファンドには、「3倍ブル型ファンド」、「3倍ベア型ファンド」というレバレッジをきかせることができるファンドがあります。

一般的に、レバレッジがきくFXや信用取引を行うには、証拠金と呼ばれる担保となる現金を口座に入金しておく必要があります。損失が一定のラインを下回ると証拠金が不足し、追加で証拠金を支払う追加証拠金が必要になります。ブルベア型ファンドはレバレッジが効きますが、追加証拠金は発生しません。

4. ブルベア型ファンドのデメリットは?

一般のファンドと違ったリターンが期待できるブルベア型ファンドですが、デメリットがないわけではありません。ここでは、ブルベア型ファンドのデメリットについてみていきましょう。

デメリット1:リスクが高い

一般のファンドと違ったリターンが期待できる一方で、ブルベア型ファンドで最も注意が必要なのは、値動きの幅が大きくリスクが高い商品であるということです。倍率が高いブルベア型ファンドを購入した場合、ファンドの基準価額は大きく変動します。倍率の高いファンドは、日々の相場の値動きに対して大きなリターンをねらえる可能性がありますが、大きな損失を被るデメリットもあります。最初は倍率の低いブルベア型ファンドからスタートすると良いでしょう。

デメリット2:長期投資に向かない

相場は常に変動していますので、上昇相場や下落相場が長期間続くことはほとんどありません。そのため、ブルベア型ファンドは長期的な保有には向かないファンドです。一つのファンドで長く運用を続けたいという方にはあまりおすすめできません。ブルベア型ファンドは短期での運用と割り切りましょう。

デメリット3:ボックス相場では目減りする

ボックス相場とは金融業界で使われる用語で、一定の変動幅の範囲内で、価格の上がり下がりを何度も繰り返す相場のことを指します。ボックス相場で上下変動を繰り返しトレンドがはっきりしない状態が継続すると、ブルベア型ファンドの資産は目減りしてしまいますので注意が必要です。

例えば、日経平均の日々の基準価格の値動きの3倍程度となることを目指して運用するブル型ファンドを購入した場合。基準価格が1日目に1%上昇すると、ブル型ファンドは3倍の3%上昇します。しかし、翌日に1%下落すると、3倍の3%下落することになりますので、結果としては目減りしてしまうことになります。

1日目 2日目
1%×3倍上昇 1%×3倍下落
100万円×103%=103万円 103万円×97%=99万9,100円

ボックス相場になったらブルベア型ファンドへの投資は一時的にお休みしましょう。

5. ブルベア型ファンドの値動きのイメージ

ブルベア型ファンドの購入を検討する際は、ブル型のファンドとベア型のファンドの値動きのイメージを捉えておくことが重要です。ここでは、それぞれの値動きについて解説していきます。

1:ブル型ファンド

ブル型ファンドは、強気の相場や相場の上昇が続く局面で有利に働くファンドです。数日のような短期間の投資であっても、相場が大きく上昇した場合には大きなリターンを得ることができます。ここでは相場が上昇局面での、3倍のブル型ファンドの値動きをみてみましょう。

【図1】上昇局面のブル型ファンド基準価額の推移イメージ
(円)

ブル型ファンドを基準価格100円で基準日に購入し、翌日(1日目)に市場が10円上がり110円になると、ブル型ファンドは市場の3倍の30円に上がって130円になります。さらに翌々日(2日目)に市場が10円上がり120円になると、ブル型ファンドは130円から165.5円に上がります。それでは反対に、相場が下落局面の、3倍のブル型ファンドの値動きをみてみましょう。

【図2】下落局面のブル型ファンド基準価額の推移イメージ
(円)

ブル型ファンドを基準価格100円で基準日に購入し、翌日(1日目)に市場が10円下がり90円になると、ブル型ファンドは市場の3倍の30円下がり、70円になります。さらに翌々日(2日目)に市場が10円下がり80円になると、ブル型ファンドは70円から46.7円に下がります。

2:ベア型ファンド

ベア型ファンドは、弱気の相場や相場の下落が続く局面で有利に働くファンドです。数日のような短期間の投資であっても、相場が大きく下落した場合には大きなリターンを得ることができます。ここでは、相場が下落局面での、3倍のベア型ファンドの値動きをみてみましょう。

【図3】下落局面のベア型ファンド基準価額の推移イメージ
(円)

ベア型ファンドを基準価格100円で基準日に購入し、翌日(1日目)に市場が10円下がり90円になると、ベア型ファンドは市場の3倍の30円上がり、130円になります。さらに翌々日(2日目)に市場が10円下がり80円になると、ベア型ファンドは130円から173.37円に上がります。

それでは反対に、相場が上昇局面の、3倍のベア型ファンドの値動きをみてみましょう。

【図4】上昇局面のベア型ファンド基準価額の推移イメージ
(円)

ベア型ファンドを基準価格100円で基準日に購入し、翌日(1日目)に市場が10円上がり110円になると、ベア型ファンドは市場の3倍の30円下がり70円になります。さらに翌々日(2日目)に市場が10円上がり80円になると、ベア型ファンドは70円から50.9円に下がります。

6. ブルベア型ファンドの注意点は?

