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新NISAでロールオーバーはできなくなる?仕組みや注意点について解説

  • #投資信託
  • #NISA

掲載日:2023年4月17日

2024年から新NISA制度が始まることは、すでにご存じの方も多いでしょう。現行NISAと比べると投資枠や期間などが大幅に拡充され、とてもメリットが多いこともあり、注目を集めています。

しかし、現行NISAで資産運用している方にとっては、現行NISAとの兼ね合いはどうなるのか、非課税期間が終了したあとのロールオーバー(非課税期間を延長すること)はどうなるのか、といった部分が気になるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、新NISAの概要を説明した上で、現行NISAと新NISAそれぞれのロールオーバーについて解説します。

この記事は5分で読めます!

1. 新NISA制度のポイントは?現行NISAと比較

最初に、注目を集めている新NISAについて、現行NISAと比較してみましょう。新NISAは、現行NISAに代わって2024年から始まる制度です。この新NISAのポイントを、現行NISAとの比較でまとめると、以下のようになります。

現行NISA 新NISA
口座開設期間 一般NISA:2023年末まで
つみたてNISA:2042年末まで
恒久化
非課税口座保有期間 一般NISA:5年
つみたてNISA:20年
無期限
年間投資枠 一般NISA:120万円
つみたてNISA:40万円
成長投資枠:240万円
つみたて投資枠:120万円
非課税保有限度額 一般NISA:600万円
つみたてNISA:800万円
1,800万円(うち成長投資枠:1,200万円)
制度の併用 一般NISAとつみたてNISAの併用は不可 成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能
  • 成長投資枠とは、「上場株式・投資信託等への投資ができる枠」のことで、これまでの一般NISAの役割を引き継ぐ枠となります。

制度の適用期間や非課税期間が恒久化、無期限になり、非課税枠の総額も大きく拡充されているのが分かります。岸田政権が掲げている資産所得倍増プランの一環として制度化されるため、非課税メリットを大きくしてより多くの人に投資を促す意図があります。

この新NISAについては、制度の詳細や活用アイデアなどを解説している記事があるので、そちらも併せてお読みください。

2. 新NISAでロールオーバーはどう変化する?

現行NISAで資産運用をしている方にとっては、運用中の商品の非課税期間が終了したあとのことが気になるのではないでしょうか。現行の一般NISAでは非課税期間の延長(ロールオーバー)が可能ですが、新NISAではどうなるのかについて解説します。

2-1. 現行NISA(〜2023年末)のロールオーバー

一般NISAは、非課税期間を終了したときに手続きすることで、非課税期間を延長することができます。一方、つみたてNISAでは利用できません。

2-2. 新NISA(2024年〜)のロールオーバー

新NISAでは非課税期間が無期限になるため、そもそも非課税期間が満了せず、ロールオーバーという概念がありません。ロールオーバーをする必要がないため、より使いやすい制度になったといえるでしょう。

3. 【新NISA】ロールオーバーができないなら今保有している商品はどうする?

新旧制度が切り替わるタイミングにおいて、現行NISAで保有中の商品をどうすればよいか悩む人も多いでしょう。結論として、慌てる必要はありません。現行NISAは、新NISAと併用することができるからです。

新NISAがスタートしても、現行NISAの非課税期間は変わりません。例えば、一般NISAの非課税期間が2年目の場合は、期間満了までの残り3年間は利益が出た場合でも非課税となります。まずは、現在運用中のNISA口座が運用何年目なのかを把握しましょう。その残存期間においてそのままの運用を希望する場合は、特に新たな手続きなどをする必要はありません。

3-1. 【注意】非課税期間終了後は課税口座へ払い出し

現行NISAの非課税期間が終了すると、自動的に課税口座に払い出されることになります。このときに取り得る選択肢は、2つです。

1つ目は、現行NISA口座から課税口座に払い出された商品を、そのまま保有し続けることです。すでに非課税期間は終了しているので課税対象となりますが、まだまだ利益が伸びそうなら保有し続けるのも有効な考え方でしょう。もし購入時よりも値下がりしているような場合は、売却せずに課税口座で保有し続け、値上がりを待つ手もあります。

2つ目は、売却です。購入時よりも値上がりしているのであれば、売却して利益を確定させるのもよいでしょう。売却して現金化したら、それを元手に新NISAで新たな運用をするのも良いでしょう。

4. ちなみに…ジュニアNISAのロールオーバーは2024年からどうなる?

ジュニアNISAは2023年末に廃止が決まっています。現在ジュニアNISAで保有している商品については、非課税期間の終了後に継続管理勘定で18歳になるまで非課税で保有することができます。この継続管理勘定とはロールオーバー専用の非課税枠のことです。ロールオーバー専用なので、継続管理勘定で新規買い付けをすることはできません(売却は可能です)。

5. まとめ

それでは新NISAのロールオーバーについて、要点をおさらいしてみましょう。

  • 新NISAは非課税期間が無期限なので、そもそもロールオーバーの概念がない
  • 現行NISAから新NISAへのロールオーバーは不可
  • ジュニアNISAは2023年末で終了する
  • ジュニアNISAで保有している商品は、非課税期間終了後に継続管理勘定で18歳になるまで非課税で保有できる

以上が、当記事の主なポイントです。

新NISAは現行NISAから変更点が沢山あり、はじめは戸惑う方もいるでしょう。ただ、非課税投資枠が増えたことや非課税期間に制限がなくなったことにより、さらに自由に資産運用ができるようになります。当記事で説明したように、2024年以降に現行NISAの非課税期間終了後はロールオーバーができなくなるといった変化もあるため、十分に注意をした上で運用しましょう。

当記事は2023年2月に作成しているため、実際に取引する際は最新の情報を確認してください。さまざまな意見や指摘があるため、この制度はまだまだ変更になる可能性があります。

以上

【ライター情報】
蛯沢 路彦

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

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