借りる・返す

病院の診察料や入院費が払えないときはどうすればいい?困ったときの対処法

  • #お金を借りたい

掲載日:2021年12月22日

新型コロナウイルスの流行により、急に自分も入院するかもしれない…と考えたことはないでしょうか。新型コロナウイルスへの罹患を含め、突発的な大病や大ケガによる入院・手術などに直面するリスクは常にあります。そうした場合、治療費が高額になったり、入院が長期化すると、費用は大丈夫かな…と心配になりますよね。医療による支出の増加や収入の減少は、医療や保険の知識を正しく持つことで対応の幅が広がります。ここでは病院での自己負担額や、医療費が払えない場合の対処法を紹介します。

この記事は8分で読めます!

1. 急な入院が必要になったら…家計の心配はありませんか?

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、いまだ終息の見通しが立たない昨今、冒頭でも触れた通り「予期せぬコロナ感染で急な入院が必要になるかもしれない」と不安を抱いている方もいるかと思います。しかし、基本的に新型コロナウイルス(変異株含む)の治療費・入院費は公費によって賄われるため、原則として治療や手術、入院にかかる費用は無料です。しかし、保険適用外の費用についてはその限りではありません。差額ベッド代などについては自己負担となる上、入院している間の収入保障はありません。少なからず、新型コロナウイルス感染による家計への影響は生じる可能性が高いといえるでしょう。

心配なのは、新型コロナウイルスだけではありません。最近は自然災害の発生も多く、急な災害によって病気・ケガをした場合、治療や入院が必要になることがあるかもしれません。治療内容によっては公的医療保険の対象となりますが、どうしても自己負担分は発生するため、家計を圧迫することが考えられます。

そのため、新型コロナウイルスや災害にかかわらず、日頃から貯蓄をしたり、医療保険に加入するなどして急な医療関係の出費の可能性に備えておくことが重要です。

2. 一般的な病院での自己負担額

日本は「国民皆保険制度」を採用しており、会社員などは勤務先を通じて社会保険(健康保険)、自営業・農林漁業などの人は国民健康保険と、原則的に全ての国民が公的医療保険に加入しています。そのため、医療費の実質的な自己負担割合は1〜3割(年齢や所得によって異なる)となります。

医療費の自己負担割合
一般・低所得者 現役並み所得者
75歳以上 1割負担 3割負担
70歳以上75歳未満 2割負担
6歳(義務教育就学後)以上70歳未満 3割負担
6歳(義務教育就学前)未満 2割負担

ただし、中には公的医療保険が適応されない項目もあり、それらの費用は全て自己負担となります。例えば、先進医療、自由診療、入院時の差額ベッド代、食事代などがあります。

それでは一般的な病院に入院した場合、自己負担費用はどのくらいになるのでしょうか? 生命保険文化センターが実施した「令和元年度 生活保障に関する調査」によると、入院時の自己負担費用の平均は208,000円(治療費・食事代・差額ベッド代に加え、交通費や衣類、日用品費などを含む)となっています。

入院時の自己負担費用

出典:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」

これはあくまで平均の金額であり、当然ながら、治療内容や入院期間によってはこの金額より低くなることもありますが、入院が長期化すればするほど自己負担する金額は大きくなる可能性があります。

3. 医療費が高額になったときは公的制度を利用しよう

高額な医療費に対する備えが十分でなかった場合、突発的な病気やケガによる入院などで医療費がどうしても払えないというケースが出てくるかもしれません。また、病院に行かなければならないのに、給料日前だったり、大きな買い物をしたばかりだったりなどの事情で手持ちが少ない…という状況もあり得ます。そのようなときは、公的制度を利用することによって自己負担額を減らすことができるかもしれません。以下では、医療費が高額になってしまった際に使える制度を紹介します。

<@高額療養費制度>
医療費の自己負担額が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が、後から払い戻される制度です。自己負担限度額は年齢や所得水準によって異なります。
例えば、69歳以下で年収約370〜約770万円の方が、1か月あたり50万円の医療費がかかった場合、自己負担額は通常の「3割負担」で15万円になるところ、高額療養費制度を活用することで8万円程度に負担を軽減することができます。
  • 自己負担額の計算

    80,100円+{(500,000円−267,000円)×1%}=82,430円

    このケースでは、15万円をいったん病院に支払うことになりますが、高額療養費制度により自己負担限度額が82,430円となるので、申請後に差額分の67,570円の払い戻しを受けられます。

