外貨預金はおすすめしないと言われる理由、メリットについても解説
- #外貨預金
掲載日:2024年8月13日
日本円ではなく、外国の通貨で貯金する外貨預金は、資産運用としてやめたほうがいいと言われることもあります。そのもっとも大きな理由は、外貨建て商品に共通する「為替変動の影響を受ける」ことからきています。一方で外貨預金にもメリットはあります。
この記事では、外貨預金の基礎知識からおすすめしないと言われる理由やメリットについて解説します。それを踏まえて、外貨預金がおすすめできる人、できない人まで紹介しますので最後までご一読ください。
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1. 外貨預金の基礎知識
外貨預金は、日本円をドルやユーロなど外国の通貨に換えて預金することです。一般的に、定期で預ける外貨定期預金が多い傾向ですが、普通預金として預ける外貨普通預金もあります。
預金の仕方は円預金と変わりませんが、取引方法は異なります。円預金は、日本円で預けて日本円で払い戻すのに対し、外貨預金は、日本円を外貨通貨に交換して預け入れ、運用後払い戻す際は、外国通貨を日本円に交換します。
外貨預金の金利は日本の預金金利より高い傾向にあり、高い金利による利息と為替変動による利益を求めて始めることが一般的です。
2. 外貨預金はおすすめしないと言われる理由
外貨預金は思ったよりも運用効果は小さい、あるいは外貨預金の運用資金をほかの投資商品に回したほうがよいという声を聞くこともあります。
ここでは、外貨預金はおすすめしないと言われる理由について解説します。
2.1 為替の変動リスクがある
外貨預金はおすすめしないと言われる1つの理由は、為替相場が急変したときのリスクに対応しづらい点です。
外貨預金は、米ドルなどの外貨で運用する商品です。為替相場は1分1秒単位で変動し、運用する通貨が値下がりする可能性は常にあります。相場動向を予測することも簡単ではありません。
この点、外貨預金の場合、払い戻しに時間がかかる、あるいは解約手続きが必要なため、早く換金したくてもできない特徴があります。
相場が急に下がったとき、為替差損を最小限にするには短時間で換金しなければなりませんが、外貨預金は対応が難しい点がおすすめしない理由にあげられます。
2.2 元本割れのリスクがある
2点目は、外貨預金は預金であるにもかかわらず、元本割れリスクがある点です。
円預金であれば低金利ですが円ベースで見た場合、元本が保証されています。200万円の元本を預けて200万円より元本が減ることはありません。
一方、外貨預金の場合、円預金以上の利息を得られますが、それ以上に為替相場の変動によって為替差損が発生する可能性があります。
たとえば、200万円投資元本として1米ドル100円のレートで預けた場合、2万ドルで運用が始まります。その後、払い戻し時点の為替が、預入時より円高になっていると2万ドルに200万円の価値はありません。為替相場次第ですが、2万ドルの運用で得られた利息以上に為替差損が大きければ元本割れする可能性があります。
2.3 為替手数料がかかる
3点目は、為替手数料がかかる点です。
為替手数料は、円をドルやユーロなどの外貨に交換するときと、反対に外貨を円に戻すときにかかる手数料です。
たとえば、1ドルあたりの為替手数料が25銭の金融機関で100ドルを交換するとした場合、手数料は以下のようになります。
- 預け入れ時:100×25銭=25円
- 払い戻し時:100×25銭=25円
- 合計:50円
100ドルあたり50円程度だと大したことがないと思われるかもしれませんが、運用益に対して占める割合は小さくありません。
また、100ドル(1ドル100円)を2%の利回りで運用したとして得られる利益は、200円程度です。その場合の為替手数料が50円とすると、運用益に占める割合はおよそ25%と小さくありません。
なお、為替手数料は、金融機関によって異なり、外貨ならびに円に交換する際のレートに含まれています。
円を外貨に換えるときの相場(レート)をTTS、外貨を円に交換するときの相場をTTBといい次のようになります。
