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外貨預金とFXの違いとは?主な特徴やメリット・向いている人の特徴

  • #外貨預金

掲載日:2025年1月24日

日本の定期預金は金利が低いため、金利が高い外貨預金や、為替相場の変動を利用して利益を得られるFXに興味をお持ちの方もいるのではないでしょうか。外貨預金とFXは、ともに外貨を用いて資産運用を行う点が共通しています。

しかし、外貨預金とFXでは利益を得る方法が異なります。それぞれの特徴や自分の向き不向きなどを加味したうえで行わないと、損をする恐れがあるため注意が必要です。

今回は、外貨預金とFXの違いやそれぞれのメリット、向いている人の特徴などを解説します。

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1. 外貨預金の基本情報

外貨預金は円を外貨に替えて行う預金で、円預金とは異なり為替変動の影響を受ける点が特徴です。まずは、外貨預金の基本情報から解説します。

1.1 外貨預金とは

外貨預金とは、円ではなく米ドルや英ポンドをはじめとした外貨で行う預金です。金融商品の一つとして、さまざまな金融機関が取り扱っています。

円預金よりも高金利の外貨預金を行えば、効率よく資産形成ができるでしょう。ただし、外貨預金では為替レートの変動によって利益や損失が生じます。

  • 払戻時のレートが預入時のレートよりも円安:為替差益(利益)が発生する
  • 払戻時のレートが預入時のレートよりも円高:為替差損(損失)が発生する

外貨建てでは元本が保証されていますが、円ベースで見ると元本割れが発生する可能性がある点に留意しましょう。

出典:一般社団法人全国銀行協会「外貨預金の特徴を知る」

1.2 外貨預金のメリット

外貨預金では、預金する通貨を自分で選べます。金融機関によって取り扱っている通貨は異なりますが、先進国通貨だけでなく新興国通貨からも選択することが可能です。

日本円よりも高金利の通貨を選べば、より多くの利息収入を得られる可能性が期待できます。さらに、払戻時のレートが円安になっていれば為替差益を得られる点も、外貨預金ならではのメリットです。

たとえば、「1米ドル=120円」のときに預入を行い、払戻時に「1米ドル=150円」になっているとどうなるでしょうか。

  • 預入時:120円を1ドルに替える
  • 払戻時:1ドルを150円に替える

以上のような流れとなるため、1米ドルあたり30円の為替差益を得られます(手数料や税金は考慮せず)。

外貨預金は比較的シンプルな投資方法なので、投資初心者でも始めやすい点もメリットです。為替変動の影響を受ける点を理解し、リスクを認識すれば専門的な知識がなくても始められます。

金融機関によっては外貨預金の預入や払戻など一連の手続きがインターネット上で完結するため、手間をかけずに始めることも可能です。

1.3 外貨預金のデメリットや注意点

外貨預金を始める際には、「日本円を外貨に替えるとき」と「外貨を円に替えるとき」に為替手数料が発生するのが一般的です。預入や払戻の際に手数料負担が発生する点は、円預金にはないデメリットといえます。

手数料の金額は金融機関によって異なるため、事前に手数料が発生する場面や金額を調べておきましょう。

預金保険制度の対象外となる点も、外貨預金のデメリットです。預金保険制度とは、預金元本1,000万円までと破綻日までの利息が保護される制度です(1,000万円を超える部分は破綻した金融機関の財産の状況に応じて保護される)。万が一預入先の金融機関が破綻した場合、外貨預金は保護されない点に注意しましょう。

また、外貨預金のデメリットとして、為替変動リスクが挙げられます。払戻時のレートが預入時のレートよりも円高になっていると、預けた外貨の価値が下がり元本割れを起こす可能性があります。

たとえば、「1米ドル=150円」のときに預入を行い、払戻時に「1米ドル=120円」になっているとどうなるでしょうか。

  • 預入時:150円を1ドルに替える
  • 払戻時:1ドルを120円に替える

この場合、1米ドルあたり30円の為替差損が生じます。将来の為替変動は事前に予測できませんが、円預金とは異なり元本割れのリスクがある点に留意しましょう。

出典:預金保険機構「02対象預金」
出典:預金保険機構「預金保険制度の概要」

2. FXの基本情報

外貨を活用した投資手法にFX(外国為替証拠金取引)があります。外貨預金は外貨を金融機関に預けて利息を得るほか、為替変動による利益も得ることがあります。FXはレバレッジや売り建てによって為替の変動により、大きな利益を得ることができることが特徴です。

