海外不動産投資とは?メリット・デメリットと注意点、主な始め方
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掲載日:2024年8月13日
海外の不動産投資に興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか。日本は人口減少社会に突入していますが、世界の中には人口が増えると推測される国があります。
人口の増加と経済成長が見込まれる国の不動産に投資すれば、値上がり益を得られる可能性があります。不動産投資を検討している方にとって、海外への物件に投資するのは一つの選択肢といえるでしょう。
こちらの記事では、海外の不動産に投資するメリットや具体的な方法について解説するので、参考にしてみてください。
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1. 海外不動産投資の基礎知識
まずは海外不動産投資の基礎知識や、どのような人に向いているのかを解説します。
1.1 海外不動産投資とは?
海外不動産投資とは、海外の土地建物やマンションなどの不動産を投資目的で購入することです。利益を得る方法は日本国内での不動産投資と同じで、価値が値上がりしたときに得られるキャピタルゲイン(売却益)、地代収入や家賃収入を得るインカムゲインに分かれます。
日本よりも高い経済成長が見込まれ、人口が増加する国の不動産に投資すれば日本国内への不動産投資より高い収益性を見込めるメリットがあります。また分散投資の一環として、海外不動産投資を行う投資家もいます。
ただし、海外不動産投資では不動産取引の際に海外の法令が適用され、売買の際に為替リスク(為替変動により損益に振れ幅が出ること)が伴う点に注意が必要です。また、日本の不動産よりも情報収集が難しい点にも留意しましょう。
1.2 海外不動産投資に向いている人
海外不動産投資に向いている人の特徴として、将来的に海外への移住を検討している人が挙げられます。国によって条件は異なりますが、一定金額以上の不動産を所有していれば、その国の永住権を得られる場合もあります。
海外への移住の準備として、海外不動産投資は有用な手段の一つといえるでしょう。
海外不動産を購入できる資金力がある人も、海外不動産投資に向いています。海外の不動産を購入する際には資金が必要です。融資を受ける場合は、融資を受けられるだけの信用力が求められます。そのため、信用の裏付けとなる資金力が求められる点は抑えておきましょう。
ほかにも、国内投資に魅力を感じていない人も海外不動産投資の検討をおすすめします。日本よりも経済成長が期待でき、人口が増える国の不動産に投資すれば、国内投資よりも高い収益性を期待できるでしょう。
海外不動産投資は投資先の国・地域を分散できるので、リスク分散の一環としても有用な手段といえるでしょう。
なお、海外不動産ローンでは、融資を受けるために日本国内で所有する不動産を担保に供する必要があります。融資を受けられる金額は、担保不動産の価値が影響する点に留意しましょう。
2. 海外不動産投資のメリット
海外不動産投資には様々なメリットがあります。具体的に、どのようなメリットがあるのか説明しましょう。
2.1 不動産価格の上昇による値上がり益が期待できる
海外には不動産価格の大きな上昇が見込まれる国があります。日本国内での不動産投資よりも大きな値上がり益を見込める点は、海外不動産投資のメリットです。
先進国の中でも、アメリカやイギリスは人口の増加によって高い不動産需要が見込まれます。シンガポールやマレーシア、フィリピンなどの東南アジアも経済成長と人口増加が見込まれるため、投資先の候補となるでしょう。
2.2 人口増加により空室リスクが低い
人口が増加している国では不動産の需要が高まります。空室リスクが低いことから、安定したインカムゲインが期待できるでしょう。
不動産投資に際して、空室リスクはオーナーにとって常につきまといます。今後も人口増加が見込める国の不動産に投資すれば、リスクを軽減できます。
2.3 資産分散によるリスクヘッジができる
海外不動産への投資を通じて、資産分散によるリスクヘッジができます。例えば、投資先が日本の株式や不動産に偏っていると、日本経済の状況次第で資産価値が大きく左右されるでしょう。
「卵は一つのカゴに盛るな」という格言があるように、特定の国への集中投資はリスクが大きくなりがちです。しかし、保有している資産に海外不動産を加えれば、資産の分散効果を得られます。
