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フィリピンの不動産投資とは?メリット・デメリットや手順、注意点

  • #不動産担保ローン

掲載日:2024年11月26日

不動産の投資家にとって、高い成長率が見込めるフィリピンの不動産は有望な市場といえます。

ただ一方で、外国人に対する投資の規制や日本とは異なる不動産事情もあるため、リスクや注意点をしっかり踏まえておくことが必要です。

この記事では、フィリピンの不動産投資のメリットやリスク、注意点を解説します。フィリピンの不動産購入の手順についても紹介しますのでぜひ参考にしてください。

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1. そもそもフィリピンで不動産投資はできる?

フィリピンの不動産を日本人が購入できるかについて、フィリピンに在住していない日本人でも購入は可能です。

ただし、フィリピンでは個人の外国人による土地の所有は認められておらず、土地と建物の登記が分かれていない戸建て住宅については購入できません。

そのため、不動産投資の対象となるのは、コンドミニアム(日本の分譲マンション)やタウンハウスなどの集合住宅になります。また、1棟当たり外国人が保有できる戸数は、全戸数の40%までに制限されています。

2. フィリピンの基本情報

最初にフィリピンの基本情報について紹介します。

2.1 フィリピンの概要

フィリピン
フィリピンの概要
面積 298,170平方キロメートル(日本の約8割)。7,641の島々がある。
人口 1億903万5,343人(2020年フィリピン国勢調査)
首都 マニラ(首都圏人口約1,348万人)(2020年フィリピン国勢調査)
民族 マレー系が主体。他に中国系、スペイン系など、および少数民族
言語 フィリピノ語(タガログ語)および英語
宗教 主にキリスト教
通貨 フィリピン・ペソ(PHP)
主要産業 ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)産業を含むサービス業(GDPの約6割)、鉱工業(GDPの約3割)、農林水産業(GDPの約1割)(2021年)
日本からの移動時間 約4.5時間
日本との時差 約1時間(日本の方が進んでいる)

フィリピンは東南アジアに位置する島国であり、首都マニラはルソン島に位置します。気候は、1年を通して気温・湿度の高い熱帯モンスーン型気候で、地域差はありますが、雨季(6〜10月)と乾季(11〜5月)に分かれます。

2.2 フィリピンの政治

フィリピンは大統領を元首とする共和制国家です。フィリピンの大統領は、国民による直接選挙によって選ばれ、任期は6年で再選は禁止されています。

2.3 フィリピンの経済(2024年現在)

フィリピンの名目GDPは、この10年を見ても増加傾向が続き、ASEAN主要国のなかでも高い成長率を示しています。

また、住宅需要にも影響する人口予測では、マレーシアやインドネシアが2060年代までに人口増加率がマイナスに転じる見通しであるのに対し、フィリピンは2093年まで続く見通しです。

2.4 フィリピンのインフラ事情(2024年現在)

首都マニラでは、急激な人口増加に伴い慢性的な交通渋滞や鉄道の混雑が発生していることから、新たな交通インフラとしてマニラ地下鉄の建設が進められています。

ケソン、オルティガス、ボニファシオ・グローバルシティ(BGC)など主要エリアを通る全長33kmの地下鉄で2029年末の開通予定となっています。

また航空需要の増加に対し、「ニノイ・アキノ国際空港」だけでは旅客・貨物の処理能力が不足し慢性的な混雑が問題となっており、2027年の開港を目指し、「新マニラ国際空港」の建設が進んでいます。

3. フィリピン不動産投資のメリット

フィリピン不動産投資のメリットについて解説します。

3.1 賃貸物件の需要が高く、安定した賃貸収入が見込める

フィリピンの賃貸需要は高く、安定した賃貸収入が見込める点はメリットといえます。賃貸需要を支えるのは、人口増加と海外企業の進出です。

フィリピンは他の東南アジア諸国と比べても平均年齢は若く、生産年齢人口(15〜64歳の労働力の担い手となる層)の割合が多いので、今後も賃貸需要の拡大が期待できるでしょう。

また、英語の普及率の高いフィリピンでは、欧米系企業を中心としたコールセンターの新規進出や増設が積極的に行われ、それに伴う外国人駐在員の賃貸需要の増加が予想されます。