以下で、FXの基本情報を解説します。

2.1 FX(外国為替証拠金取引)とは

FXとは「Foreign Exchange」の略称で、「ドル/円」「ドル/ユーロ」など外貨を売買して為替差益を狙う(売り建て)投資取引です。FX会社によって、取り扱っている通貨ペアは異なります。

FXでは、レバレッジを利用すれば実際に預けた金額(保証金)よりも大きな取引が可能です。レバレッジには「てこの原理」という意味があり、手元の資金以上の取引を行える仕組みです。

最大で25倍のレバレッジをかけられるため、想定通りに為替が動けば短期間で大きな利益を得られる可能性があります。たとえば、手元資金が10万円でも、25倍のレバレッジをかければ250万円分の取引が可能です。

2.2 FXのメリット

FXは少額からスタートできるメリットがあります。FX会社によって最小取引通貨の単位が異なりますが、最小で1通貨単位での取引に対応している会社もあります。

レバレッジをかければ、手持ちの資金が少なくても大きな取引を行うことが可能です。以下の事例で、レバレッジ取引のメリットを見てみましょう。

  • 投資資金:15万円
  • 為替レート:1ドル=150円
  • レバレッジ:25倍

レバレッジ効果により「15万円×25倍=375万円分」の取引が可能です。375万円÷150円=25,000ドルとなり、15万円の資金で25,000ドルと交換できます(レバレッジなしの場合は1,000ドル)。

為替レートが1ドル155円に上昇すると、25,000ドル×(155円-150円) =125,000円の利益を得られます。レバレッジなしの場合、得られる利益は1,000ドル×(155円-150円) =5,000円なので、レバレッジにより効率よく利益を得られることがわかるでしょう。

さらに、FXは平日のほぼ24時間で取引が可能です。世界中の主要市場が時差によって連続して開いているため、取引時間が長い特徴があります。

夜間や早朝にも取引ができるため、自分のライフスタイルに合わせて市場に参加できる点はメリットといえます。

なお、FXには以下のようにさまざまな注文方法があるため、相場の状況や自分のリスク許容度に合わせた取引が可能です。

FXの注文方法
成行注文 価格を指定できないがすぐに取引できる
指値注文(リミット注文) 自分が指定した価格にならなければ約定しない
逆指値注文(ストップ注文) 自分が指定した価格にならなければ約定しない(損失を限定するための注文方法)
IFD注文 「新規注文+利益確定注文」「新規注文+損切り注文」ができる
OCO注文 価格が上昇した場合と下落した場合の2パターンで注文できる
IFO注文 「新規注文+決済注文+逆指値注文」を同じタイミングで注文できる

FX会社によっては取引をサポートするツールが充実しているため、効率よく情報収集しながら注文を出せます。自分に合った分析方法を用いながら最適な注文を出せるため、外貨預金よりも柔軟に投資できる点が特徴です。

2.3 FXのデメリットや注意点

FXでは、想定とは異なる為替変動が起きたときに大きな損失を抱える恐れがあります。大きなレバレッジをかけると、狙える利益が大きくなる反面、損失も大きくなる点に注意しましょう。

また、FXでは為替レートの動きを分析するために知識と経験が必要です。外貨預金とは異なり、注文方法が複雑で初心者にとっては難しいデメリットがあります。

なお、為替が変動する要因は、以下のようにさまざまです。

  • 経済成長率、物価指数、国際収支、雇用統計などの経済指標
  • 政治情勢
  • 市場心理
  • 地政学

為替の動きを正確に予想するのは不可能であるうえに、分析の際には時間と労力をかける必要があります。誰でも簡単に利益を得られるわけではない点は、必ず押さえておきましょう。

出典:一般社団法人金融先物取引業協会「#3 為替相場を動かす要因」

3. 外貨預金とFXの違いは?

投資方法に着目すると、外貨預金は外貨を保有して利息を受け取るほか、為替変動による利益も得ることがあります。一方、FXはレバレッジや売り建てによって、為替変動による大きな利益を狙います。

外貨預金では預入時よりも円安にならなければ為替差益を得られないのに対し、FXではさまざまな取引手法があるため、円高でも円安でも為替差益を得られる可能性があります。

外貨預金とFXの違い
外貨預金 FX
取扱通貨 主要国が中心 種類豊富(新興国も含む)
レバレッジ なし 1~25倍
利息がもらえる時期 金融機関による(半年に一度や年に一度など) 毎営業日
取引方法 買い限定 売り・買いどちらも可能
取引できる時間 土日除く24時間可能 土日除く24時間可能
取引レート 24時間常時変動制(金融機関により異なる) 24時間常時変動制
手数料や諸費用 1通貨あたり1~2円程度(金融機関によって異なる) 0.1~1.0銭(FX会社や通貨ペアによって異なる)
税金 利息:利子所得
為替差益:雑所得
雑所得
資産保全の仕組み なし あり