国によって経済事情や今後の成長が異なるため、海外不動産を資産に組み込めば、リスクを分散し安定したリターンを得られる可能性が高まるでしょう。
3. 海外不動産投資のデメリット
海外不動産投資にはメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下で、海外不動産投資をする際に知っておくべきデメリットや注意点を解説します。
3.1 金融機関から融資を受けることが難しい
国内の金融機関のすべてが、海外不動産投資に対応したローン商品を取り扱っているとは限りません。また海外不動産投資を対象とした融資を行う金融機関でも、審査や融資の条件が厳しい傾向があります。
国内不動産に投資するケースと比較して、高金利で返済期間が短いなど融資条件が悪くなりやすい点は抑えておきましょう。海外の不動産は国内不動産と比べて担保の評価が難しく、不確実性が高いことから融資の条件が厳しくなってしまうのです。
現地の金融機関から融資を受けるという手段もありますが、海外不動産投資の実績がない場合は融資を断られる可能性があります。また、国によっては融資を受けるために現地での定期的な収入を条件としているところもあるため、様々なハードルをクリアしなければなりません。
東京スター銀行の「スター不動産担保ローン」は、世界各国の不動産購入にご利用可能です。海外不動産投資を検討中の方は、活用をご検討ください。
3.2 管理会社の信頼性に欠ける
海外不動産投資をする際には、物件管理を現地の管理会社に委託するのが一般的です。現地の管理会社の中には管理が杜撰(ずさん)で信頼性に欠けるケースがあるため、注意しましょう。
管理会社は、住居のトラブルが起きた際に入居者にとって窓口となる存在です。その管理会社が杜撰な管理や対応を行っていると、物件の魅力が損なわれ空き室リスクが上昇してしまうでしょう。
その結果、想定していた家賃収入が得られずに海外不動産投資から撤退せざるを得ない状況になりかねません。日本から現地の不動産を直接モニタリングするのが難しい以上、信頼できる管理会社に管理を委託することは重要です。
3.3 為替リスクがある
海外不動産投資を行う際に、為替リスクは常につきまといます。為替リスクとは、為替レートの変動によって収益性に影響が出ることです。
円高になれば日本円ベースで受け取り額が減少し、収益性が低下します。逆に、円安になれば日本円ベースでの受け取り額が増加し、収益性が高まります。
海外不動産投資は現地通貨建てで行われるケースが多く、為替レートが変動することで日本円ベースの収益が変動する点を抑えておきましょう。
3.4 悪徳業者の存在に注意
海外不動産投資のデメリットとして、強引な販売や詐欺的な勧誘を行う悪徳業者の存在が挙げられます。不動産の情報やリターン、リスクについて十分な説明をせずに購入を促すような問題行為を働き、購入を検討している人を騙そうとする悪徳業者がいる点に注意しましょう。
もし悪徳業者に騙されてしまうと、資産が持ち逃げされるだけでなく、購入した物件も手に入らないリスクがあります。実際に海外不動産投資を行う際には、信頼できる業者かどうか慎重に判断しなければなりません。
4. リスクを回避するためのポイント
海外不動産投資には様々なリスクが伴い、リスクを完全に排除することはできません。しかし、安定した収益を得るにはリスクを回避することが大切です。以下で、海外不動産投資のリスクを回避するためのポイントを解説します。
4.1 契約内容を正しく把握する
不動産売買をはじめ、契約を締結する際には契約内容を正しく把握しましょう。海外での取引は言語の違いもあり交渉が難しく、契約内容の理解が曖昧(あいまい)になるケースがあるため、現地の専門家や通訳のサポートを得ることが大切です。
契約内容を完全に理解せずに不動産投資を行うと、後になって不利な契約条件になっていたことが発覚するケースがあります。想定外の支出が発生し、収益性を損ねてしまう可能性があるため、契約内容は正しく把握すべきです。
日本と海外では言語の違いがあるのはもちろん、不動産取引の法令や慣例が異なります。日本の不動産取引と同じような感覚で取引しないように注意しましょう。
4.2 支払方法に対する理解を深める
海外不動産では「プレビルド方式」という支払方法を採用しているケースがあります。プレビルド方式とは、不動産が完成する前に物件を購入して代金の一部を支払う方式で、新興国を中心に採用されている支払方法です。
プレビルド方式では完成前の安い価格で不動産を購入できるため、完成後に高い価格で売却してキャピタルゲインを得られるメリットがあります。建設中に物件価格が徐々に上がるため、完成前に売却しても問題ありません。
