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借金救済制度は怪しい?国が認めた制度の種類と利用するメリット・デメリットを解説!

  • #おまとめローン

掲載日:2023年10月19日

借金救済制度は、借金の返済で悩んでいる人への救済措置のことで、一般的に「債務整理」といわれるものです。債務整理にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。この記事では、お金の専門資格FPを持つ筆者が、借金救済制度の内容について紹介するとともに、利用する際の注意点について、わかりやすく解説していきます。

この記事は10分で読めます!

1. 借金救済制度とは?

借金救済制度とは、借金の返済が困難な状況に陥った際に借金額を減額できる制度です。

1-1. 国が認めた借金救済制度とは「債務整理」と「過払い金返還請求」のこと

国が認めた借金救済制度とは、「債務整理」と「過払い金返還請求」の2種類を指します。

1-2. 借金救済制度の対象範囲は?

借金救済制度の対象となるのは、「銀行や信用金庫のローン」「消費者金融からの借り入れ」「クレジットカードのキャッシング・ショッピング利用分(分割払い・リボ払いも含む)」「奨学金」のほか、「個人からの借金」も対象です。

1-3. 借金救済制度は怪しい?利用するメリット・デメリット

借金救済制度を利用するメリットとデメリットをご紹介します。

借金救済制度のメリット

借金救済制度を利用することで、現在の借金額を減額、もしくは借金の支払いを免除できるというメリットがあります。

借金救済制度のデメリット

借金救済制度を利用したことを周りに知られる可能性があるなどのデメリットがあるほか、借金救済制度の種類によっては思ったほどの借金額の減額効果を得られない場合もあります。また、借金救済制度を利用するには、弁護士などに依頼するほか、裁判所への申し立てなどが必要になるため、そのための費用が発生することも覚えておきましょう。

1-4. 借金救済制度を利用する人はどのくらいいる?

裁判所が公表している「司法統計 令和3年 司法統計年報概要版(民事・行政編)」によると、令和3年の「自己破産」申し立て件数は7万3,457件、「個人再生」は1万509件と多くの人利用していることがわかります。また、令和4年も、自己破産の申し立て件数は7万602件、個人再生は8,982件と、個人再生は若干少なくなっているものの自己破産は依然として多くの人が利用しています。

2. 借金救済制度の種類

借金救済制度は大きく「債務整理」と「過払い金返還請求」の2種類に分けられ、債務整理はさらに「任意整理」、「個人再生」、「自己破産」、「特定調停」の4つに分けられます。ここでは、それぞれ解説していきましょう。

2-1. 債務整理の種類

債務整理の種類としては、以下の4つがあります。

任意整理

任意整理とは、裁判所を通さず、債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人)が利息の減額について話し合う方法です。話し合いによって和解が成立すれば、それ以降の利息分の支払いが少なくなるため、毎月の返済額も減ることとなり、無理なく返済を続けられます。

個人再生

個人再生とは、民事再生法に基づいた債務整理の方法で、裁判所に申し立てて、裁判所の許可を得たうえで借金を5分の1から10分の1程度まで減額する方法です。

自己破産

自己破産とは、裁判所に申し立て、免責許可を得ることで借金の返済を免れる方法です。免責許可を得られれば、その後の借金の返済は不要となります。

特定調停

特定調停とは、裁判所が仲介し、債務者と債権者が返済方法について話し合う方法です。

2-2. 過払い金返還請求とは?

過払い金返還請求とは、借入先に法律の上限を超えて支払った利息を取り戻す手続きです。2006年1月13日以前にお金を借りた人のなかには、利息制限法の上限が守られていないケースがあります。この利息制限を超えた部分については「過払い金」となるため、返還を求める請求を行うことで、返済を受けることができます。

