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日経平均株価とは?どうやって決まる?基礎知識を分かりやすく解説

  • #株式市場・為替相場
  • #時事

掲載日:2024年5月27日

「日経平均株価」はテレビやニュースでよく見聞きする言葉ですが、具体的にどのようなものなのか知らない人も多いでしょう。また、日経平均株価がどのように決まっているのか知らない人も少なくありません。この記事では、日経平均株価の基礎知識や計算方法について分かりやすく解説します。

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1. 日経平均株価とは

日経平均株価とは、東京プライム市場の中から日本経済新聞社が市場流動性の高さや業種のバランスなどを考慮して選んだ225銘柄の平均株価指数のことです。「日経225」とも呼ばれています。

日経平均株価は、多くの指数連動型金融商品に利用されている日本を代表する株価指標です。日本経済や投資環境が色濃く反映されているため、さまざまな人たちが日々注目しています。組入銘柄は4月と10月の年2回見直され、専門家の意見を受けながら、最終的に日本経済新聞社が決定します。

1.1 TOPIXとの違い

日経平均株価と並ぶ代表的な株価指標としてTOPIXがあります。TOPIXとは「Tokyo Stock Price Index」の略で、「東証株価指数」とも呼ばれています。

日経平均株価とTOPIXの違いは、対象銘柄の数です。日経平均株価の対象銘柄は225銘柄であるのに対し、TOPIXは東京プライム市場の全銘柄が対象となっています。2024年3月29日時点では、2,148銘柄が対象です。

また、日経平均株価は「円」や「銭」を単位とする一方で、TOPIXは「ポイント」を単位としています。計算式は、以下の通りです。

【TOPIX(ポイント)の計算方法】

TOPIX(ポイント)=算出時の時価総額※÷基準時の時価総額(1968年1月4日時点)×100

  • 時価総額=株価×発行株式数

上記で計算した金額を1968年1月4日の時価総額100ポイントと比較をすると、東証プライム上場銘柄がどのくらい成長しているかが分かります。たとえば、2024年3月29日時点のTOPIX時価総額は2,768.62ポイントです。つまり、1968年に比べると時価総額が約27.6倍になっており、成長していることが分かります。

なお、2022年4月4日に市場区分が「プライム市場」「スタンダード市場」「グロース市場」に再編され、構成銘柄の条件が変更されています。

1.2 海外の株価指数

海外の代表的な株価指数として、アメリカのニューヨーク・ダウやS&P500、イギリスのFTSE100、ドイツのDAXなどがあります。

  • ニューヨーク・ダウ
    ニューヨーク・ダウは、ダウ・ジョーンズ社がニューヨーク証券取引所やNASDAQ(ナスダック)に上場している銘柄のうち30銘柄を選定して算出する株価指数です。代表的な組入銘柄としては、アップルやアマゾン、アメリカンエキスプレスなどがあります。
  • S&P500
    S&P500はスタンダード・アンド・プアーズ社が定める株価指数で、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している銘柄のうち、代表的な500銘柄の時価総額を加重平均して指数化したものです。代表的な組入銘柄としては、エヌビディアやイーライ・リリー、アルファベット(グーグル)などがあります。
  • FTSE100
    FTSE100は、英国の代表的な株価指数です。ロンドン証券取引所の子会社にあたるFTSEが、上場している時価総額上位100銘柄の株価指数です。代表的な組入銘柄としては、エアテル・アフリカやアングロ・アメリカン、アドミラル・グループなどがあります。
  • ドイツDAX
    DAXはドイツのフランクフルト証券取引所に上場している銘柄のうち、主要40銘柄の時価総額を加重平均して指数化したものです。代表的な組入銘柄としては、アディダスやエアバス、アリアンツなどがあります。

2. 日経平均株価はどう決まる?

