新NISAでは一般NISAとつみたてNISAがひとつに!今始めるならどっちが良い?
- #投資信託
- #NISA
掲載日:2023年4月17日
2024年からNISA制度が変わることをご存じの方は多いでしょうが、具体的にどう変わるのか、それに伴ってどう行動するべきなのかについて理解している方は少ないのではないでしょうか。新NISAでは、一般NISAとつみたてNISAが一本化され、1つの制度として運用されます。これまではこの2つの制度を併用できなかったので、よりメリットの大きい制度となります。
ただし、新NISAがスタートするのは2024年からです。当記事を執筆している2023年2月時点では、まだ一般NISAによる資産運用を始めることができ、新NISA移行後も非課税期間が満了するまでは優遇を受けることができます。
それでは、2023年2月時点で始めるなら一般NISAとつみたてNISAのどちらを選ぶべきなのでしょうか?「今始めるなら」という視点での判断材料をまとめていきます。
この記事は6分で読めます!
1. 新NISAは一般NISAとつみたてNISAがひとつになる
新NISAの大きな変更点は、現行では別々の制度として運用されている一般NISAとつみたてNISAが一本化されることです。それに伴い、現行の両NISAは新規買い付けが2023年末までとなりました。この切り替わりにおいて、重要なポイントを見ていきましょう。
1-1. 現行のつみたてNISAの新規買い付けは2023年末をもって終了
現行のつみたてNISAは、2020年度の改正により2042年まで新規買い付けが可能となっていました。しかし、2022年12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」において、2024年に新NISA制度が始まることから、当該新規買い付けは2023年末で終了する方針が示されました。
ただし、終了するといっても、あくまでも新規買い付けが2023年末までという意味です。
つみたてNISAの非課税期間が突然打ち切られてしまうことはなく、すでに保有している金融資産については、非課税期間が満了するまで持ち続けることができます。
1-2. どのように一本化される?
新NISAでは、新たに「成長投資枠」と「つみたて投資枠」という2種類の年間投資枠が設けられます。成長投資枠は240万円、つみたて投資枠は120万円まで非課税で投資できます。現行NISAでは一般NISAの年間120万円か、つみたてNISAの年間40万円かのどちらかを選ぶ必要があり、年間最大投資額は一般NISAを選んだ場合の120万円でした。
これに対して新NISAでは最大360万円と、実に3倍まで非課税枠が拡大されることになります。また、非課税保有期間は無期限となり、非課税保有限度額は1,800万円(成長枠は1,200万円まで)となりました。これだけ非課税枠が大きくなったことで、投資の選択肢が広がったといえます。
新NISA | |
---|---|
年間投資枠 | 360万円 (成長投資枠:240万円、つみたて投資枠:120万円) |
非課税期間 | 無期限 |
総投資枠 | 1,800万円 (うち成長投資枠:1,200万円) |
2. 成長?つみたて?新NISAの2つの投資枠について
新NISAの成長投資枠とつみたて投資枠には、どのような差異があるのでしょうか?以下で、それぞれの特徴を見ていきましょう。
2-1. 成長投資枠とは
現行の一般NISAを引き継ぐような性格の投資枠です。「成長」の名にふさわしく、上場株式や投資信託、ETFなどへの投資が可能です。年間240万円までの投資が非課税になり、全期間通しての非課税枠の限度額は1,200万円になります。
2-2. つみたて投資枠とは
現行のつみたてNISAに相当する投資枠です。投資対象は、金融庁に届け出されている積立投資に適した投資信託に限られます。年間120万円までが非課税です。ちなみに、新NISAでは両投資枠の合計で最大1,800万円までが非課税になるため、もし成長投資枠を全く利用しなかった場合は、つみたて投資枠で1,800万円分までが非課税になります。
3. 成長投資枠とつみたて投資枠はどう活用するのが良い?
新NISAでは、特徴が異なる投資枠の使い方を、自分で決めることができます。自由度が高いため、どちらの投資枠に比重を置くのか、それぞれの利点をどう活用するのかを自分で考えることが重要になります。投資戦略の一例として、基本的にはつみたて投資枠を活用して一定額ずつ積立投資を続け、その上で現物株などのリスク資産でやや大きな金額の利益を目指す、といった方針が考えられます。現物株投資に関しては、株価の値上がり益(キャピタルゲイン)に期待するのではなく、配当の利回り(インカムゲイン)が高い銘柄を選んで長期保有するのも有効です。新NISAでは非課税期間が無期限になるため、長期間にわたる配当収入をねらう戦略にも投資妙味があるのです。
このように、新NISAでは2つの投資枠をうまく使い分けることが、運用結果を左右する重要な要素となります。投資リテラシーを高めることで、新NISAのメリットを最大化することができます。
薄価残高方式の採用で売却すれば枠を再利用できる
新NISAは簿価残高方式で管理されるため、NISA枠で購入した金融資産を売却した場合、その枠を再利用することができます。簿価残高方式は、購入時の買値で計算されます。つまり、売却時に金融資産が値上がりしていても値下がりしていても、購入時の枠が再利用の対象となるのです。非課税枠の再利用は、現行NISAではできなかったことです。これも新NISAのメリットです。
4. 2024年までに始めるなら一般NISAとつみたてNISAどっちがおすすめ?
2023年2月の執筆時点では、現行NISAが利用可能です。新NISAは現行NISAと別の制度として運用されるため、いまNISAを始めることで、2024年からは新旧NISAの非課税枠を合わせて利用することができます。
では、一般NISAとつみたてNISAのどちらを始めるべきでしょうか? ここで、現行NISAの非課税枠についておさらいしておきます。
年間投資枠 | 非課税期間 | 総投資枠 | |
---|---|---|---|
一般NISA | 120万円 | 5年 | 600万円 |
つみたてNISA | 40万円 | 20年 | 800万円 |
両者を比較すると、非課税期間が長く総投資枠も大きいつみたてNISAの方がメリットは大きいことが分かります。また、現行NISAから、新NISAへのロールオーバーはできません。その面でも、つみたてNISAによって長い非課税期間を利用するのがよいと考えられます。
5. まとめ
新NISAは現行NISAに比べて自由な制度になります。特に新たに設置された2つの非課税投資枠「成長投資枠」「つみたて投資枠」は、両投資枠合わせて最大1,800万円であるため、自分で投資の比重等を決めながら運用していくことがポイントになるでしょう。
それでは当記事のポイントをおさらいします。
- 新NISAは、現行の一般NISAとつみたてNISAが一本化される
- 新NISAは成長投資枠とつみたて投資枠で構成される
- 最大で1,800万円までが非課税になる
- 現行NISAと新NISAは併用できる
- いま始めるなら、一般NISAよりもつみたてNISAの方がメリット大
2023年はNISA制度が切り替わりに向かう特殊な時期です。この時期に現行NISAを始めれば、2024年からは新旧NISAで非課税枠を利用できます。非課税メリットを最大化する意味でも、うまく活用して資産形成に役立てたいものです。
以上
- ※本記事に記載された情報は、掲載日時点のものです。
お問い合わせ先などの情報や掲載内容は予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。 - ※当行は、細心の注意を払って情報を掲載しておりますが、記事内容の正確性、信頼性、最新情報等であることに関して保証するものではございません。