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銀行の口座売買は犯罪!逮捕や口座凍結のリスクについて解説

  • #金融犯罪
  • #時事

掲載日:2024年5月27日

銀行の口座売買は、買う側だけでなく、売る側も罪に問われます。また、口座売買をしていることが明らかになれば、口座凍結されるリスクや新たに銀行口座が作れなくなるリスクもあります。

この記事では、銀行の口座売買でどのような罪に問われるのかについて解説したうえで、口座凍結になった時のリスクや口座売買の手口と対策について紹介します。ぜひ参考にしてください。

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1. 銀行の口座売買は重大な犯罪

銀行の口座売買とは、通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングのログインIDやパスワードを売買することです。正当な理由なく、銀行の口座売買を行った場合は、罪に問われる可能性があります。これは有償の場合に限らず、無償で譲り受けたり、譲り渡したりする場合も含みます。

1.1 銀行の口座売買はどんな罪に問われる?

正当な理由なく銀行の口座売買をすると、犯罪収益移転防止法違反、詐欺罪、窃盗罪のいずれかの罪に問われる可能性があります。ここでは、それぞれどのような罪に問われるのかについて見ていきましょう。

  • 犯罪収益移転防止法違反
    自分や他人名義の通帳やキャッシュカード、ネットバンキングのログインIDやパスワードを譲り渡したり、譲り受けたりすると、犯罪収益移転防止法違反に該当する可能性があります。犯罪収益移転防止法違反に該当すると、一年以下の懲役か100万円以下の罰金、またはこれらの両方が科せられます。
    そもそも犯罪収益移転防止法とは「犯罪による収益の移転防止に関する法律」が正式名称であり、犯罪による収益が市場に持ち込まれることを防止するために、倫理的によくない収益移転行為を処罰する法律です。主に、マネー・ローンダリング(資金洗浄)やテロ活動に対する資金提供、振り込め詐欺などの詐欺行為などを防止する法律となっています。
  • 詐欺罪
    他人に譲り渡す目的で口座を開設したり、他人・架空名義の口座を開設したりした場合、詐欺罪に該当する可能性があります。詐欺罪は刑法第246条で定められており、他人を欺いて財物を交付させる行為に対して処罰する法律です。
    銀行口座は口座売買を目的とした開設はできないため、虚偽の理由で口座開設することになるでしょう。その行為は銀行を騙すことになるため、詐欺罪に該当します。詐欺罪で摘発された場合、10年以下の懲役が科せられます。
  • 窃盗罪
    銀行口座売買により得た他人名義の口座から現金を引き出した場合、窃盗罪に該当します。窃盗罪は刑法第235条に定められており、他人の財産を侵害する犯罪(窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領など)を処罰する法律です。窃盗罪に該当すると、10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられます。

1.2 銀行口座の凍結のリスクも

銀行口座を売却したことが捜査機関に発覚した場合や、実際に譲り渡した銀行口座が犯罪行為に使われたことが明らかになった場合は、口座が凍結される可能性があります。口座の凍結とは、資金の引き出しなど、口座上で行うすべての取引が停止されることです。

また、口座売買に関する犯罪行為で処罰されると、手持ちの口座がすべて凍結される場合があるほか、他の金融機関で口座を開設できなくなる場合も少なくありません。

1.3 不正利用による銀行口座凍結は増加傾向

金融庁の資料によると、預金口座の不正利用に関する情報提供の件数は、増加傾向にあります。

(単位:件)
令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 調査開始以降の合計
主要行 120 266 245 468 24,312
地方銀行・第二地方銀行 38 26 17 36 6,641
信用金庫・信用組合 10 15 2 7 2,195
その他の金融機関 52 191 143 362 13,268
合計 220 498 407 873 46,416

また、不正利用に対する処遇は多くの場合、利用停止や強制解約等の措置が取られていることが分かります。

(単位:件)
令和元年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 調査開始以降の合計
強制解約等 109 113 37 137 16,173
利用停止 102 329 335 694 25,584
対応不要等(注1) 18 50 37 44 4,656
(注1)対応不要等は、金融機関が調査した結果、特段不審な点が見受けられなかったものや口座不存在であったもの等を計上しています。

2. 売られた銀行口座はどうなる?

