給与口座から複数の口座に分けるメリット・デメリット、振り分け方
- #貯蓄
掲載日:2024年8月19日
給与口座は、勤務先の会社から給与や賞与などの振込に使われる銀行口座です。振り込まれた給与から毎月の生活費や貯蓄など家計管理を効率的に行うために、給与口座から複数の口座に振り分けている方もいるでしょう。
この記事では、給与口座から複数の口座に分けるメリット・デメリット、口座をどのように分けるかなどについて解説します。利用する金融機関の選び方まで紹介しますのでぜひ参考にしてください。
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1. 給与口座から複数の口座に振り分けるメリット
最初に、給与口座から複数の口座に振り分けることで、どのようなメリットがあるか解説します。
1.1 家計管理がしやすい
口座を複数に分けるメリットとして、家計管理しやすい点があります。
家計を管理するときにもっとも大切なポイントは、毎月の収支を把握することです。収入は給与明細などで比較的楽に把握できます。一方、支出については、用途別に口座を作り給与を振り分けることで把握しやすくなります。
例えば、支出専用の口座を作り、毎月の固定費や変動費、その他の支出を管理する方法です。
固定費とは、毎月定額もしくは、ほぼ定額でかかる支出のことです。例えば、家賃や住宅ローン、水道光熱費、通信費(インターネットや携帯など)、教育費(授業料など)などです。
一方、変動費は、毎月の食費や日用品、交際費、臨時の冠婚葬祭費など、毎月の支払金額が決まっていない費用です。
こういった支出だけを一つの口座で管理することで、支出を把握し、やりくりしやすくなるでしょう。使い過ぎてしまった場合も原因を特定しやすくなります。
1.2 貯蓄がしやすい
複数の口座に分けるメリットとして、貯蓄がしやすい点があります。
貯蓄を成功させる大切なポイントは、残ったお金で貯金しようとしないことです。
そのためには、貯蓄専用の口座を作り、給与口座から毎月の貯蓄額を移すやり方がいいでしょう。貯蓄はすぐに必要なお金ではないため、同じ口座で他の支出と一緒に管理しようとすると、ついつい引き出して使ってしまうことが起こり得ます。
最初に貯蓄分を専用口座に移すことで、余計な支出を抑えられ貯蓄を習慣化することができます。貯蓄専用口座を作ると、貯蓄の増え方が把握しやすいため、継続するモチベーションにもつながります。
資金移動の方法については、多くの金融機関で毎月あるいは毎週、指定する口座に振り込みしてくれる「自動振込サービス」があり、手間をかけずにできます。
1.3 金融機関の破綻やシステムトラブルなどによるリスクを分散できる
口座を複数持つことで、金融機関のシステムトラブルや破綻などのリスクを分散できるメリットがあります。
銀行口座が一つの場合、その金融機関でシステムトラブルが発生すると、一時的にお金を引き出せない、あるいは振込できないといった事態が起きてしまいます。複数の口座を持つことで、万一銀行口座の一つにシステム障害が発生しても、他の口座で代用するなど柔軟に対応できるでしょう。
また、1,000万円を超える資産を持っている場合、金融機関の破綻リスクに対しても、複数の口座を持つことは有効です。
金融機関が破綻した場合、預金保険制度により、定期預金や利息の付く普通預金は、一人あたり元本1,000万円と破綻日までの利息などが保護されます。つまり、一つの金融機関に1,000万円を超える預金をしている場合、万一破綻した場合に保護されない可能性があるということです。
破綻したときの金融機関の残余財産で一部支払われる可能性もありますが、複数の口座に分けて管理することで、破綻リスクを回避しやすくなります。
2. 給与口座から複数の口座に振り分けるデメリット
一方で、給与口座から複数の口座に分けるデメリットもあります。
2.1 自分が持っているお金の合計額を把握しづらい
複数の口座を持つことで、貯蓄用や支出用などそれぞれの目的別のお金は把握しやすくなりますが、お金の合計額は把握しづらくなる可能性があります。