- TTS(預入時のレート):その時の為替レート+為替手数料
- TTB(払い戻し時のレート):その時の為替レート-為替手数料
外貨預金を含めて、外貨建ての商品を運用する場合、為替手数料の分、運用で得られた利益は目減りすることになります。
2.4 円預金に比べて課税対象が増える
円預金の利息に対しても税金はかかりますが、外貨預金の場合、「利息にかかる税金」と「為替差益にかかる税金」があり、税負担が大きくなる可能性があります。
外貨預金の利息は「利子所得」として、20.315%の源泉分離課税の対象です。源泉分離課税は、利息を受け取る際に源泉徴収される仕組みで、金融機関は利息から税金を差し引き預金者の代わりに納税します。これは円預金の利息についても同様です。
また、外貨預金では、利息以外に為替レートによって為替差益が生じる場合があります。為替差益は「雑所得」として総合課税の対象となります。ただし、為替差損が出た場合は、ほかの雑所得から控除することが可能です。
このように、円預金と比べ、利息、為替差益それぞれに対して税金がかかる点は、外貨預金がおすすめしないと言われる理由の1つです。
2.5 預金保険(ペイオフ)の対象にならない
外貨預金が預金保険の対象ではない点もおすすめしない理由にあげられます。預金保険とは、金融機関が破綻した場合に、一定額の預金などを保護する保険制度です。
円預金の場合、1金融機関ごとに1人あたり1,000万円の元本と破たん日までの利息などが保護されます。
外貨預金にはこういった補償がないため、金融機関が破綻した場合、すべての預入資産を失う可能性もゼロではありません。
2.6 長期的な相場の予測が困難
外貨預金は、為替相場の動きによって利益が左右されるため、預ける外貨に対して円安もしくは円高に振れるかの動きを予測することも必要です。
ただ、為替相場の動きを予測することは簡単ではありません。為替相場は主に需要と供給のバランスで決まりますが、物価変動や貿易収支、各国の中央銀行の為替介入、政治的要因、紛争など、さまざまな要因で変動します。
特に、長期的な外貨預金の運用を考える場合、予測が難しくなるでしょう。
3. 外貨預金に向いていない人
ここまで外貨預金はおすすめしないと言われる理由を紹介しました。それを踏まえ、外貨預金に向いていない人について解説します。
3.1 短期間で運用したい人
短期間で運用し収益をあげたい人には、外貨預金はあまりおすすめできません。
なぜなら、為替レートの影響を受ける外貨預金では、短期間で運用するには変動リスクの影響も大きく、元本割れの可能性が高くなるためです。
為替レートが不利に変動した場合、短期の投資期間では回復を見込みにくく、損失が出やすいと言えるでしょう。
また、外貨預金のなかには預入期間が短期間の商品もありますが、為替手数料は比較的高めの傾向です。短期間に繰り返し取引を行うほど手数料がかかりやすく、収益を圧迫する可能性があります。
3.2 運用方法に対する理解がない人
外貨預金は預金といえども、為替レートの影響を受ける分、円預金と比べると投資性は高くなります。そのため、運用方法に対する理解が足りない人もおすすめできません。円預金より金利が高いというだけで始めても難しいかもしれません。
米ドルからユーロ、オーストアラリアドルなど運用する通貨によって、金利だけでなく値動きの把握しやすさは異なります。運用する通貨に合わせて為替相場の変動要因などのリスクも踏まえながら運用する必要があります。報道などで為替相場の動向を把握することも必要です。
3.3 円高が進む予想をしている人
外貨預金は、預入時点よりも円安が進むほど為替差益を得られる金融商品です。
為替相場は、日本と運用する通貨国との金利差や経済環境など、さまざまな要因の影響を受けます。これから長期的に円高に進むと予測する人は、為替差損が生じやすく運用メリットは期待しにくいため、向いていないといえるでしょう。
3.4 変動性の高い商品を避けたい人
外貨預金のような変動性の高い商品を避けたい人も向いていないでしょう。外貨預金に限らず外貨建ての金融商品には、為替変動リスクがあります。