3.2 投資にかかるコストを抑えられる

フィリピンのマンション価格は他国と比べて割安な傾向にあり、投資コストを抑えやすいといえます。

首都マニラのコンドミニアムは、東京の分譲マンションの半分以下程度の価格で購入が可能です。24時間常駐管理、ジムやプールが完備されたハイグレードな物件でも他国より手軽に購入できるため、コストを抑えて不動産投資を始めることができるでしょう。

3.3 日本から現地へ視察に行きやすい

日本からフィリピンまで4〜5時間でアクセスでき、現地を視察しやすい点もメリットです。

海外の不動産投資先の中でも比較的短時間で移動でき、滞在時間を延ばしやすいので、フィリピンは現地で物件や周辺環境、交通利便性などを確認したうえで購入ができる市場といえます。

3.4 期待利回りが高い

フィリピンの不動産投資の期待利回りは、アジアのなかでも高い傾向にあります。

期待利回りとは、投資金額に対してどれくらいの収益が得られるかを示す指標のことで、次の計算式で求めます。

期待利回り=1年間の想定家賃収入÷不動産価格×100(%)

高い経済成長率を誇るフィリピンでは、国民の所得上昇に伴う物価上昇によって家賃水準が上がれば、将来の利回り向上が期待できるでしょう。

3.5 物件価格の上昇が期待できる

不動産投資の利益には、毎月の家賃収入であるインカムゲインの他、不動産を売却したときに得られるキャピタルゲイン(売買差益)があります。

高い成長率を誇るフィリピンでは、将来的な不動産価格の上昇が期待できます。その結果、購入時より高い価格で売却できれば、キャピタルゲインを得やすくなります。

さらにフィリピンでは、現在の人口ピラミッドから長期的に中産階級の拡大が期待でき、不動産の購入者が増えれば不動産市場全体の成長につながるでしょう。

フィリピンと日本の人口ピラミッド
フィリピンのGDPの推移
出典:世界経済のネタ帳「フィリピンのGDPの推移」

4. フィリピン不動産投資のデメリットやリスク

一方でフィリピン不動産投資ではデメリットやリスクもあります。

4.1 為替リスクがある

日本からフィリピンの不動産投資をする場合、為替リスクがあります。

フィリピンの不動産価格はフィリピンの通貨「フィリピンペソ」で決まり、不動産購入時は円からフィリピンペソへ替えて購入します。一方売却する際は、フィリピンペソで受け取った売却収入を日本円に替えることが必要です。

そのため、たとえば、購入時より為替レートが「1ペソ=2.5円」から「1ペソ=2.2円」など円高になれば、収益を圧迫する可能性があります。ただし、反対に購入時より円安になった場合、為替差益が生じる可能性もあります。

4.2 プレビルドで支払ったお金が戻ってこないリスクがある

フィリピンでも行われているプレビルド投資では、支払ったお金が戻ってこないリスクがあります。

プレビルドとは、建物の完成前にお金を支払い、完成後に賃貸あるいは売却する投資方法です。

プレビルドでは、建物が完成するまでに物件価格の2割程度を毎月分割払い(毎月数万円程度)し、残り8割を完成後に一括払いあるいはローンを組むことが一般的です。

成長著しい国の都市部では、再開発や交通インフラの整備などで数年後に不動産価格が上昇することもあります。完成後の値上がりを予想して割安で購入し、完成後に売却、賃貸できる点は、プレビルドのメリットといえるでしょう。

ただし、資金不足やデベロッパーの倒産などで建物が完成しないリスクがあり、最悪の場合お金が返ってこないケースもあります。

4.3 情報収集が難しい場合がある

エリアや物件探しの条件によっては、現地の正確な情報を収集するのが難しい場合もあります。

日本と比べると不動産に関する情報が少ないこともあるため、投資対象となる物件がなかなか見つからないケースもあるでしょう。

投資物件の情報収集には、「Lamudi(ラムーディ)」などの現地の不動産ポータルサイトを利用することがおすすめです。

予算や立地、部屋の広さ(ベッドルーム数)などで検索し、複数の物件を比較しながら選べます。

5. フィリピンの不動産投資の手順

ここではフィリピンの不動産投資の手順について解説します。

Step1.不動産投資の目的を確認する

不動産投資の目的として、「家賃収入を得る」「売却益を得る」あるいは「相続税対策のため」などいくつか考えられます。

物件の選び方や保有期間などが変わる可能性があるため、まず目的を明確にしましょう。

Step2.エリアを決める

投資金額や投資目的にあわせてエリアを決めます。

マニラ首都圏でも、ボニファシオ・グローバルシティやマカティのように駐在家族や富裕層が多く住む人気エリアでは、高級コンドミニアムの需要が高く、他の地域と比べ不動産相場も高くなります。