取扱通貨の種類はFXのほうが豊富です。外貨預金にはレバレッジの概念がありませんが、FXでは最大25倍のレバレッジをかけられます。

利息をもらえるタイミングは、外貨預金の場合は金融機関によりますが、FXの場合は毎営業日「スワップポイント」を受け取れます。

外貨預金の取引ができる時間や取引レートは金融機関によって異なりますが、FXの場合は24時間行えるため、融通が利きやすいといえるでしょう。また、FXの手数料や諸費用は「スプレッド」と呼ばれ、一般的に外貨預金よりも安い特徴があります。

為替差益による税金は雑所得に該当し、外貨預金で得られた利息は利子所得に該当します。雑所得は総合課税の対象で、利子所得は源泉分離課税となるため、税金の計算方法が異なる点に留意しましょう。

外貨預金には資産保全の仕組みがありませんが、FXでは顧客の資産は全額保護されます。FX会社には、破綻しても顧客の資産を保護するために、顧客から預かった資産を自社の資産と区分して管理することが義務付けられているためです。

4. 外貨預金とFXに向いている人の違い

「自分は外貨預金とFXのどちらに向いているのか判断できない」という方もいるのではないでしょうか。

以下で、外貨預金に向いている人とFXに向いている人の特徴について、それぞれ解説します。

4.1 外貨預金が向いている人の特徴

長期的な資産運用を考えている人は、外貨預金が向いています。外貨預金は短期的な売買で利益を狙うよりも、長期的に保有すれば安定的に利息収入を得られるからです。

利息も外貨で支払われるため、利息収入を得られれば外貨建ての資産を増やせます。為替変動が起きなかったとしても、円預金よりも高金利であれば効率よく資産を増やせるでしょう。

投資を始めたばかりの人も、仕組みが比較的シンプルでわかりやすい外貨預金が向いています。FXのようにチャート分析や複雑な注文を行う必要がないため、高度な知識がなくても問題ありません。

一度預入すれば頻繁に取引をする必要がないため、運用の手間をかけずに収益を得られます。忙しくて為替の状況や経済に関する情報収集に割ける時間がない方も、FXより外貨預金のほうが安心して取り組めるでしょう。

外貨預金にはレバレッジの仕組みがないため、リスクを抑えながら資産形成をしたい方にも向いています。為替変動リスクによる元本割れの可能性はあるものの、利息収入を含めて考えればトータルで資産を増やすことが可能です。

4.2 FXが向いている人の特徴

短期間で利益を狙いたい人は、外貨預金よりもFXが向いています。FXにはレバレッジの仕組みがあり、少ない資金でも大きな利益を狙えるだけでなく、運用方法によっては円高時でも円安時でも利益を狙えるからです。

短期間で頻繁に取引を行って利益を積み重ねたい人や、高いリスクを受け入れつつ大きな利益を追求したい人に向いている方法といえるでしょう。

また、経済や市場の動向に興味があり、経済指標の分析や政治・経済情勢に関する情報収集が苦にならない人もFXが向いています。市場の動向や為替状況を常にチェックし、迅速に取引を行える人は、効率よく資産を増やせる可能性があるでしょう。

FXは外貨預金と異なりさまざまな取引スタイルや注文方法があるため、多様な取引戦略を試したい人には好相性です。

為替相場の動向を予想するスキルや経験が求められますが、学習意欲が高くさまざまなツールや手法を活用して取引を行いたい人は、FXが向いている可能性があります。

5. 外貨預金とFXの違いを整理して、自分に合った方法で資産形成を進めよう

外貨預金とFXは外貨を用いた資産運用という点が共通していますが、利益を得る方法やリスクの大きさなどが異なります。自分のリスク許容度や投資経験などに応じて選択しましょう。

できるだけリスクを抑えつつ、円預金以上のリターンを狙いたい方は外貨預金が向いています。

東京スター銀行の外貨預金には「外貨普通預金」「外貨定期預金」「外貨仕組み預金」があり、短期間で運用したい方でも長期間で運用したい方でもご利用いただけます。

外貨専用の口座開設が不要で、インターネットで取引をすると外貨預入時の為替手数料は0円です。

手間と取引にかかる手数料を軽減しながら外貨預金を始められるため、興味がある方はお気軽に口座開設をご検討ください。

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