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銀行もメタバース(仮想空間)の世界へ!金融の未来はどうなる?

  • #テクノロジー

掲載日:2022年8月29日

インターネット上に生まれた「もうひとつの世界」、メタバース(仮想空間)への注目が高まっています。お金の見通しラボでも、以前「今話題のメタバースとは?注目されている理由、投資との関係性について解説」でメタバースをご紹介しましたので、まだお読みいただいていない方は、ぜひこちらもご覧ください。

メタバースの概念自体は以前からありましたが、ネット回線の高速化やVR技術の進化、さらに仮想通貨(暗号資産)の普及など、メタバースにおけるインフラが充実したことが、盛り上がりを見せている要因と考えられます。

そして、この盛り上がりは金融の世界も例外ではありません。そこでこの記事では、今後ますます広がりを見せる可能性が高いメタバースについて、金融との関わりを中心に整理します。

この記事は5分で読めます!

1. 拡がりを見せるメタバースのサービス

メタバースという言葉に明確な定義はありませんが、現在広く用いられる意味としては、仮想空間内でユーザーの分身(アバター)を介してコミュニケーションできるサービスを指すのが一般的です。オンラインゲームではすでにこれと近い世界を実現していますが、ゲーム以外の産業でも応用されようとしています。

例えば、観光やショッピング、広告、不動産など、これまで現実世界でしか体験できなかったコトへの応用が期待されています。2022年3月4日付のメタバースを解説する記事(今話題のメタバースとは?注目されている理由、投資との関係性について解説)でも触れましたが、2021年10月、米国のSNS大手であるFacebookが社名をMeta(メタ)に変更したことは、広く報道されました。世界を代表する同社がメタバース事業に力を入れていくことへの意思表明をしたのは、今後メタバース市場が拡大していくことを先見しているからだと言われています。日本国内では、2022年5月時点で有名企業がメタバース参入に名乗りを上げています。その新産業への期待から、関連企業の株価が上昇するなどの現象も起きているほどです。

主なメタバース参入企業とそのサービス(一部紹介)(現在開発中も含む)
KDDI 渋谷区公認の「バーチャル渋谷」など配信プラットフォームを提供
凸版印刷 ビジネス向けメタバース構築用のプラットフォームを開発
大和ハウス工業 アバターで見学できるメタバース住宅展示場を開設
博報堂DYホールディングス メタバースにおける新しい広告サービスを開発中
ANAホールディングス メタバースで旅行を再現するサービスを開発中
2022年7月25日現在、各社ホームページ情報より、本稿執筆者が作成

2. 金融機関もメタバースに注目している

さまざまな企業がメタバースに注目し、具体的な参入事例が相次いでいるなかで、銀行などの金融機関も他の業種との協業などを模索する動きがあります。メタバース内で、付加価値の取引を行うという生活様式に変化している流れにおいて、金銭の融通(金融)システムもまた変化していくと考えられます。

以下では、金融機関でメタバースまたはメタバースに近しい領域での取り組みを展開している事例を一つ紹介します。

<みんなの銀行>
eスポーツチームを運営するCS entertainmentとパートナーシップを締結し、みんなのCheer Boxという仕組みを開始しました。これは、ファンが応援するeスポーツチームの応援支援金をCheer Boxに預け入れることで、みんなの銀行がファンに変わってeスポーツチームにお金を届ける仕組みです。これによって、銀行がeスポーツチームとファンをつなぐ架け橋の役割を果たします。この事例はメタバース内でのサービス展開ではありませんが、メタバースはゲームとの関わりが深く、今後の展望が気になるトピックです。

今後も金融機関でメタバースと関連のある取り組みは増えていくことが考えられます。それは、メタバース内でのサービスやお金の価値、流れなどが、どんどんリアルな世界に近づく可能性を秘めているかもしれません。

3. メタバース×金融機関の可能性

メタバースと金融機関の取り組みは、まだまだ始まったばかりです。今後メタバースが人々の新たな生活空間としてさらに拡大していくにあたって、金融機能が重要視される可能性は高いと思われます。これは金融機関にとってもチャンスであるため、今後も他の金融機関参入は増えていくのではないでしょうか。その動きに伴って、リアルな世界と同等の金融サービスがメタバース内で受けられるようになる――という未来が想像できるのです。

4. 日本の金融機関がメタバースを活用する可能性

メタバースは、世界的なテクノロジー企業を擁する米国で先行していますが、日本におけるメタバースは今後どのような展開を見せるのでしょうか。前述の通り、日本でも大 手企業の参入も相次いでいます。

さまざまなサービスが充実していくにつれて、お金が動くようになります。お金が動く現実世界では銀行などの金融機関が欠かせないのと同じように、メタバース内で今後お金が動くシーンが多くなるほど、メタバース内の金融サービスが重要になります。ニーズがあるところに新しいサービスが生まれるのは世の常なので、今後日本の金融機関がメタバースでどのようなサービス展開を見せるのか、要注目です。

5. 東京スター銀行VRラウンジオープン

東京スター銀行では2022年4月27日にVR(バーチャルリアリティ)を活用した仮想ラウンジ「東京スター銀行 VRラウンジ」を開設しました。コロナ禍によるソーシャルディスタンスの確保、さらに近くに実店舗がない人や、ひとまず情報収集をしたい人にとって、いつでもどこでも利用できるサービスとしてご活用いただけます。

この「東京スター銀行 VRラウンジ」は、来店の事前予約は不要です。また会員登録などの手続きも不要なので、今すぐVRラウンジ内のサービスを全て利用できます。ご興味のある方はぜひ、VRラウンジにご来店ください。

今後こうしたVRの金融サービスがメタバース市場に続々と参入することで、メタバース内がひとつの都市として機能していくことが考えられます。今後は、メタバース内での資金調達が可能になり、その資金をメタバース内に投資していくといった経済システムが日常的に機能する日も遠くないかもしれません。

以上

【ライター情報】
蛯沢 路彦

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務などを経て独立後、月刊誌「FX攻略.com」の編集長、その版元の株式会社Wa plus代表取締役を務める。退任後、マネー誌やウェブメディアにおいて、金融・経済の分野を中心に執筆活動を続ける。2020年11月、株式会社イノベクションを創業。

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