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出産にかかる費用はどれくらい?負担額を抑えるためのポイントを解説!

  • #ライフプラン

掲載日:2023年11月27日

出産により家族が増えるのは、親御さんにとってとても喜ばしいことです。しかしその一方で、妊娠から出産、退院するまでにかかる費用については、心配なこともあるのではないでしょうか。それが第一子ともなればなおさらでしょう。

出産費用には地域差があり、最近は、出産一時金を上回る費用が必要な都道府県も複数あります。そこで今回は、出産にかかる費用について解説します。自己負担を抑えるためのポイントや、出産に向けた備えについてもあわせて紹介していきます。

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1. 出産にかかる平均費用はどれくらい?

厚生労働省の資料によると、公的病院でかかった出産費用(室料差額や産科医療補償制度の掛け金などを除く)は、全国平均で45万2,000円(令和2年度)。最高金額は東京都の55万3,201円で、最低金額は佐賀県の35万1,774円と、差額は実に20万円を超えます。このような例からも、出産にかかる費用には大きな地域格差があることがわかります。

出産は病気扱いとはならないため、基本的に費用は全額自己負担となります。そのため、お金の心配が生まれるのももっともだと思います。ただ妊婦健診費用などは多くの自治体で費用助成があるため、出費は限定的です。家計から出る大きな支出は、分娩費用となります。

里帰り出産を予定している場合は、実家に近い産科医院の相場を早めに確認しておくことをおすすめします。遠方に実家がある場合は、帰省費用も見積もっておきましょう。

2. 妊娠初期から出産まで。時期毎にかかる費用の例

初めての妊娠で、この先どの段階でどれくらいの費用が必要なのか、不安を感じる親御さんは少なくないと思います。ここでは、妊娠初期から出産直後までの期間にかかる費用の例をそれぞれご紹介します。

妊娠初期:〜妊娠15週

妊娠初期には、妊娠の確認や妊婦健診に関連する費用がかかります。妊娠の確認のため、まず妊娠検査キットを購入して調べる方も多いのではないでしょうか?一度で陽性とならない場合は複数回検査するケースもあり、その分の代金もかかってきます。

妊娠してはじめての受診では初診診察料がかかること、まだ母子手帳がもらえないため全額自己負担となることから病院の費用が少し高めとなります。手持ちを少し多めに用意して受診すると安心です。また、健診時に血液検査や超音波検査などをする場合もあり、そうなるとさらに費用はかかってきます。自宅から離れた病院がかかりつけであれば、交通費についても考えておく必要があるでしょう。

さらに、妊娠初期は吐き気やつわりなど急激な体調変化に伴う体の不具合も出やすいもの。家事ができなくなって、外食をしたりお惣菜やお弁当などを購入したりと、普段より食費が膨らむことも考えられます。食費以外でも、家事負担を減らすための出費が多くなることも想定しておくと良いでしょう。

妊娠中期:妊娠16〜27週

妊娠16〜27週までの妊娠中期は、つわりも治まって体調が安定してきます。妊婦さんの体調が比較的良いこの時期は、急な入院に備えて衣類(パジャマや母乳パッド、ショーツなど)、化粧道具やスリッパ、仕事を持ち込む場合はノートパソコンやスマートフォンとその周辺機器などを用意する必要があります。

おなかの赤ちゃんの状態によっては、超音波検査や血液検査、尿検査などの費用が健診費用に加えてかかることもあるでしょう。

妊娠中期は、胎児の成長とともに母体の栄養管理も重要です。栄養補助食品や妊婦向けのサプリメントのほか、必要に応じて普段は購入しない食材を頻繁に取り入れるための食費がかかる方もいるでしょう。さらに、母体の体型が徐々に変化し、マタニティウエアや妊婦用の下着などを購入する必要が生じるのもこの時期です。体が億劫になる前に、必要なものを安く調達しておくのも一案です。

妊娠後期:妊娠28〜40週

妊娠後期に入ると出産に向けた準備が本格化し、分娩に備えた検査費用が増えることもあります。

この時期に入ると、そろそろベビーグッズの準備が必要となってきます。自家用車で退院するならベビーシートが必要ですし、入浴時に使うベビーバスやベビーベッドなども購入を検討する必要があります。赤ちゃんに必要なアイテムはレンタルできることが多いため、無理をして買う必要はありませんが、レンタルするにしても費用がかかります。レンタルする場合は、あらかじめ期間を決めて必要な金額を見積もっておきましょう。

出産直後

出産一時金があるため、退院時に大きな出費が必要なケースはほとんどありませんが、出産後は体力が戻っていませんので、家事育児にかかる想定外の出費が考えられます。仮に一人目が安産であったとしても、二人目の出産が同じとは限りません。産後ケアや育児支援サービスの利用にかかる費用も考慮しておくと良いでしょう。

3. 出産に適応される保険

出産は病気ではありませんので、正常分娩の場合は入院しても医療保険や生命保険の医療特約は適用されません。ただし、異常分娩(※)によりお母さんや生まれたお子さまの健康になんらかのリスクを抱えた場合は例外です。公的医療保険制度が適用され、医療費の自己負担は3割になりますし、加入中の生命保険や医療保険から手術給付金や入金給付金が給付されるケースがほとんどです。ここでは、出産に適応される保険についてご紹介します。

