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今話題のメタバースとは?注目されている理由、投資との関係性について解説

  • #テクノロジー

掲載日:2022年3月4日

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1. メタバースが注目される理由

1-1. 大企業を中心にメタバースへの参入が相次ぐ

ここ最近では大企業が次々とメタバース関連事業に参入することを明らかにしています。特にニュースになったのが、世界的なSNSを運営するFacebook,Inc.が会社名を変更したことです。これまではサービス名と同様のFacebook,Inc.という社名でしたが、2021年10月にMetaPlatforms,Inc.に変更されました。今後はメタバースの構築に注力するためだと表明されています。

1-2. メタバースとは?

メタバースを英語で表記するとmeta-verseです。宇宙(universe)を超越(meta)するという意味が込められた造語で、「インターネット上に構築されている仮想三次元空間に接続できる環境」という定義が一般的です。この概念が世に登場したのは意外に古く、1992年にSF作家のニール・スティーヴンスンが書いた『Snow Crash(スノウ・クラッシュ)』という小説が由来とされています。

それ以来、メタバースという言葉を意識してはいないものの、その体験をしているという人は多いはずです。ゲームの世界では、MMO(Massively Multiplayer Online)というジャンルが1990年代には確立されていました。これは、一つのゲーム内社会に多数のプレイヤーが同時に参加し、相互にコミュニケーションすることができるサービスです。最近では、「あつまれ どうぶつの森」※1 (以降、「どうぶつの森」)が、メタバース的な要素を持つサービスとして大ヒットしました。

また、2000年代には、Second Life(セカンドライフ)※2という仮想空間で生活を送るサービスが、ビジネスおよびインターネット界の話題になったことをご記憶の方も多いでしょう。

  • ※1「あつまれ どうぶつの森™」は任天堂株式会社の登録商標又は商標です
  • ※2「Second Life」はLindenLabの登録商標又は商標です

1-3. 現実とバーチャルが融合し始めている

このように、メタバースの概念や要素は、20年以上前から知られていました。しかし、ここ数年、過去にないほどのボリュームでメタバースという言葉を見聞きするようになり、関連するニュースも増えています。

その大きな要因として考えられるのが、技術の進歩により現実世界と仮想空間の境目がなくなってきていることです。例えば、「どうぶつの森」は閉じられた世界であり、ゲーム内で起きることはゲーム内で完結し、アイテムや報酬はその中でしか使えませんでした。ところが最近では、AR(Augmented Reality:拡張現実)やVR(Virtual Reality:仮想現実)の進歩により、現実世界と仮想空間が共存し始めています。

ARとは、現実世界と仮想空間を重ね合わせて表示する技術のことです。例えば、スマートフォンでカメラを起動したときに、映っている景色にキャラクターが合わさって表示されるアプリがあります。それらは、現実の世界に仮想空間のキャラクターが登場するような仕組みになっています。

VRとは、ユーザーの視覚をはじめとする五感に対して知覚させ、実際にその空間にいるような感覚を得られる技術です。代表的なものとしては、VRゴーグルと映像やゲームなどを組み合わせるサービスがあり、通常のスクリーンなどで見るより高い没入感が得られるという体験ができます。また、最近ではゴーグルを利用せずに手軽にスクリーン上でVRの世界を体験できるサービスも増えてきています。

既に述べたように、メタバース的な概念は新しいものではありません。しかし、ARやVRのようなメタバースと連動する技術の急激な進歩により、資本力のある大企業を中心としたメタバースへの参入や投資は、今後さらに加速するものと思われます。

2. コロナ禍がメタバース拡大を後押し

なぜ、さまざまなジャンルの企業が、メタバースに注目しているのでしょうか。それは、これまでになかった高度かつ先進的なサービスを提供できる可能性があったり、それにより従来の顧客とのコミュニケーションを変革できたりすると考えるからです。

上記の記事によれば、パナソニックは背中に取りつけることで仮想空間と同じ寒暖の変化を感じられる端末の発売を発表しています。これはほんの一例で、あらゆる先進的サービスの開発が進んでいます。

また、新型コロナウイルスの流行により、巣ごもり需要が増えることで、働き方やエンターテインメントのあり方自体が大きく変化した点も見逃せません。リモートワークやオンラインでの会議、パーティーなどが当たり前になることで、仮想空間を人々が受け入れる素地が自然にできています。

このような流れであるため、成長が大いに期待できるジャンルとして、メタバース関連銘柄に多くの投資家が注目しています。例えば、シーズメン(3083)はメタバースファッション事業参入の発表を契機に、株価が大幅に上昇しました。この他にも、多くの銘柄で急騰する展開が見られています※3 。もちろん世界でも同様の傾向があり、米国ではメタバース関連銘柄のETF(上場投資信託)が登場するなど、市場での存在感を強めています。

  • ※3当行は具体的な銘柄を推奨しているわけではありません

3. メタバースで実現できること

3-1. メタバースであることの条件とは?

米国のベンチャー投資家で、メタバースに詳しいマシュー・ボール氏は、メタバースの条件として以下の七つをあげています。

@ 永続的であること 一時停止やリセットは存在せず、ずっと継続する
A 同期的である 実社会と同じように、情報や内容がシンクロしている
B 無限の同時接続ユーザー 人数制限がなく、各個人がアバターとして同時に存在できる
C 完全に機能した経済 個人や企業が価値を生み出せば報酬を得られる
D 実社会との垣根なし 閉じられた世界ではなく、情報や体験、価値などが現実社会と仮想空間で行き来する
E 相互運用性 メタバース同士が垣根を越えて連動する
F 幅広い人々の貢献 個人や企業などがたくさん参加し、たくさんのコンテンツや体験を提供する

今後、新しい発想や技術が出現することで、メタバース自体の定義が変わる可能性は多いにあるものの、現時点でメタバースとは何かと問われれば、上記の条件を全部、ないし一部満たしているものと考えれば良いでしょう。

こういったメタバースであることの条件を満たしつつ、今後主流になりそうなコンテンツ、サービスはどのようなものになるでしょうか? 次の項では、いくつかの例を考えてみましょう。

3-2. アバターでのコミュニケーションはもっと増える

メタバースを語る上で、アバターの存在は欠かせません。アバターとは自分の分身のことで、メタバース内を回遊し、他者のアバターと自由にコミュニケーションが可能です。どうぶつの森のようなゲーム領域では定着している存在ですが、今後は音楽などのライブ、より実生活に近いSNSなどでも、アバターを通じて交流することが主流になっていくかもしれません。

また、デジタルデータのオンリーワンを証明できるNFT(非代替性トークン)とアバターの相性は良く、NFTを販売するマーケットでは、アバターとして使用できる画像などが販売され流行の兆しを見せています。

3-3. 仮想現実が企業サービス拡大へ貢献

メタバースといえば、VRゴーグルを使うコンテンツ、サービスがイメージされやすいでしょう。仮想現実を活用した疑似体験は、幅広いジャンルにおいて情報伝達や表現の幅を広げ、それがビジネスのチャンスに結びつく可能性は高いです。例として、観光業はメタバースでの旅行、不動産業はメタバースでの内見、小売業ではメタバース内での販売など、VRを用いることでこれまでになかった体験を擬似的にユーザーに伝えることが考えられます。

4. まとめ

仮想空間としてのメタバースは、20世紀から既に存在している概念ですが、近年ではARやVR、NFTなどの技術が進歩することで、急激に注目度を上げています。世界のそうそうたる企業が積極的にメタバース参入の動きを見せており、私たちの世界が大きく変わる可能性を秘めているといえます。

以上

【ライター情報】
蛯沢 路彦

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

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