しかし、プレビルド方式では様々な事情で物件が完成せずに終わってしまうリスクがあります。例えば、建築会社が倒産して建設が白紙になっても、すでに支払った代金は戻ってきません。また、実際に物件が完成して入居者が入るまでは不動産収入が得られないデメリットもあります。
海外不動産投資で失敗しないためにも、不動産を購入する際の支払い方法を理解し、どのようなリスクが伴うか調査することは重要です。
4.3 投資した国の情勢をチェックする
海外への不動産投資には、カントリーリスクが伴います。カントリーリスクとは、国の政情不安や経済不安、自然災害などで不動産価値が変動することです。
カントリーリスクを把握する際には、投資した国の情勢をチェックしましょう。海外の情勢を知るうえで参考になるのが、格付け会社が発表している分析や情報です。
格付け会社は、様々な基準に照らし合わせて国の信用力を「AA」「BBB」などのアルファベット表記で評価しています。格付けが高ければ必ず不動産投資が成功するとは限りませんが、国の信用力を把握するうえで役立つでしょう。
経済状況を把握する際には、人口増加率やGDP成長率、住宅価格の推移などを見るのがおすすめです。主要な経済指標をチェックすれば景気の状況を知ることができるため、格付けとあわせて参考にしてみてください。
4.4 ほかの投資資産と組み合わせて運用する
分散投資を行うには、海外不動産だけでなくほかの投資資産と組み合わせて運用するとよいでしょう。海外不動産だけでなく国内不動産や株式に投資すれば、海外不動産から収入を得られなくなったときも収入を確保できます。
経済環境の変化によって、特定の資産の投資収益が悪化する可能性がありますが、複数の資産に投資することで柔軟に対応できます。例えば、空き室が発生して不動産収入が途絶えても、株式からの配当や債券からの利子を受け取れれば安心できるでしょう。
海外不動産投資の中でも、購入する物件を複数の国に分散することも効果的です。特定の国でカントリーリスクが表面化しても、ほかの物件から収益を得られれば不動産収入がゼロになるリスクを軽減できます。
5. 海外不動産投資の始め方
実際に海外不動産投資を始める際には、現地の不動産会社で購入する方法と海外に拠点を持つ日本の不動産会社で購入する方法があります。以下で、具体的な購入方法を解説するので参考にしてみてください。
5.1 現地の不動産会社で購入する
現地の事情に精通していて言語力のある方であれば、現地の不動産会社で購入する方法があります。日本で取り扱いのない物件も購入できるため、豊富な選択肢の中から物件を選べるでしょう。
相談を通じて現地の不動産市場を詳細に知ることができるため、魅力的な物件を見つけられる可能性もあります。さらに、日本の会社を介さずに契約を進められるので、手数料などのコストをカットできるメリットもあります。
ただし、契約に関して現地の言語や法令、取引慣習を理解する必要があるため、上級者向けの始め方といえるでしょう。
5.2 海外に拠点を持つ日本の不動産会社から購入する
初心者の方は、海外に拠点を持つ日本の不動産会社から購入することをおすすめします。日本の不動産会社を利用すれば言語の壁を気にする必要がなく、日本人向けのサービスやサポートを受けられるためです。
海外に拠点を持っていれば現地の法令や取引慣習を理解しているため、トラブルが起こるリスクを軽減できるでしょう。
ただし、現地の不動産会社で購入するよりも、手数料が高くかかってしまう点に留意する必要があります。また、現地・日本ともに悪質な不動産会社が存在する点にも注意が必要です。
6. メリットとデメリットを把握して、海外不動産投資を始めよう
海外不動産投資には、様々なメリットや魅力があります。大きなキャピタルゲインや安定的なインカムゲインを狙えるため、興味がある方は格付け会社が発表している国の格付けや現地の不動産会社を通じて情報収集するとよいでしょう。
特に、人口増加や経済成長が見込まれる国の不動産に投資すれば、日本の不動産に投資するよりも大きなリターンを得られる可能性があります。資産分散の手段としても、海外不動産投資は有用です。
ただし、海外不動産投資にはデメリットやリスクもあります。安易に始めるのではなく、不動産投資や海外の投資リスクを把握しましょう。また実際に購入を検討する不動産が見つかったら、契約内容を正しく把握したりほかの投資資産と組み合わせて運用したりして、リスクを回避するための工夫を行うことが大切です。
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