また、長期で家賃収入を得るのか、短期間での売却も視野に入れてキャピタルゲインを狙うのかなどでも投資先が変わる可能性があるでしょう。

Step3.不動産会社に問い合わせる

不動産会社に問い合わせ、物件情報を集めます。

現地で正式なライセンスを持つ不動産会社を介して購入することもできますし、英語が話せない場合は日本人スタッフがいる不動産エージェントを経由して購入することも可能です。

なお、フィリピンでは外国人による土地の所有は認められていません。これは、外国資本に対する規制がされており、土地所有だけでなく規制される業種や出資比率などが定められているためです。

そのため外国人が購入できる物件は、コンドミニアムやタウンハウスなど集合住宅になります。この点を踏まえ、購入予算や希望条件をしっかりと伝えて物件探しを依頼しましょう。

Step4.物件を視察する

実際に現地で物件を視察します。

新築であれば建設予定地の雰囲気や人通り、年齢層、インフラのきれいさなど現地にいかなければ分からない情報も数多くあるため、できるだけ多くの物件を比較することがポイントです。

Step5.不動産売買契約を締結する

購入したい物件が見つかれば、不動産予約申込書(Reservation Agreement)を記入し、売主に購入申込を行います。このとき併せて申込金を支払います。

その後、手付金の送金や現地での口座開設などの手続きを経て、現地もしくは日本国内で売買契約書(Contract of Sale)を締結します。

Step6.購入資金を送金する

残代金や諸費用(登記費用や印紙税など)の支払いの案内が売主から送付されますので、購入資金を送金します。建物の引渡しと併せて登記手続きを行います。

6. フィリピン不動産投資の注意点

最後に、フィリピン不動産投資の注意点について解説します。

6.1 不動産会社を慎重に選ぶ

不動産会社を選ぶ際は、大手という基準だけで選ばないことも大切です。

なぜなら、大手の不動産会社だから建物の質がよいとは限らないためです。大手の不動産会社でも所得によって会社を使い分けていることもあり、低所得者向けの住宅を供給しているグループ会社では建物のクオリティが十分でない場合もあります。

建物の質が悪ければのちのち修繕費用などのコストがかかり、収益性に影響する可能性があります。フィリピン国内のデベロッパーを選ぶ場合は、グループ会社の親会社を選ぶことがおすすめです。

6.2 プレビルド物件の購入は慎重に行う

プレビルド物件の購入には、竣工リスクが伴うため慎重な判断が必要となります。

購入を検討する際は、デベロッパーの経営状況や竣工実績を事前に調査したり、購入物件の売行状況をチェックしたりすることが大切です。

また、仮に竣工したとしても、途中、労働力不足や資材不足などで工期が遅延する場合もあるため、基本的に潤沢な資金を持つデベロッパーの物件を選ぶようにしましょう。

6.3 都心の高級物件を購入する際は検証を念入りに行う

都心の高級物件を購入する際はどのくらい賃貸需要があるのか、事前に検証することが重要になります。

不動産投資の大きなリスクは空き室です。高額な家賃を払える入居者は一定程度に限られるため、空き室になると長期化する可能性があります。

空き室となる原因としては、賃料相場に対して家賃が高い、高い家賃でも見込めるほどの需要がないなどが考えられ、あらかじめ賃料相場や需要の大きさを確認しておくことが重要です。

7. 投資先として魅力あるフィリピン不動産投資を始めよう

今後の人口動態や経済成長、インフラ設備投資などを考えると、フィリピンは有力な不動産投資先といえるでしょう。日本からアクセスしやすい点もメリットといえます。

一方でフィリピンの不動産事情の違いや為替リスクなどもあります。事前にデベロッパーの情報を収集し、できるだけ現地で物件を視察するなどリスクを抑えながら投資を進めるようにしましょう。

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