日経平均株価はどのように決まるのでしょうか。ここでは、算出方法や銘柄の選定基準、値動きの特徴について解説します。

2.1 算出方法

日経平均株価の算出方法は、以下の通りです。

【日経平均株価の計算方法】

各構成銘柄の採用株価=株価×株価換算係数
日経平均株価=構成銘柄の採用株価合計÷除数

日経平均株価は、単純に株価指数を構成する225銘柄の平均株価を計算するわけではありません。構成銘柄の入れ替えや株式分割、併合などで株価が変動しても、除数を用いることで指数の連続性が保たれるよう工夫されています。

また、株価が高い銘柄は指数に対する影響が過度に大きくなる可能性があるため、株価換算係数を乗じて調整をします。

2.2 225銘柄の選定基準

日経平均株価を構成する225銘柄の選定基準としては、「市場流動性」と「セクター」間のバランスが評価・選定のポイントです。市場流動性は、過去5年間の売買代金と各5年間の売買代金あたりの価格変動率で測定します。

また、セクターは、以下の通り「技術」「金融」「消費」「素材」「資本財・その他」「運輸・公共」の6セクター36業種の中からバランスを考慮して選定されます。

セクター 業種
技術 医療品・自動車・電気機器
金融 銀行・証券・保険
消費 水産・食品・サービス
素材 鉱業・繊維・化学
資本財・その他 建設・機械・造船・不動産
運輸・公共 鉄道・陸運・ガス・電力

2.2 値がさ株の影響を受ける

日経平均株価は、各構成銘柄の株価を株価換算指数で調整し、構成銘柄の採用株価合計を除数で割って算出します。計算方法が225銘柄の単純平均に近いことから、株価が高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすい傾向があります。

3. 日経平均株価から分かること

日経平均株価の構成銘柄は225銘柄のみですが、各セクターの中からバランスを考慮して銘柄が選定されているほか、市場流動性が高いです。また、産業構造変化を的確に反映できるよう銘柄の見直しも定期的に行われていることから、日経平均株価の値動きを見れば、株式市場全体の大まかな値動きが把握できます。

3.1 日経平均株価があがったらどうなる?

日経平均株価が上昇していると、多くの銘柄の株価が上昇している傾向があります。また、国内主要株価指数と連動した運用成果を目指す投資信託の多くが、値上がりしている可能性が考えられます。

4. 日経平均株価に投資するには?

あくまで株価指数であることから、日経平均株価自体に投資することはできません。しかし、日経平均株価をベンチマーク(指標)として運用するETFや投資信託を購入することで、投資することは可能です。

投資のリスクを抑えるためには、複数の値動きの特徴が異なる銘柄を組み合わせる分散投資が有効です。しかし、複数の銘柄に個別に投資をするには、多くの銘柄に関する知識を持ち合わせていなければなりません。

そこでETFや投資信託を通じて日経平均株価に投資をすれば、1つの商品で225銘柄に分散投資することと同等の効果が得られます。

4.1 ETF(上場投資信託)

ETFとは(Exchanged Traded Funds)のことで、東京証券取引所などの金融商品取引所に上場している投資信託のことを指します。金融商品取引所の取引時間内であれば、リアルタイムで1日に何度でも売買できる点が特徴です。

日経平均株価をベンチマークとしているETFであれば、225銘柄に分散投資をしたことと同等の運用成果が期待できます。

4.2 インデックスファンド

インデックスファンドは、株価指数に連動した運用成果を目指す投資信託のことです。株価指数を上回る運用成果を目指すアクティブファンドもありますが、インデックスファンドの方が商品選定にかかるコストが少なく、信託報酬が低い傾向があります。

インデックスファンドはETFと違い、1日1回算出される基準価格でしか取引ができません。注文した時点では取引価格が分からないため、注意が必要です。

インデックスファンドについて、詳しくは「インデックスファンドとはどんな投資信託?おすすめの商品や選び方まで解説!」の記事も参考にしてみてください。

5. まとめ

日経平均株価は日本経済新聞社が選んだ225銘柄の平均株価指数であることから、日本経済の好不調、日本の株式市場全体の大まかな傾向を把握することに役立ちます。

日経平均株価に直接投資をすることはできませんが、ETFや投資信託を通じて投資をすることは可能です。日経平均株価をベンチマークとして運用するETFや投資信託であれば、225銘柄に分散投資をしたことと同等の運用成果が期待できるでしょう。

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