また、口座の数が多いほど、その分キャッシュカードや通帳が発行され、管理の手間も増えるため、細かく分け過ぎるのはよくありません。ネット銀行の場合、IDやパスワードの管理が必要になります。
複数の口座を持つにしても、目的に応じて管理しやすい数に抑えることが大切です。
2.2 無駄な費用が発生する場合がある
複数の口座を持つことで、無駄な費用が発生する可能性があります。
その前提として、一般的に同じ金融機関で複数の口座は持てません。一部の金融機関や利用目的によって例外的に複数の口座を開設できる場合もありますが、原則、一人一口座までしか作れません。
これは、同じ金融機関で同じ口座名義が複数あると、振込や入金手続きでミスが起こりやすいことが理由として挙げられます。また、一人が口座を複数持てることで、架空請求の振込に利用されたり、マネーロンダリングに利用されたりするなどの犯罪を防止する意味があります。
そのため、給与口座から複数の口座に振り分けたい場合、給与口座とは異なる金融機関の口座を持つことになります。
そのため、振込を利用して資金移動させる場合、基本的に振込手数料がかかることが多くなります。
例えば、みずほ銀行では、インターネットバンキングを利用した場合、他行宛ての振込手数料は、振込金額3万円未満で150円、3万円以上で320円です。ATMからキャッシュカードで振り込む場合、3万円未満で270円、3万円以上で330円かかります。2024年6月時点)。
一回の手数料はそれほど大きくないかもしれませんが、低金利で預金利息も付きにくい状況を考えると、毎月資金を移動させるたびに発生する振込手数料の負担感は大きいといえるでしょう。
3. 給与口座から振り分けて作成すべき三つの口座
給与口座に給与が振り込まれたら、三つの口座に分けることがおすすめです。ここでは、目的別に「使う口座」「貯める口座」「増やす口座」について解説します。
3.1 給与口座
給与口座は、毎月の給与や賞与の受取に使用する口座です。
給与振込口座は、勤務先が銀行を指定している場合があります。振込手数料や業務効率を考えて、会社のメインバンクとなっているケースです。
ただし、本来は給与の振込先として、特定の金融機関を指定することはできないと考えられています。
労働基準法24条では、「通貨で、直接労働者に、その全額を」支払わなければならないと定めており、給与の支払いについては現金払いが原則です。
ただし、現実には、現金払いだと会社側も給与を受け取る側も不便です。そこで例外的に、従業者本人の同意のもとに口座振込で給与の支払いができることとされています。そのため、会社側が給与口座を一方的に指定することはできず、本人の同意が必要です。
給与口座として利用したい金融機関がある場合、会社側に確認してみましょう。
3.2 振り分け先の口座
- 使う口座
給与口座から振り分ける口座の一つとして、使う口座を作成します。
毎月の支出における固定費や日々の買い物代などの生活費を管理するための口座です。支出専用の口座で管理することで、毎月の変動を含めて使ったお金を把握しやすくなります。
使う口座は、家計管理のベースとなる口座です。入出金や振込などの機会がもっとも多くなる口座であるため、利便性や振込手数料がポイントになります。
大手都市銀行であれば、店舗やATMも多いため利用しやすいうえ、日常的に振込先として使われているケースも多く、同行宛ての手数料が無料の場合もあります。ただ、最近では多くのネット銀行や地方銀行が、コンビニのATMや都市銀行、ゆうちょ銀行などのATMと提携しています。
- 貯める口座
給与口座から振り分ける二つめの口座は貯める口座です。
毎月、決まった額を給与から振り分けて貯蓄します。
貯める口座のポイントはシンプルで、口座内のお金を使わないことです。
定期預金を組むなど貯蓄専用とすることで、他の用途に使用することがなくなり、毎月着実に貯蓄できるでしょう。
貯める口座は、元本が保証される預貯金で確実に貯めていく口座のため、普通預金や定期預金の利率が高い金融機関がよいでしょう。
- 増やす口座
給与口座から振り分ける三つめの口座は増やす口座です。