売られた銀行口座は、振り込め詐欺の振り込み先として使われたり、犯罪によって得た収益に出所や所有者をわかりにくくするマネー・ローンダリング(資金洗浄)など、他の犯罪に悪用されたりする可能性があります。

一度売却してしまうと、どのような用途で使われるかわからないため、絶対に銀行口座を売買してはならないことを覚えておきましょう。

2.1 犯罪に悪用されるリスク

還付金詐欺や投資詐欺などの犯罪行為の振り込み先として、悪用される可能性もあります。

還付金詐欺とは、「医療費の過払い」「年金の未払い」など虚偽の還付金があることを持ちかけてATMに誘導し、お金を振り込ませようとする詐欺手法です。

また、投資詐欺は「必ず儲かる」「元本保証」など、言葉巧みに投資家の興味を引き、お金を振り込ませようとする手口です。ロマンス投資詐欺や劇場型投資詐欺、SNS型投資詐欺などさまざまな手法があるため、特に注意が必要です。

投資詐欺について、詳しくは「投資詐欺の手口や騙されないための注意点を解説」の記事でも解説していますのでぜひご覧ください。

3. 銀行の口座売買の手口と対策

銀行口座売買の手口を理解しておかないと、いつの間にか犯罪行為に加担していることになりかねません。ここでは、銀行口座売買の主な手口や対策について解説します。

3.1 なりすましによる口座開設

銀行口座売買によくある手口としては、他人がなりすまして口座を開設する手口が挙げられます。

口座開設には、印鑑や免許証・マイナンバーカードといった本人確認書類が必要です。どの名前でも簡単に手に入る印鑑はさておき、本人確認書類が紛失や何らかの手口で他人の手に渡れば、気付かないうちに自身の名義で口座開設されてしまう可能性があります。

3.2 SNSでの勧誘

SNS上で「口座を貸すだけでお小遣いがもらえる」「手軽に高収入が得られるアルバイトがある」といった目を引く広告を掲載し、報酬と引き換えに使用していない銀行口座を譲り渡すよう求める手口です。

高額な報酬を得られる場合が多いため、お金に困っている人が陥りやすい手口といえるでしょう。キャッシュカードやインターネットバンキングにおけるログインIDとパスワードの提供を求められるケースもあります。

3.3 銀行口座売買の対策法

使わなくなった銀行口座を放置したり、キャッシュカードや通帳を紛失した状態のままにすると、銀行口座売買に巻き込まれてしまう可能性があります。そのため、銀行口座を放置している場合はすみやかに解約する、紛失した場合は利用を停止する手続きを行いましょう。

また、「手軽に高収入」「簡単に収入が得られる」など、人の興味を引く言葉には裏があると考え、関わらないようにすることが大切です。

4. 犯罪に遭ってしまった時の対応

疑わしい取引を持ちかけられた場合や実際に銀行口座売買の犯罪に遭ってしまった場合は、まずは警察に相談しましょう。加えて、取引銀行や全国銀行協会相談室、銀行とりひき相談所といった機関に相談することも大切です。

また、全国の消費生活センターに相談することも可能です。「188」に電話をすれば、トラブルがあった時に、近くの消費生活相談窓口を紹介してもらえます。ただし、土日祝日などは受け付けていない場合があるため、事前に確認しておきましょう。

5. まとめ

銀行の口座売買は、買う側、売る側どちらも罪に問われます。売られた銀行口座は、振り込め詐欺やマネー・ローンダリングなどの犯罪に悪用される可能性もあるでしょう。

そのため「口座を貸すだけでお小遣いがもらえる」「手軽に高収入が得られるアルバイトがある」などと勧誘された場合は、甘い話には裏があると考え、応じないようにすることが大切です。また、銀行口座を放置している場合や通帳・キャッシュカードを紛失した場合は、解約手続きや利用停止手続きを必ず行いましょう。

銀行口座の売買に関する話を持ちかけられた時は、全国銀行協会相談室や最寄りの警察、消費生活相談窓口に早めに相談することも大切です。被害に遭った場合も、直ちに警察や取引銀行に連絡をして指示を仰いでください。

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