3. 債務整理とは?種類ごとのメリット・デメリット

ここでは債務整理の4つの種類について、そのメリット・デメリットを詳しく解説します。

3-1. 任意整理

任意整理のメリット・デメリットと想定される費用について解説します。

任意整理のメリット

任意整理のメリットは、裁判所を通さないため、周囲の人に債務整理を行ったことを知られないことです。また、話し合いによっては短期間での解決が望めます。

任意整理のデメリット

ただ、借金額が免除されるわけではないため、原則として3年、長くても5年で残りの債務を完済しなければならず、安定した収入がない人にとっては難しいかもしれません。

任意整理の費用

任意整理は一般的に弁護士に依頼して行うため、弁護士に支払う費用が発生します。費用は一般的に約5〜15万円となっており、依頼する弁護士によって費用が異なります。

また、司法書士に依頼することもでき、司法書士のほうが弁護士よりも報酬が低く設定されています。ただし、司法書士が扱える任意整理の手続きは借金額が140万円未満という制限がある点に注意が必要です。

3-2. 個人再生

個人再生のメリット・デメリットと想定される費用について解説します。

個人再生のメリット

借金額を元本部分も含め、5分の1から10分の1まで減らすことができる点が大きなメリットです。返済計画も3年から5年で完済できるように組み直せますし、住宅ローンの支払いが残っている住宅を所有している場合、「住宅ローン特則」を適用することにより、購入した住宅を手放さずに済みます。

個人再生のデメリット

借金額が減るとはいえ返済は続きますので、完済まで返済を続けられるだけの安定した収入がなければなりません。また、個人再生を利用したことは官報に掲載されますので、他人に知られる点もデメリットです。また、手続きにかかる期間が長いこともデメリットといえるでしょう。

個人再生の費用

個人再生にかかる費用は、裁判にかかる費用と弁護士に支払う費用の合計になるため一般的に約50〜80万円と高額です。弁護士によっては分割払いを認めているところもありますので、相談してみましょう。

3-3. 自己破産

自己破産のメリット・デメリットと想定される費用について解説します。

自己破産のメリット

借金の返済がほぼなくなることや、生活に必要な財産が残せる点が自己破産のメリットです。債務整理のなかでも今後の借金の返済の不安から逃れられるメリットは大きいでしょう。今後の返済の心配がないため、無職の人でも利用できます。

自己破産のデメリット

ただ、生活に必要な最低限の財産以外はすべて失ってしまうことや、官報に名前が載るため、自己破産を行ったことを他人に知られること、さらに一定期間は特定の職業に就けないなどのデメリットがあります。

自己破産の費用

自己破産には裁判所への費用や弁護士報酬など、合わせて約30〜130万円のお金がかかります。

3-4. 特定調停

特定調停のメリット・デメリットと想定される費用について解説します。

特定調停のメリット

特定調停の債務整理方法は、任意整理と似たところがありますが、裁判所の調停委員が債権者と交渉してくれる点がメリットです。また、交渉の結果、将来支払う予定の利息を減額してもらえることや、弁護士に依頼しなくても済むため、弁護士費用を削減できる点もメリットといえるでしょう。

特定調停のデメリット

裁判所を利用して行う債務整理になるため、申し立てや調停のため、裁判所に出向く手間が発生します。平日の昼間に自由に時間が取れない人にとっては難しいかもしれません。また、調停委員に任せたからといって、話し合いが円満に終わるとは限りません。場合によっては調停が不成立になる可能性もあります。

特定調停の費用

特定調停にかかる費用は、申立手数料と裁判所からの郵送物発送費用です。申立手数料は相手方1人につき500円です。また、相手方に裁判所から郵送する郵便費用をあらかじめ納める必要があり、1社につき430円分必要です。追加分は後ほど請求されます。相手方が何社かにもよりますが、全体で約1万円をみておくとよいでしょう。

このように、債務整理を利用すれば、借金を減額もしくは免除してもらうことができますが、信用情報機関に登録されたり、官報に掲載されたりと、デメリットもあります。また、裁判所へ支払う費用や弁護士報酬など、まとまったお金もかかるでしょう。

すでに複数社に借り入れがあり、毎月の返済額を抑えたい、もしくは返済日をまとめたいという方には、債務整理のほか、「おまとめローン」という選択肢もあります。

  1. ※1おまとめ後の返済状況によっては、おまとめしない場合と比較して利息の総支払い額が減らない可能性があります。特に、ご利用中のローンの平均お借り入れ金利がおまとめ後の適用金利(年率9.8%・12.5%・14.6%)以下の方は慎重にご検討のうえお申し込みください。

4. 過払い金返還請求のメリット・デメリットは?

