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現役世代も必見!統計を基に考える豊かな老後の作り方

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掲載日:2020年10月15日

豊かな老後生活を送りたいけれど、本当に実現できるのか、不安を持つ方は多いでしょう。果たして、老後の生活は、どのようになるのでしょうか?そのヒントを探るべく、統計データから老後に関する実態をまとめます。

この記事は7分で読めます!

1. みんなはどんな老後を想像している?

生命保険文化センターによる「生活保障に関する調査(令和元年度)」から、老後に対する考え方を見ていきます。老後生活に対する不安の有無、その内容、老後の生活水準という3種類の調査結果をまとめます。

1-1. 老後に不安を抱く人は8割超もいる!?

老後に対する不安の有無について、下記5種類の選択肢から回答する調査にて、その割合は次の通りでした。

<老後生活に対する不安の有無>
非常に不安を感じる 19.0%
不安を感じる 30.4%
少し不安を感じる 35.0%
不安感なし 13.2%
分からない 2.4%

3段階用意された「不安を感じる」を合計すると、84.4%になります。不安の度合いこそ異なりますが、8割超の方が豊かな老後生活を想像できていないようです。ちなみに、平成10年の同調査では、79.9%でした。年々、老後への不安を抱く方の割合が増加している傾向にあります。

1-2. 老後生活に対する不安の内容は?

「不安を感じる」と回答した方の具体的な不安の内容を、12の選択肢から複数回答可の形式で、調査しました。その上位3位を見ると、お金の心配が大きいことが分かります。特に、年金だけでは不十分だと考える声が8割を超えて顕著でした。

<老後生活に対する不安の内容>
公的年金だけでは不十分 82.8%
健康を害し、日常生活に支障が出る 57.4%
退職金や企業年金だけでは不十分 38.8%

(参照:https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/xls/r1/3-2.xlsx

1-3. 老後の生活水準は、どうなると予想している?

老後生活が、それまでの生活と比べてどのように変化するか、下記4種類の選択肢から回答する調査にて、その割合は次の通りでした。

<老後の生活水準>
経済的に豊かな生活になる 1.8%
同じ程度の生活になる 20.7%
つつましい生活になる 70.0%
分からない 7.5%

7割が、つつましい生活になると考えていることが分かりました。一方、経済的に豊かな生活になると回答した割合は約2%と、極端に少数派の意見でした。
豊かな老後を過ごすのは、難しいことなのでしょうか? 次節では、具体的な生活費についての調査を見ていきます。

2. 老後の月々の生活に、いくらかかる?

老後を夫婦二人で暮らしていくうえで、日常生活費として月々最低いくら必要か、またゆとりある老後生活にいくら必要か、調査の回答は次の通りでした。ご自身の想定と、どれくらい乖離があるか、確認してみてください。

2-1. 老後の最低日常生活費はいくら?

回答の平均額は月額22.1万円、年換算すると265.2万円でした。この金額を、老後生活のシミュレートの基準とします。

<老後の最低日常生活費>
15万円未満 5.9%
15万円〜20万円未満 13.0%
20万円〜25万円未満 29.4%
25万円〜30万円未満 13.1%
30万円〜40万円未満 17.0%
40万円以上 1.9%
分からない 19.6%

2-2. ゆとりある老後生活費はいくら?

また、ゆとりある老後生活を送るためには、前項の最低日常生活費に、あとどれくらい必要かという調査も行われました。それを加算した、ゆとりある老後生活費の平均額は、月額36.1万円、年換算すると433.2万円でした。

<ゆとりある老後生活費>
20万円未満 2.8%
20万円〜25万円未満 7.3%
25万円〜30万円未満 10.6%
30万円〜35万円未満 20.8%
35万円〜40万円未満 9.5%
40万円〜45万円未満 10.8%
45万円〜50万円未満 2.9%
50万円以上 15.6%
分からない 19.6%

3. 高齢者世帯の平均所得額はいくら?

では、実際に高齢者世帯の平均所得はどの程度のものなのでしょうか。ここからは、厚生労働省「国民生活基礎調査(令和元年度)」の結果を見ていきます。それによれば、高齢者世帯の年間平均所得金額は312.6万円、月換算すると26.1万円でした。

これを、前節で述べた金額と比較してみましょう。最低日常生活費の平均22.1万円よりは約4万円多く、ゆとりある老後生活費の平均36.1万円には約10万円足りない水準であることが分かります。最低限の生活より少し豊かな生活が送れているものの、ゆとりある生活にはほど遠いのが現状である、ということになりそうです。

4. 高齢者世帯はどれくらい貯蓄をしている?