特殊運用型の「ブルベア型ファンド」は、一般的なファンドとは異なる特徴があるため、購入や保有時には注意しておく点がいくつかあります。ここでは、その注意点についてそれぞれ解説していきます。

注意点1:倍率の考え方

まず、ブルベア型ファンドの倍率の考え方について知っておく必要があります。例えば、1年間に市場が10%上昇した場合、市場の3倍の動きをする3倍のブル型ファンドを保有していれば、1年間で30%上昇すると考えがちですが、そうではありません。ブルベア型ファンドのレバレッジの倍率は、1日単位で比較した倍率となります。そのため表示されている倍率も、1日単位で比較したものとなっていますので、購入を検討する際は注意して確認してください。

注意点2:基準価格の計算がしにくい

ブルベア型ファンドは、基準価格の計算についても注意が必要です。

【図1】を例に解説すると、市場の3倍の動きをする3倍のブル型ファンドを基準価格100円で購入し、基準日の翌日に市場が10円上昇した場合、ブル型ファンドは30円上昇し、3倍のリタ―ンが得られます。さらに翌々日にも市場が10円上昇すると、35.5円上昇します。翌々日は3倍以上に上昇したかのように見えますが、翌々日の120円は翌日の110円と比較し、9.1%の上昇。つまり、9.1%×3倍の27.3%しか上がっていません。

しかしながら、翌日の基準価格の130円から27.3%上昇しているため、基準価格は165.5円となります。「基準日から2日間で20円上がったから、3倍の60円上がる」と思い込んでしまうと、正しい基準価格の算出ができませんので、注意してください。

注意点3:もみ合い相場は裏目となる

相場がもみ合い相場となった場合、ブル型ファンドもベア型ファンドも下落する可能性があります。もみ合い相場とは、相場が上昇と下落を繰り返すボックス相場を指します。相場がもみ合うことで、ブル型ファンドもベア型ファンドも想定以上に目減りすることがありますので、注意しておく必要があります。

【図5】もみ合い相場での基準価額の推移イメージ
(円)

注意点4:ほったらかし投資ができない

ブルベア型ファンドは、ほったらかし投資ができないということも大きな注意点の一つです。ブル型ファンドは上昇局面、ベア型ファンドは下落局面と、ブルベア型ファンドでは、市場が一方向に動いたときに大きなリターンが得られます。

しかし、相場は上昇と下落を繰り返していますので、ブルベア型ファンドを購入してほったらかしておくと、もみ合い相場の影響を受け、気づいたときには損失が拡大しているというおそれもあります。購入後はしっかりと運用管理をおこなうようにしてください。

7. ブルベア型ファンドの活用法を紹介

ブルベア型ファンドは、市場が一定方向へ向くときに大きなリターンが期待できるファンドです。そのため、上昇、または下落の一方向に相場が動くと予測したときが、活用のベストなタイミングとなります。ここでは、ブルベア型ファンドの活用法について紹介していきます。

活用法1:短期投資で活用

ブルベア型ファンドは、短い投資期間で高いリターンをねらえる、中上級者向けのファンドといえるでしょう。ブルベア型ファンドに興味をいだいたら、最初は資金の余剰範囲内で、短期投資としてはじめることをおすすめします。特殊な値動きをするファンドですので、実際に保有してみて基準価格の動きを日々確認していくことで、理解を深めていくのもよいでしょう。まずは、少額からチャレンジしてみてください。

活用法2:底値と天井を知って活用

ブル型ファンドやベア型ファンドで大きくリターンを得るためには、トレンドが転換するタイミングを知ることが重要です。相場の底値と天井を知ることが、大きなリターンを得られるかどうかのポイントとなります。

つまり、ブル型ファンドは株価が底を打ったときに買い、ベア型ファンドは天井のときに買う。その後は、値動きが一方向の期間は保有し、逆に動くときには売るというイメージを持っておくことが大切です。

8. 投資信託のご相談なら東京スター銀行にお任せください

ブル型ファンドとベア型ファンドの両方を活用することで、上昇局面でも下落局面でもリターンを得られるのが、ブルベア型ファンドのメリットです。「将来の資産形成に向けてブルベア型ファンドに興味があるが、上手に活用できるか心配」「退職金の運用に、投資信託を活用できるのか?」「投資にチャレンジしたいが、貯金がなくなるのは困る」このような不安を感じる方は、ぜひ東京スター銀行にご相談ください。

東京スター銀行では、投資信託から運用商品のアフターケアまで、資産形成のことならなんでも相談できる、オンライン相談サービスをご提供しています。オンライン相談のご予約は、以下のウェブサイトからお申し込みください。

9. まとめ

今回は、投資信託のひとつであるブルベア型ファンドについてご紹介してきました。ブルベア型ファンドは一般のファンドとは異なる性質を持っているため、組み合わせて運用することで、市場の変化に対して、柔軟な対応ができ得るファンドです。値動きの傾向にも特徴がありますので、しっかり理解してここぞというシーンでのツールとして、機敏に使いこなせることが理想です。東京スター銀行で、是非一度、投資信託について相談してみてはいかがでしょうか。

【ライター情報】
杉浦詔子

CFP@認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント
「働く人たちを応援するファイナンシャルプランナー/カウンセラー」として、働くことを考えている方からリタイアされた方を含めた働く人たちとその家族のためのファイナンシャルプランニングやカウンセリングを行っております。

CFP@認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント
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