ここでは、過払い金返還請求について詳しく解説します。過払い金返還請求とは、「2006年1月13日に最高裁判所の決定によって、利息制限法を超えた利息での貸付部分についての返済を認める判決」がなされる前にお金を借りた方のうち、「利息制限法を超える利息が適用されていた方」が、お金を借りている先に対し、超えた利息分の返還請求を行うことです。

4-1. 過払い金返還請求のメリット

過払い金返還請求を行うことにより、払いすぎた利息が返金されることや、他人に知られることなく手続きができる点がメリットです。もし、現在返済中なら、戻ってきた過払い利息を返済額にあてることもできます。

4-2. 過払い金返還請求のデメリット

過払い金には10年という時効があります。もし、時効が過ぎていたら過払い金返還請求を行うことはできません。

4-3. 過払い金返還請求の費用

依頼先(弁護士か司法書士)や過払い金の額によって異なりますが、一般的に約10万円が相場といわれています。

5. 借金救済制度の費用比較

借金救済制度の利用には、一部を除いて費用が発生します。以下はあくまで一般的な目安のため、実際の金額は弁護士事務所・司法書士事務所などに相談のうえご確認ください。

借金救済制度 費用
任意整理 約5〜15万円
個人再生 約50〜80万円
自己破産 約30〜130万円
特定調停 約1万円
過払い金返還請求 約10万円

6. 借金救済制度を利用する際の注意点

6-1. 借金救済制度を利用すると事故情報として信用情報機関に登録される

借金救済制度を利用する際の最大の注意点は、信用事故情報として信用情報機関に一定期間登録されることです。信用情報機関とは日本に3つあり、金融機関はいずれもそのどれかに加盟しています。そして、ローンなどの申し込みがあった際には必ず信用情報機関に対して照会をかけるため、信用事故情報が登録されていることがわかると、審査に通ることが難しくなります。

6-2. 司法書士と弁護士どちらに借金救済制度の相談を依頼すべき?

借金救済制度の相談ができる専門家には「弁護士」以外に「司法書士」がいます。一般的に報酬金額は司法書士の方が少ないケースが多いですが、借金の金額や依頼する救済制度によって、司法書士と弁護士では対応できる範囲が異なるため、自身の状況に合わせて選定するようにしましょう。

7. まとめ

借金救済制度を利用すれば、利息や、借金額が減る可能性が高くなりますが、制度を利用するためには弁護士や裁判所に支払う費用が発生します。また、自己破産などを利用した場合は、その後の生活に大きな支障が出ることも。借金救済制度の利用を検討している方は、このようなデメリットもしっかり理解しておきましょう。

返済にお悩みの方は、まずは借金救済制度以外の方法を模索してみてください。例えば、毎月の返済額を減らす方法として「おまとめローン」という選択肢があります。「おまとめローン」は、毎月の返済額を抑えたい、もしくは返済日をまとめたいという方にはメリットが多い商品です。借金救済制度とは異なった選択肢として、利用を検討してみてください。

  1. ※1おまとめ後の返済状況によっては、おまとめしない場合と比較して利息の総支払い額が減らない可能性があります。特に、ご利用中のローンの平均お借り入れ金利がおまとめ後の適用金利(年率9.8%・12.5%・14.6%)以下の方は慎重にご検討のうえお申し込みください。

以上

CFP®認定者/一級ファイナンシャルプランニング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談のほか、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間300件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

CFP®認定者/一級ファイナンシャルプランニング技能士/DCプランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員等の資格を保有し、コンサルタントとしての個人向け相談のほか、資産運用等上記相談内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、年間300件以上の執筆・監修業務を手掛けている。

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