同調査によれば、高齢者世帯で貯蓄があるのは80.1%で、平均貯蓄額は1,213.2万円でした。これを世帯主の年齢階級別に見ると、次のようになります。

<世帯主の年齢階級別の平均貯蓄額>
40〜49歳 650.9万円
50〜59歳 1,075.4万円
60〜69歳 1,461.5万円
70歳以上 1,233.5万円

上記を見ると、60代が貯蓄額のピークとなっており、以降は貯蓄額が減っていることがわかります。60歳代まで順調に貯蓄をしたり、退職金を貯蓄の一部として使用したりすることが考えられますが、やはり70歳以降は貯蓄を切り崩しながら生活をしていると読むことができるのではないでしょうか。

5. 老後生活の理想と現実

前述しましたが、ゆとりある老後の生活を送るために必要だと回答された平均費用は月額36.1万円でした。それに対して、現実的な高齢者世帯の平均収入は26.1万円です。理想と現実には、約10万円の開きがあります。

ゆとりある老後生活を送るためには、毎月貯蓄から約10万円、年換算で約120万円を取り崩さなければなりません。高齢者世帯の平均貯蓄額は1,213.2万円でしたから、年間約120万円を取り崩す場合は、約10年分しかないことが分かります。

では、少し節約して、貯蓄から取り崩す月額を約5万円で考えてみましょう。すると、年間約60万円の取り崩しで、約20年過ごせる計算になります。あくまでも平均値からの試算ですが、老後生活の理想と現実には、大きなギャップがあることが分かるでしょう。

そのことは、高齢世帯の生活意識の状況に関する回答からもうかがえます。「苦しい」という回答を合計すると、52%にも及びました。

<高齢者世帯の生活意識の状況>
大変苦しい 20.9%
やや苦しい 31.1%
普通 43.4%
ややゆとりがある 4.0%
大変ゆとりがある 0.6%

6. 生活設計の有無

再び「生活保障に関する調査」に戻り、生活設計意識の調査を見てみます。自分や家族の将来のために、具体的な生活設計をたてていますかという質問に対する回答の割合は、以下の通りでした。約6割超が、生活設計なし、あるいは分からないという回答でした。

<生活設計の有無>
生活設計あり 37.0%
生活設計なし 55.7%
分からない 7.3%

生活設計をしないまま、老後を迎えることは、不安が増すばかりではないでしょうか。逆説的に言えば、生活設計をすることで、不安を抑え、豊かな老後生活への計画や備えができそうです。

7. 老後の生活設計の組み方

では、具体的にどのように老後の生活設計を組めばよいのでしょうか。もちろん、一概にこのような生活をしましょう、というものはなく、ご家庭に合わせたプランニングをする必要があります。
ご自身のご家庭に合わせたプランニングをする際に必要なのは、以下の3点となるでしょう。

① 想定できる出費を見積もる
② 想定できる使える金額を見積もる
③ 上記から不足額を算出し、打ち手を考える

①では、(1)日々の生活コスト、(2)突発的にかかる費用に向けての備え、(3)趣味などにかけたい費用を整理します。年間でかかる費用に、リタイア後の年数をかけて算出していきます。老後にかかる費用をざっくりとでも計算することが、老後の生活結成の第一歩となります。退職前に、早めに見積りたいところです。出費合計額の出し方についてはこちらの記事でもご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

大まかな計算を終えたら、前述した老後生活費の平均と比べ、ご自身の出費は平均以上なのか以下なのか確認してみるとよいかもしれません。

②では、将来使える金額を算出します。その源泉となるものは、現在持っている貯蓄と、退職金、そして年金です。現在お持ちの貯蓄とあわせて、退職金がある場合は、基本的に会社の就業規則や賃金規則などに「退職金規定」が記載されているので、そちらを参照するか人事部や総務部に問い合わせてみるとよいでしょう。
年金は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」等で支給額を確認することができます。詳しくはこちらの記事を参照してください。

想定される支出と、使える金額を計算し、支出の方が上回った場合は、どのようにそのギャップを埋めるか検討しましょう。
多くの場合は、支出を減らすか、お金を増やすことを検討することになります。支出を減らす場合は、月々にかかる費用などの見直しとなりますが、お金を増やす場合は老後にも何らかの行動を起こす必要があります。

退職後も仕事やアルバイトをしたり、資産運用をするなどの選択肢がありますが、資産運用に関してはお近くの銀行窓口にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。お金に関するお悩みやご相談をトータルで承ることができるのが銀行の強みです。

東京スター銀行では、支店を置いているほか、オンライン相談サービスも実施しております。今後のお金の見通しをつけるために、ぜひご活用ください。

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