  • 限度額適用認定証で窓口負担を減らすことも可能

    とはいえ、医療費50万円の3割である15万円を一時的に用意できない場合もあるでしょう。そんなときに活用できるのが「限度額適用認定証」です。医療費が15万円かかると分かった段階で、あらかじめ限度額適用認定証の交付を受けて医療機関の窓口に提示することで、支払い額が高額療養費制度の限度額分までとなります。先の例でいえば、最初から自己負担限度額82,430円の支払いで済みます。

  • 世帯合算

    また、高額療養費制度には「世帯合算」によって負担額を軽減することも可能です。世帯合算は、文字通り自己負担額を世帯で合算できる仕組みのことで、例えば、同一世帯の複数人が同じ月に病気やケガをして医療機関の窓口で支払った自己負担額を合算することができます。1人の自己負担額では高額療養費の対象にならなくても、複数人の合算額が自己負担限度額を超えれば、超えた分が高額療養費として払い戻されます。

  • 多数回該当

    一方、多数回該当は直近の1年間(12か月間)に同一世帯で3か月分以上高額療養費の払い戻しを受けている場合、4か月目からは自己負担限度額がさらに引き下げられる仕組みです。これにより、高額療養費制度の適用を受けやすくなります。

<A自立支援医療制度>
心身の障害に対する医療費の自己負担額を軽減する制度です。都道府県や指定都市が実施主体として運用されています。この制度を活用することで、医療費の自己負担額が原則1割まで軽減されます。所得に応じて1か月あたりの自己負担額が設定されており、低所得者ほど低くなります。

上記で紹介した制度以外にも活用できる公的制度はありますので、気になった方はお住いの地域のホームページや役所などに問い合わせてみるとよいでしょう。

4. 公的制度も使えなかった場合の対処法は?

上記に挙げた公的制度が利用できず、どうしても医療費を支払うことができない場合はどうすれば良いのでしょうか? 以下の三つの対処法が考えられます。

<親族に相談する>
自分で医療費を支払うことができない場合に、親族に相談するという方法です。事情を説明すれば立て替えてくれるケースもあるでしょう。医療費が高額になり、払えないかもしれないと思ったら、早めに相談することが大切です。
<病院に分割払いや後払いの相談をする>
医療費が払えないときは、病院に相談してみるのも一つの選択肢です。医療機関によっては、分割払いや支払いの先延ばしに応じてくれる可能性もあります。支払いが苦しくて困っていることを正直に告げれば、ベストな対処法をアドバイスしてくれるかもしれません。
<医療ローンを検討する>
医療費は、医療ローンを組んで支払うこともできます。医療ローンとは、高額な治療費がかかる医療行為を受ける際に利用できるローンのことで、多くの場合、借り入れ先は病院と提携している銀行などの金融機関になります。
また、医療ローン以外にも銀行の一般的なカードローンやフリーローンを利用するのも一つの手です。これらは基本的に資金使途が自由※1なので、医療費の支払いにも充てることができます。ただし、いずれのローンも公的な制度とは異なり利息が発生します。その後の返済が家計を圧迫するリスクがあることを認識しておく必要があります。東京スター銀行では、カードローンとフリーローンのご用意がございますので、状況に応じてお選びいただけます。
  • ※1事業性を除く

【突然の病気や入院等、急な出費にお困りな方はこちら】

現在)

  • ※110万円以上1,000万円以下(10万円単位)の範囲で当行審査により決定いたします。
  • ※2現在。保証料を含む。金利は当行審査により決定いたします。

【継続的な通院や検査等、今後まとまった資金が必要な方はこちら】

現在)

  • ※1事業性を除く
  • ※2現在。保証料を含む。金利は当行審査により決定いたします。
  • ※3お借入金額は10万円以上1,000万円以下(1万円単位)の範囲で当行審査により決定いたします。お借入期間は1年以上10年以内の範囲(1年単位)となります。

5. まとめ

病気やケガによる治療や入院は、予期せぬタイミングで起こることが多いものです。仮に入院となってしまうと平均で約20万円もの費用が必要となり、場合によっては支払えないことも考えられます。そんなときは、まず公的制度の利用を検討しましょう。高額療養費制度や一部負担金免除制度などを活用すれば、自己負担額を抑えることが可能です。

もし公的な制度が使えないのであれば、できるだけ早めに親族や病院に相談してみましょう。もしくは、各種ローンの利用という手段もあります。どうしても入院が必要となった場合は、まずは適切な治療を受けることが大原則です。様々な手段があるので、ご自分に合う方法を検討してみてはいかがでしょうか。

以上

(基準日:2021年9月10日)

【ライター情報】
蛯沢 路彦

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

関連記事