為替の動きは、ここまでご紹介したように、長期的・短期的なものを含め、さまざまな要因の影響を受けます。そのため、外貨預金は、損益の変動性が高い商品といえ、安定性を重視する人には向いていません。
4. 外貨預金のメリット
外貨預金をおすすめできない人もいる一方で、運用商品としてメリットもあります。
4.1 円預金よりも高い金利が期待できる
外貨預金のメリットは、一般的に、円預金より高い金利が期待できる点です。
これまでの日本の金融政策では金利が低く抑えられてきたことから、普通預金、定期預金で高い利息を期待することはできません。
この点、外貨預金では、円預金より高金利に設定されているため、利息収入が期待できます。外貨預金にも、いつでも預金を引き出せる普通預金と、原則として、預入期間が満期になるまで預金を引き出せない定期預金があります。
定期預金の金利は預入時と変わらない一方、普通預金の金利は随時変動し、普通預金と比べると定期預金は高い金利が設定されています。
ただし、外貨預金では、金利水準だけでなく、負担する為替手数料のバランスで考えることが重要です。
4.2 円安など為替レートが有利に変動すれば為替差益を得られる
満期時の為替レートが預入時より円安であれば、為替差益を得られる点もメリットといえます。
1ドル100円の時に預け入れし、満期時に1ドル120円となっていれば、1ドルあたり20円の為替差益です。
もちろん、円高になり為替差損が生じる可能性もありますが、ドルコスト法※を活用し積み立てることで、一定程度の為替変動リスクを吸収しながら運用することも可能です。
- ※ドルコスト法(平均法)は、価格が変動する金融商品を毎回一定の金額で、時間を分散しながら定期的に購入し続ける方法
4.3 資産の分散によってリスクを軽減できる
外貨預金を組み合わせることで、投資リスクを分散できる効果が期待できます。
投資において、株式と債券、国内と海外、円とドルなど投資対象を分散させることで、損失が発生するリスクを平準化することが可能です。外貨預金でも米ドルと豪ドルなど異なる外貨を複数運用することによる分散効果もあります。
5. 外貨預金に向いている人
外貨預金はおすすめしないといわれる一方でメリットもあります。最後に外貨預金に向いている人について解説します。
5.1 長期間で運用したい人
外貨預金は長期的な運用を目指している人に向いているといえます。外貨預金の投資効果は、円預金より高く設定されている金利の利息と為替変動によって決まります。
長期的に運用することで、高金利の恩恵を受けやすくなり、加えて、一時的に不利な方向に為替が動いても長期的に吸収することも可能です。長期的にドルコスト法を活用することで、さらに為替リスクは回避しやすくなるでしょう。
5.2 海外を訪れる機会が多い人
海外を訪れる機会が多い人にもすすめやすい商品です。
なぜなら、外貨預金をよく訪れる国の通貨で保有しておくことで、為替レートの変動に左右されにくいうえ、外貨を利用しやすい環境が整うためです。海外で外貨預金口座から引き出すと為替手数料がかかりません。
また、あらかじめ円高のときに外貨預金で積立しておけば利息がつきますし、円安になったタイミングで旅行し、現地でそのまま外貨で受け取れば、お得に買い物や食事ができる可能性もあります。
6. 外貨預金はおすすめしない理由とメリットの両方から判断しよう
預金といっても外貨預金は、円預金と異なり、為替変動によって元本割れのリスクや為替手数料がかかるなど違う点も少なくないため、運用するにあたり慎重に判断することが必要です。
一方で、低金利の円預金を続けていても、物価上昇を加味すると、実質的には、資産は目減りしているともいえます。そのため、金利の高い外貨預金での運用も1つの方法です。
為替の動きは予測が難しいため、短期間で運用成果を出したい人には、あまり外貨預金はおすすめではありませんが、長期の視点で運用する場合は運用商品として選択肢となるでしょう。
東京スター銀行では、じっくり長期間で運用したい方から気軽に短期間で運用したい方まで、お客様の状況やニーズに合わせた外貨預金商品を用意しています。
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