筆者の体験ですが、お産が難航して急きょ帝王切開となりました。そのときに、独身時代になんとなく入っていた養老保険に医療特約が付いていたことに気づき、その後手続きをして手術給付金をいただいた覚えがあります。医療保険だけでなく、ご加入中の生命保険の特約にも目を向けて確認することをおすすめします。

  • 分娩で異常が発生し、鉗子娩出術や吸引娩出術、帝王切開術などの処置がおこなわれる分娩を指します

保険給付の対象となる場合

医療保険や生命保険に付加した「女性疾病特約(女性疾病入院特約)」では、切迫流産なども対象となり得ます(保険会社によります)。また、帝王切開で出産した場合はこうした特別な特約付加がない方も通常の医療保障が付加されていれば、手術給付金や入院給付金の対象となります。

4. 出産時に自己負担額を抑えるためにできること

出産費用や準備費用など、出産時には高額な出費が発生することがあります。ここでは、出産時の自己負担額を抑えるためにできることをご紹介します。公的制度や補助金をフルに活用し、病院の費用についても早めに比較検討をおこないましょう。

ポイント1:公的制度や補助金を活用する

出産にともなう費用を抑えるためには、公的制度や補助金を活用することが重要です。東京都に住む方が出産する場合を例に挙げてみていきましょう。

出産一時金
出産日が2023年4月1日以降であれば、50万円が世帯主に支給されます。
  • 妊娠週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度の対象とならない出産の場合は、支給額が48万8,000円となります
母子健康手帳の利用
母子健康手帳は、妊娠初期にお住いの自治体から発行されます。妊娠や出産に関連する地域のお役立ち情報の記載があるほか、妊婦健康診査の割引チケットなども含まれるため、親御さんにとっては必須のアイテムです。早めに発行してもらいましょう。
妊婦健康診査の公的助成の利用
お住いの自治体に妊娠届を提出すると妊婦健康診査の受診票が交付されます。妊婦健診にかかる公費負担の助成回数は、東京都の場合14回です。自治体により助成回数や超音波検査の助成有無など内容が変わりますので、はじめにしっかり確認をしましょう。

東京都の場合、このほか妊娠時に「出産応援ギフト」5万円分を、出産後は「子育て応援ギフト」5万円分に都独自で5万円を上乗せ給付して10万円分、合計で15万円の経済的支援もあります。

公的制度や補助金を活用するためには、申請手続きや条件の確認が必要です。お住まいの自治体のホームページや市区町村の役所の窓口で、詳細な情報を早めにチェックしておきましょう。

ポイント2:生命保険、医療保険の適用範囲を確認する

すでに保険に加入している場合、出産に関連する医療費や入院費用が保険の適用範囲に含まれるかどうか確認しておきましょう。とくに女性特約を付帯している方は、割増の保障を受けられる可能性が高いです。

ポイント3:すぐに病院を比較検討し、予約を入れる

出産費用は病院によって異なります。さまざまな情報を加味しながら複数の病院を比較検討することも、自己負担を抑えるためには重要なポイントです。また、病院が決まったら、早めに予約を取ることをおすすめします。コスパの良い病院は、すぐに予約が埋まってしまいます。

ポイント4:貯金や積立の活用

出産に向けて、貯金や積立をおこなっておくことも大事です。可能であれば、出産後に備えて、妊娠がわかった後のボーナスにはなるべく手をつけないで貯蓄するようにしておきましょう。

5. 出産に備えていまから準備を

安心して出産をむかえるためにも、しっかりとした準備は必要不可欠です。妊婦さんは体調や体形の変化などもあり、想定通りに物事がすすまないことも多々ありますので、早め早めにやるべきことを確認しておくと安心です。まず始めてほしいのは以下の項目です。体調と相談しながら準備を進めていってください。

  • 妊娠から出産までにどれくらい費用がかかるか、見通しを立てる
  • 公的保険制度や妊婦健診などの助成制度をすぐ確認する
  • 加入中の生命保険、医療保険の保障内容を確認する
  • 病院の選定と早めの予約をおこなう
  • 想定外の出費に備えて、ボーナスはなるべく貯めておく

6. まとめ

妊娠して出産するまでの女性の体はとてもデリケートで変化に富みます。そのため、準備を先送りにしてしまうと、いざというときに思うように体が動かず「こんなはずでは…」と後悔することにもなりかねません。

なかでもお金に関する準備は重要事項です。情報収集をしながら、安心して出産ができるようにしっかりと事前準備をし、来るべき日をむかえましょう。

以上

【ライター情報】
海老原政子

ファイナンシャル・プランナー、住宅ローンアドバイザー
大学卒業後、SE・インテリアコーディネーターを経て、出産後に未経験ながら国内生保に再就職。ライフプランの大切さに目覚める。ファイナンシャル・プランナー資格取得後に独立。家計や保険の見直し、住宅購入相談のかたわら講師やコラム執筆をおこなう。

ファイナンシャル・プランナー、住宅ローンアドバイザー
大学卒業後、SE・インテリアコーディネーターを経て、出産後に未経験ながら国内生保に再就職。ライフプランの大切さに目覚める。ファイナンシャル・プランナー資格取得後に独立。家計や保険の見直し、住宅購入相談のかたわら講師やコラム執筆をおこなう。

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