増やす口座は、投資や資産運用に活用する口座で、貯蓄や支出用の口座と分けることがおすすめです。幅広く資産運用する場合でも、投資専用の口座で管理することで運用成果など確認しやすくなります。
投資専用の口座の場合、証券会社の口座へ入金することも考えられます。証券口座は、投資を目的に開設、利用するための口座です。投資用の銀行口座から証券口座へ資金を入金する場合、それぞれの口座の連携や使いやすさも必要になってきます。
なお、投資は、無理のない範囲ですることが大切です。毎月の生活費や教育費のための貯蓄など、必要な資金を除いた余裕資金ですることが基本です。無理のない金額で毎月投資信託を購入するなど、長期的に運用しながら目標金額を目指すとよいでしょう。
4. 複数の口座を持つときの銀行の選び方
最後に、複数の口座を持つときの銀行の選び方について解説します。
4.1 手数料が安いかどうか
銀行を選ぶときのポイントとして手数料があります。
ATMやインターネットでの振込やATMからの引き出し手数料など、金融機関を比較しながら選ぶことが大切です。
「振込手数料が月〇回まで無料」「月〇回まではコンビニのATMの出金手数料が無料」など金融機関によって利用条件が異なります。預貯金残高などによって独自のステージ制度を設け、ステージによって振込手数料や出金手数料の無料回数が決まる金融機関もあります。
また、ATMによる引き出しは何時から何時まで無料か、平日、土日の時間外の手数料はいくらかなど、日常生活のなかで利用する時間帯も意識して比較するとよいでしょう。
4.2 金利が高いかどうか
貯蓄用の口座や資産運用のための口座を作る際は、金利の高さが口座を選ぶポイントとなります。
定期預金の金利も金額や預入期間によって金利が異なり、メガバンクよりネット銀行や地方銀行などが高金利になっているケースもあります。
また、預入残高や住宅ローン残高などで独自のステージを設け、ステージごとに適用金利が異なる金融機関があります。
金利の適用条件にはさまざまなものがあるため、しっかりと比較・検討することが大切です。
4.3 利便性が高いかどうか
家計管理のベースとなる生活費などを管理する口座は、特に利便性が重要になります。
自宅や最寄り駅、勤務先の近くに店舗やATMがあると便利です。また、コンビニや郵便局、スーパーのATMとの提携数が多い金融機関であれば、近くに店舗がなくても不便は感じないため、手数料を含めてしっかり確認しましょう。
また、インターネットバンキングの利用しやすさも利便性を左右するポイントです。
アプリを含めて残高照会や取引明細の照会、決済時の使いやすさからスマート認証サービスなどセキュリティ面も比較してみましょう。決済サービスと連動していればより利便性は高くなります。
5. 給与口座を分けるメリットを有効活用しよう
お金を増やすためには、まず、家計の現状をしっかりと把握することが大切です。そのためには、給与口座を分けて複数の口座で管理することも一つの方法です。
給与口座を分けることは、同時に、貯蓄を続けやすくなる、投資に回す資金が明確になるメリットもあります。
ただし、口座を分けることで振込手数料などの負担が増える可能性があるため、銀行選びが大切です。銀行を選ぶ際のポイントは、「手数料」「金利」「利便性」です。すべてのポイントで満足いく金融機関が見つかればいいですが、難しい場合は優先順位を決めて選びましょう。
また、給与口座を振り分ける場合、振り分けたそれぞれの口座への振込手数料がかかるため、給与口座にもこだわりたいところです。
東京スター銀行では、全国約14万台のATMと提携し、引き出し手数料やインターネットバンキングでの他行宛振込手数料振込手数料が実質無料となるサービスを提供しています。
また、東京スター銀行の口座を給与振込口座に指定すると、お得な優遇金利で円普通預金が利用できます。
オンライン相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
- ※当行提携ATMであるMICS提携銀行、セブン銀行、ゆうちょ銀行のATM設置台数より算出
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